GIVER 復讐の贈与者 / 日野 草
「復讐代行者」このモチーフは時折、よくできたエンターテイメントとして登場する。必殺仕事人はその代表格だ。かといって、それほど多くのヒットがあるわけではないのは、やはり描き方が難しいからだと思う。復讐者側に完全に感情移入するには、相手がよほどの悪人の必要があるけれど、そうすると物語は薄っぺらくなる。そこに微妙さを残せば、深みは出るかもしれないが後味は悪い・・・。仕事人が成功したのは時代劇という別世界感と、出色の「様式化」によるところが大きい。本作は、けして後味は良くない6本の悲惨な復讐劇。けれど、それらをある一つの疑問の答えに向けて収れんさせる構成としたことで、物語としてまとめ上げた。その疑問とは、「いかにしてこの復讐代行業者は出来上がったのか」00とナンバリングされたプロローグの後、06、05とカウントダウンされて01で終わる章番号を見たときにおそらくそういう事だろうとは想像できる仕組み。ただ残念ながら、必然性というか納得感はそれほど高くないし、時間を遡る構成も膝を打つほどの驚きはない。無報酬度★★★☆☆