木曜日にはココアを / 青山美智子
連作短編職人、青山美智子のデビュー作。小さなカフェで始まるちょっと素敵な恋の物語から、登場人物が繋がっていく形式で12話。東京とシドニーを結び、最終話で見事に最初の場所に戻ってきます。うまいねぇ。ちょっと直截的に「いい話でしょ」感を押し出してくる感じが時々気になるけど、まあそれはひねくれたオッサンの戯言と思ってくれて良い。とても優しく、暖かな物語達です。***いずれにせよ、人は動いてみること。新しい出会い(人とは限らないけど)が何かを変えうる。別に極端に変われと強迫するわけではなくて、多少なりとも変化がないと生きていけない生き物なんだと思う。それだけに、コロナで動けないこと、出会えないこと、話せないことは強烈な呪いなのだと、どうしても思考がそちらに向いてしまう2020年です。千昌夫?度★★★☆☆