開店当初を振り帰ると・・・157
中学ニ年頃まで八百屋のアルバイトが続いた。その頃になると学校の中で結構仲の良い仲間が出来た。その中の一人に山登りが好きな奴がいて山に誘われた。何でもボーイスカウトに入っていると言う彼は,私を丹沢山系の尾根の縦走に連れて行ってくれたのだ。その感動は今も思い出すが、素晴らしい!の一言だった。季節は1月頃だろうか、学校の教室の窓から見える丹沢山は山頂にうっすらと雪化粧をしていた。小田急線で秦野駅まで行き、バスに乗り換えて蓑毛まで行く。そこからは徒歩で歩くのだが、ヤビツ峠を経て三の塔を過ぎる頃になると、箱根山とは違う景色に感動した。眼下に秦野市外が一望できたし、相模湾から江ノ島や大島まで望めるのだ。足元に生える植物も違うし、肌を刺す沢から吹き上げる風も箱根山とは全く違う・・・日曜日とあって尾根の縦走コースは賑わいを見せるが、それでも居間の登山ブームと違い、静かで登山者の息ズカイすら聞こえる程静かだ。三の塔を経て又秦野駅まで戻るコースで8時間ぐらいの工程だが、箱根山にはない丹沢山の魅力に私はすっかり取り付かれてしまった。当時の山にはゴミがなく、登山者のマナーも良く、箱根山にはない植物の分布も私を虜にした。以来、日曜日になると雨が降っても雪が降っても、一人で丹沢山の尾根の縦走に出かけていた。その頃にはアルバイトで溜めた金を使い一通りの用具を買い、キャラバンシューズからヤッケまで揃えていっぱしの登山者の風情をだし、それに自ら酔いしれていた。毎週山に出かけていたのには、幾つかの理由があった。先ず体力作りがある。風邪をひくと、すぐに喘息の発作に見舞われていた私は、将来食べ物商売に望む為には、強靭な体力が必要と判断していたからだ。丹沢山に通ううちに、かなり足も丈夫になった。毎回ダラダラ通っていても、体力は付かないだろうと判断した私は、駆け足で縦走の時間を短縮する事に挑戦していたのだ。登山用の地図を開くと、コースのポイントからポイントまでの所要時間が書いてある。それが50分と書いてあれば10パーセント短縮して到着できるように、駆け足で走りぬけるのだ。これができるようになると、かなりの体力の自信が付いたし呼吸も楽になり、風邪を引いてもさほど苦しまなくなった。尾根を縦走して余裕が生まれてくると、あたりの植物に気を配るようになった。先ず箱根山にはない植物が多く目に付いたし、一歩脇に入ると手付かずの自然が残っていて、山菜や野草の豊富さにも驚かされた・・・続く・・・ル・パスポートのホームページはこちらル・パスポートのホームページ 人気blogランキングへ