☆IPO情報*「西武ホールディングス」の上場に変更事項!
☆本日、仮条件が発表される予定だった『西武ホールディングス』東証所属未定の変更事項が発表されました。『西武ホールディングス』1、仮条件決定日;4月7日⇒4月9日2、BB期間;4月8日~11日⇒4月9日~11日◇日本証券新聞のレポート3月19日、西武ホールディングス(9024)に上場承認が下り、4月23日の上場が決まった。今回は新規発行がなく、既存株主からの売り出しのみ。売り出す株数は国内が4,851万株(発行済みの14.1%)、海外が3,234万株(同9.4%)、合計8,085万株(同23.6%)。 売出すのは、シティグループ、UBS証券、農林中央金庫、日本政策投資銀行、サーベラスグループの5社。堤義明氏が大株主のNWコーポレーションは、売り出しをしないので保有割合は14.9%のまま注目のサーベラスは5,306万株(同15.5%)を売り出すので、保有割合は35.4%から19.9%に低下する。正式に売り出し価格が決まるのは4月14日だが、現時点での仮条件は2,300円。サーベラスが最初に西武に1,000億円を投じたのは、今から8年前の2006年1月。昨年の買い増し分も含め、この8年間にサーベラスが西武株式に投じた投資総額は1,145億円。平均取得単価は940円前後である。 今回売り出す5,306万株が、想定価格通り2,300円で売却できると、単純計算で手取りは1,220億円。投資額はすべて回収した上で6%程度の利益が出る。今回6カ月間のロックアップの対象になる、残り6,832万株がいくらで売却できるかによって、サーベラスの8年間の投資利回りが決まる。 ただ、この2,300円という想定価格、オーソドックスなIPO(新規上場)価格の算出方法と比べると異常値と言えるほど高い。どう考えても資産の含みを大きく考慮したとしか思えない価格なのだ。このコーナーでも何度も取り上げてきたが、一般にIPO価格は類似業種会社のPERとPBR(株価純資産倍率)の平均値を算出し、それを当該新規上場会社の一株純益や一株純資産と掛け合わせて出た金額から、さらに15%ディスカウントして決める。資産の含みを考慮する発想はない。 投資家からどんな評価を得られるか分からない未上場段階では、既に上場している同業他社が投資家から受けている評価、つまりPERとPBRで算出し、なおかつ保守的にこれを15%ディスカウントする。資産の含みを投資家が評価するのかどうかは、上場後の投資家の判断に委ねるというのが基本ルールだ。というのも、含みが大きい資産でも、会社側に有効活用する力がなければ収益に結びつけることはできない。売れば巨額の売却益が見込める不動産でも、売る前提が全くなく、諸般の事情から遊休状態ということだってあり得るからだ。ともあれ、まずは2,300円という金額がどれだけ高いか、ご覧いただこう。鉄道セクターの上場会社13社のPER、PBRはご覧の通り。京浜急行はPERが予想ベース、実績ベースともに突出して高いが、次点の小田急は予想で28.4倍、実績で31.7倍。 西武は予想ベースでも36.5倍と、京急に次ぐ高水準だし、実績ベースでは京急と同格だ。平均値の22-24倍とも、京急以外の鉄道各社とも大きくかけ離れてる。実績PBRに至っては、トップの小田急を大きく上回っている。PBRが高い上位4社プラス西武で、賃貸不動産の含み益や不動産セグメントが稼ぎ出しているセグメント営業利益を比較してみても、やはり西武のPBRは突出して高い。参考までに、莫大(ばくだい)な含み益を抱える財閥系不動産デベロッパーと比較してみると、西武の含み益は財閥系3社に比べればケタ違いに小さいが、西武のPBRは財閥系不動産では3社よりも高い。 ただ、毎年有価証券報告書のみで開示される、この賃貸不動産の含み益は、あくまで賃貸不動産のみに関するものに限定されており、本社として使用されているものや、賃貸資産として活用されていないものは対象にならない。 西武が全国に保有する不動産は簿価ベースでは1兆円強だが、東京23区内に保有する面積は財閥3社を凌ぐとされる。西武グループ中興の祖である堤康次郎氏が、戦後に没落貴族からせっせと買い集めたいきさつが記された書籍は数多いので、決して荒唐無稽(むけい)な話ではない。ただ、店じまいをする会社が解散価値で評価を受けるのに対し、上場会社は稼ぐ収益で評価をされる。簿価の安い資産であっても、そこからどれだけの収益を稼ぎ出せるのかを見せられなければ投資家の心は動かせない。サーベラスは引き続き、手元に残った株を高値で処分するミッションを自らの投資家に対して背負っている。一般に年間3割とされる投資利回りを確保しようとするのであれば、1,000億円の投資に対し、その2.7倍以上(0.3×9年間)の回収を目指す計算になる。とすればそこから逆算すると、2,100-2,200円前後での処分を目指す計算になる。逆に言えば、西武経営陣には、この価格を割り込むことを許さないということになる。まずは初値はいくらになるのか。注目しよう。◇本日仮条件を決定できないことになったことはさらに印象を悪くすることになった。もともと不正経理で上場廃止にされた企業を再上場させる必要などない。ハゲカタファンドが900円で所得した株を2倍強の2200円ほどの値段で買うバカがどこにいるだろうか?完全にこれは敗北で公募割れである。