希望の萌芽
前回の日記を書いてからしばらくの間、マーケッター稼業の方で、某プレゼン作業に忙殺されていた。まさに、忙殺。。。こういう働き方をしてしまうと、しばらくはほんとまったく何もしたくなくなるのだけど、今回少し違ったのは、仕事と育児の両立ってホント絶望的だよね、、、という気分になってしまったこと。2年前、わたしを自由研究に駆り立てた体験があり、今回、それとまったく同じことを体験して、両立事情は全然変わっていないどころか、快方に向けて、1ミリも動いていないと感じた。何より致命的だったのは、具体的解決策がまったく分からない、と思ったこと。大きなビジョンではなくて、ミクロに具体的企業を特定して、その様々な現場の事情の中でどうすればいいか、という、非常に具体的なソリューションが、まったく分からなくなった。●一緒にプロジェクトを進めた方は4歳児の母で、まさにプレゼン準備の一番忙しいときに、お子さんがおたふく風邪になってしまった。ご主人は海外赴任中で、協力を得るのは無理な話。仕事は仕事で一番大事な企画段階なので、もちろん、休むわけにはいかない。ここで「もちろん」なのは、おかしいのだけど、リアルな現場の事情の中では、「もちろん」なんです。だって、マーケティング部門の担当者が、彼女しかいないんだから。それで、サポートとして、わたしが呼ばれている訳だが、役割が違うから、わたしひとりで肩代わりすることは出来ない。今回はそういうチーム構成ではなかったから。じゃ、彼女が休めるチーム構成をって言ってもね、そら無理な話。それが出来るなら、最初からわたし呼ばれてないですもん。これって、彼女を責めるわけにはいかんですよ。そうまでして仕事?とか、まったく、そういう次元の話でもない。逆に、仕事を辞めればいいってもんじゃない。辞めちゃえば、どんだけラクか。むしろ、そういう選択を迫ってしまうこと自体が、めっちゃくちゃおかしいわけで、ほんとどうかしてる。ここで辞める、という選択は、一時的&個人的にはラクになるかもしれないけど、長期的&構造的には、ますますネガなスパイラルを加速することになるわけで、どうかと思うんだ。じゃあ、どうすればいい・・・???リアルな現場に身を投じながら、あちらの事情、こちらの事情、現場の実態と、母の声、、、さまざまなステイクホルダーのリアルと、目の前に広がるプロジェクト推進上のリアルを前にして、ほんと、わたしは絶望的だと思った。いや、ビック・ビジョンは描けるんです。日本全体を見渡して、なんのために、どうなるべきなのか。働き方のドラスティックな見直しや、妊娠・出産・仕事の両立にまつわる情報の質アップ、そして何より、リスクテイカーの育成が必要なのは疑う余地がないし、ましてや、現状に甘んじるなんて、もっての他だと思っている。でも、超ミクロな視点に立って、前述の彼女の問題を具体的に解決するにはどうすればいいの?って話。現場のリアリティを前に、一体どうしたらビックビジョンまで辿り着けるのか、、、その距離が急激に遠くなった気がして、目の前の梯子が、ガタンと音を立てて倒れていった。●この落ち込みは思いのほか激しかったらしく、しばらく心身ともに停止していたのでした。そういうときは、存分に停止しておくタイプの人間で、無理やりアクセルを踏んだりできず、ヒントやらエネルギーやらが沸いてくるまで、放置しておったのですが、、、そんな中、毎日新聞の少子化アンケートで、みんなが求めているのは「仕事と育児の距離を縮めること」なんだということを知り、やっぱそうなんじゃん!と思えて、ちょっと元気になった。そして、今日、4つ葉プロジェクトの勉強会で、海外の子育て支援策の勉強会で完全復活!いたしました!少子化対策ではなく家族支援である、というコンセプト※や、 ※成果指標は出生率アップではないし、 そもそもそんなのは個人の自由な選択であり、 こどもの人権の問題であり、 総体としてのワークライフバランスの問題施策・制度の社会的背景である、働き方(長時間労働/人的資源の需給バランスの崩れ)、性別役割意識、ライフスタイル選択の自由度、若者の自立の遅れ、といった視点を包含してご紹介くださたのは、まさに、わたしの絶望を棚卸ししていただいた気分だった。それに加えて、世界中のケーススタディを、ふんだんな客観データとともにご紹介頂いたことで、絶望の淵に、希望の萌芽を見ましたよ、確実に。わたし的には、国視点と企業視点の両方でご紹介いただいたのが、ありがたかった。特に、企業視点で、ワーク・ライフ・バランスの実践と、優秀な人材確保&従業員の質の向上&生産性アップを結びつけた客観的なデータを得たのは初めてのことで、めちゃくちゃ興奮した。わたしが言うのもおこがましい話なんですけど、渥美さんのお仕事は、実に素晴らしいと思う。これだけの客観データがあれば、いろんな立場のステイクホルダーたちを、それぞれに説得するシナリオが何本も書けるじゃん!と、笑全身に勇気が沸いてくるのを感じました。いまのわたしに最良の処方箋。(説得のシナリオづくりで超ワクワクしてるわたしは、 やっぱ企画屋なんだと思う。笑)こんなに良質で膨大な最新の世界事情は、きっと日本中でここでしか聞けなかったと思う。渥美さんの最高品質のフィールドワークに、感謝とリスペクトを捧げます!フローレンスのみんなにも、聞かせてあげたかった!そうだ!渥美さんに講演をお願いしようっ!爆●一度は絶望したけれど、その脇にはちゃんと希望の萌芽がある。つか、絶望の脇にしか希望はないんだ(by村上龍)。絶望してからこのお話を聞いて、よかったと思います。