死日記 / 桂 望実
少年の日記を通して語られる過去。刑事による母親の取り調べ室での会話。その二つが平行して進む形式だが、タイトルとプロローグによって絶望的なラストは予告されている。しかも、実際の終局は読者の想像より悪い形で裏切られる。いや、それはもしかすると逆なのかもしれないが。あまりにも残酷な物語、その分周囲の人間の暖かさには救われる。著者自身の文庫後書きには、物語はフィクションで全ては作者の想像だとの注意書きがある。が、私たちは必ずしもそうではない事は知っている。貧困は悪だ、それも知っている。兆候を見つけた時、相談する場所があることも、そしてその限界も見聞きしている。だけど、だからこそ・・・、と。反抗度★★★★☆