「出口のない海」 横山秀夫著
10月25日(水)「出口のない海」 横山秀夫著話題の映画の原作。ストーリーを聞いてどうしても読んでみたくなり予約をしたところそれほど予約もなく案外すんなりと借りることができた。横山さんが太平洋戦争中の話を、そして人間魚雷として死ぬ運命にある若者をどういう風に描くのかに非常に興味を持ったのだ。結果としては期待以上だった。所謂日常生活から軍に入る。そしてその中で、志願により死ぬことが確実な特攻隊に入ることになった若者の運命が描かれている。ようはオイラの興味はただ一つ。横山さんが死に向かう、死を運命として受け入れなければならない若者をどのように描くのか?こういう運命が決まっているような本の場合、主人公が死に至るまでの心の動き、そして死への向かい方。ようはこれさえしっかりしていれば物語は成立するし、そこが上手く描かれてさえいればそこに感動が生まれる。ネタばれになるので詳しくは書けないけどなるほどああいう終わり方なのね。正直賛否ある終わり方だと思うけどオイラは共感を持てました。戦争と言う極限状態に置かれた時に人は何を考え、何を感じるのだろう?そう言ったところを筆巧者の横山さんが余すことなく描いている。絶望的な運命に翻弄されながらも潔く生きた主人公に感情移入しまくりの素晴らしい本でした。これだから読書は止められない!!