「ホーム・スイートホーム」を観た
先の介護法が施行された2000年制作の映画「ホーム・スイートホーム」を観ました。 元オペラ歌手の主人公(神山繁)が惚けて来出して、家族に迷惑が及んでいます。一階で息子(小林稔侍)のやっているお寿司屋さんの店内にも突如現れ、昔取った杵柄とばかりにカセットから流れてくる伴奏でオペラを歌い出す。止めに入って2階に追いやった息子とつかみ合いの喧嘩、あげく一家の大黒柱である息子は階下まで突き落とされ大腿骨を折ってしまいます。 この騒動が物語の発端です。どこの家庭でも起こりうる老人性痴呆症を抱えた家族の大変さが、痛いほどに伝わって来ます。深刻なテーマながら、松山善三さん原作・脚本と聞けば、笑って泣いてのしっかりしたホームドラマだと想像してもらえるでしょう。 脇を固める嫁役の風吹ジュンさん、グループホーム経営者役の横山通乃さん(往年の横山道代さん、ちろりん村とくるみの木のトンペイの声でしたねって、こんなの知ってるのはよほど長く人間務めた人だけ)がとっても魅力的でした。 一人一人がよく描けているからなのか、観ている私がそれなりの年齢になったからなのか、とにかく登場人物(画面の隅々にまで心配りが行き届いています)の言動すべてが、説得力を持っていました。 最後は夢のような良い良い尽しで幕を閉じますが、でも息子や孫(酒井美紀)たちが、自分の生き方を見つめ直し、針路を大きく変えて踏み出して行く姿に感動を覚えました。後味の好いお薦め映画です。