☆東京市場*来週の展望!(3月第2週)その2
《東京市場*来週の展望》(3月第2週)その2☆1日の東京株式市場ではNY株式安などを背景に小安く始まったものの、内需関連株を中心に買われ、日経平均株価は続伸、TOPIX(東証株価指数)は2月25日の昨年来高値980.70ポイントを更新した。不動産、倉庫、食品、医薬品、地銀などから高値銘柄が続出、東証1部の昨年来高値銘柄数は227に達した。欧米で財政をめぐる問題が再燃しており、手控え要因は多いものの東京株式市場の先高期待は衰えていない。材料株を含め投資家の物色意欲の強さを裏付ける展開となっている。 来週(4-8日)の株式相場は神経質な展開となろう。海外では波乱材料が相次ぐ一方、国内の経済政策が下支えとなる構図を予想する。今週は2月25日投開票のイタリア総選挙を受け、欧州財政不安が再燃し通貨ユーロ安から円安傾向にブレーキがかかった。2月末は投信設定などの需給要因から日本株は大きく上昇し、2月の月間では7カ月連続の上昇を記録したものの、来週は為替連動型の相場から抜け出せるかどうか不透明。欧州債務リスクは当面くすぶる可能性があり、相場の重しとなる。 また、米国の強制的な歳出削減も波乱要因。米上院が強制削減の発動を回避する目的で出された法案を否決したため、発動回避は困難との見方から2月28日のNY市場や1日の日本市場で相場の上値を抑えた。日本時間1日夕方時点では、オバマ米大統領と米民主党・共和党幹部との交渉結果が判明していないため流動的ながら歳出削減は米経済成長率の抑制要因であり、米国マーケットの反応を注視したい。 一方、安倍晋三首相の経済政策、いわゆる「アベノミクス」の効果が相場の下支え要因となってきそうだ。「大胆な金融緩和」「積極的な財政政策」「成長戦略」の「3本の矢」で構成されるとされ、この一つ一つに進展が見られるため。日銀の白川方明総裁の後任として黒田東彦アジア開発銀行総裁を充てる人事案が国会に提出された。副総裁には岩田規久男学習院大学教授、中曽宏日銀理事を起用する。4日には衆院で黒田氏、5日には岩田、中曽両氏から所信聴取が行われる予定。大胆な金融緩和に前向きとされる黒田、岩田両氏の発言が一段の金融緩和期待につながる可能性がある。 また、安倍首相の施政方針演説では、成長戦略に重点が置かれた。復興や防災をはじめTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)交渉参加をにらんだ農業支援、エネルギー対策、再生医療、クールジャパンなどの内容が盛り込まれた。こうした政策テーマは株式相場での物色傾向に反映されやすい。既に、不動産株、倉庫など含み資産株、バイオ関連株、農業関連株、海洋資源関連株などが循環物色されている。海外からのけん制もあって、一本調子の円安シナリオが描きにくいことも考えれば、政策に沿った内需関連株が物色されやすい地合いとなろう。基本は出遅れているセクター狙い。また、3月に入り配当取りへの意識も高まってくるため、高配当利回り銘柄にも目を配りたい。輸出関連株の継続的な上昇が期待しにくいため、日経平均は上値が1万1700円台、下値は上昇中の25日移動平均線(1日現在1万1274円)を基本レンジと予想する。 スケジュール面では4日のIOC(国際オリンピック委員会)評価委員会の来日、5日の全国人民代表大会(全人代)開幕、6-7日の日銀金融政策決定会合、さらに6日の米2月ADP雇用統計、8日には米2月雇用統計の発表が予定されている。特に米雇用統計は米景気の先行きを占う上で関心が高まろう。