再訪切望: ロサンゼルスのゲッティ美術館 (J. Paul Getty Museum)
出張の最終日の午後やや時間ができたので、事業投資先の社長に薦められてダウンタウンから車で30分のところにあるゲッティ美術館へ行った。アートと過ごせた時間は1時間ほどだったけど、鮮烈な記憶となった。展示館が5つもあり、ほんらい1日たっぷり過ごしたい場所である。ぼくがまず向かったのが特別展館 (Exhibition Pavilion) で、 “Pacific Standard Time: Crosscurrents in L.A. Painting and Sculpture, 1950-1970” という現代美術展を催していた。David Hockney の作品が2作ありビビッときた。さいわいショップに彼の対談と作品写真を収めた本があり、購入。Martin Gayford著 A Bigger Message: Conversations with David Hockney (Thames & Hudson, 平成23年刊). 多くの日本人は南館や西館にあるゴッホやモネなどの印象派絵画を目当てに来るらしい。しかし時間がない中でぼくが次に向かったのは、日本でなかなか見られないであろうルネサンスの絵画や美麗な写本、家具などを展示した北館で、これは大正解だった。人物画が大好きなぼくに、15~16世紀の名品は鮮烈な刺激をくれた。宗教画も、人物の表情に注目しながら見れば断然おもしろい。ゲッティ美術館は最近は手書き写本の豪華本収集に力を入れていて、Manuscripts のコーナーにあるのは文学作品の原稿ではなく美術的価値のある写本。このコーナーを外さなかったのは、大正解だった。あっという間に閉館時間が来て、展示館エリア出口の新交通システム駅へ集合。同道者のうちぼくと同年齢のひとは、ゴッホの Irises と時間を過ごしたという。印象派絵画にひたる典型的日本人の過ごし方をなさったわけである。もうひとりの若いひとは、もともと美術にあまり関心がなかったのか、「暗い絵が多かったです。ルーベンスとか…」おいおい、そちらも名品じゃないか。神さま、ゲッティ美術館、ぜんぜん見きれてません。また行かせてください!