華岡青洲の妻
有吉佐和子さん原作の華岡青州の妻を森林インストラクター講習会(塩尻市)への行き帰りに聞いた設 定 :(時代)江戸末期 (場所)紀州・紀ノ川沿い登場人物 : 華岡青洲(蘭学医)、加恵(華岡青洲の妻)、於継(華岡青洲の母)、華岡直道(青洲の父)、於勝(青洲の妹、乳癌で亡くなる)、小陸(青洲の妹、青洲が世界初の乳癌手術に成功する直前に、首にできた血瘤の病で亡くなる) 朗 読 :小川 道子 巻・時間 :全4巻,397分 価 格 :6,400円(税込) 発 行 :横浜録音図書株式会社【物語】代々蘭学医を生業とする華岡家では、跡継ぎの清洲が京に遊学中に、母・於継が近郷の名家から加恵を嫁に迎えていた。加恵は、於継と嫁姑の関係にもかかわらず仲睦まじく、また清洲の二人の妹にもよく仕え、人もうらやむほどだった。 …が、京都に遊学中の青洲が帰郷したとたん、嫁と姑の陰惨な心の戦いが始まった。感想は◎世界で初めて麻酔を使った乳ガン手術に成功した華岡青洲。物語は華岡青洲を幹としてすすめられるが、その妻の加恵と於継の葛藤を中心に描く。面白いといっては失礼なんだけどとにかく面白い。青洲が京から帰ってくるまでは実の親子以上に仲良くしていた加恵と於継が青洲を巡って諍いをはじめる。多分、傍目には良くできた義母とうつったであろうが加恵にはそんなやり方が我慢できない。賢い者同士なので声を荒げた争いはないがそれがかえって陰湿になる。よくもまぁ。見てきたような。そんな言葉が口をついて出てくるほどなまなましい嫁姑のバトル。小陸が死ぬ前に「家のことをみんな任せて嫁にも行かせず済まなかった」とわびる加恵に、母と加恵の争いを見ていて自分は嫁に行かなくて良かったと語るシーンがある。これには加恵もショックを受ける。わが家は親とは同居していないので、幸いなことにこんなシーンにお目にかかることはなかったがいずこも同じなのだろうか。そうでないことを信じたい。しかし作品としては面白いのでおすすめ。芝居がきたら見に行きたいね。作品は和歌山弁がふんだんに使われているけど、テープでは朗読する方がこのイントネーションになれていないようなので少し耳障り。それを差し引いても迫力ありです。