ふたたび「サクリファイス」
内容についての感想を書きたくなったので、これから読もうかな~って考えている方は読まないでね。この本はちょっとミステリー仕立てになっていますから。「犠牲」ってなんだか陰惨な感じがするけれど、そういうことではない、って言い切ってる。…と思う。主人公の『ぼく』はエースの力は持っていても、自分がその器でないことを知っている。主人公である『ぼく』の苦悩というより、エースである石尾が、何の「犠牲」になったかの話だった。「犠牲」は辛くて苦しいことではなくて、本人にとっては必然だった。命を掛けている世界だからこそ、『犠牲』にもなれる。受け身ではなくてあくまで能動だ。『犠牲』は受け取り側の意識の問題で、本人はいたって当たり前なことなのだ。そうせずにはいられない心の状態。だからそうする。石尾のやり方が正しいかどうかは置いておいて、そういう生き方を貫ける意志の強さは素晴らしいと思う。