加藤嘉一(よしかず)氏の おかしな台湾論 「台湾のアイデンティティ問題は日本に歴史的責任がある」 だって?
北京大学朝鮮半島研究センター研究員の加藤嘉一(よしかず)氏は、香港のニュース雑誌 『亜洲週刊』 に “日本鏡子 (日本という鏡)” という1頁コラムを担当している。8月7日号では 「桃源郷に出会う」 と題して、はじめての台湾旅行の感想を。ここでさっそく ひねくれたことを書いている。≪ジョギングが好きなぼくは台湾滞在中、毎朝愛国東路と愛国西路が接する辺りまで走っては、「台湾人にとって愛国とは何か」という問題について考えた。ぼくはただただ 「台湾人」 がもっと平和的、理性的に現実に向き合い、変化に適応してほしいと望むのみだ。歴史的・政治的な原因から、台湾人の 「国家アイデンティティ (“国家認同”)」 は今に至るまでずっと戸惑いに満ちた、どうしようもない状態にあるのだが、これについては、かつて台湾を殖民地にした日本人に歴史的責任がある。≫口をあんぐり開けて、あきれましたね。台湾人の国家アイデンティティをゆがめたのは、まずもって中国国民党の蒋介石であるというべきでしょう。中華民国が国連代表権を人民共和国に奪われようという昭和46年、米国も日本も「台湾国として国連に残ったらどうか」と強く勧めたのにもかかわらず、それを頑として受け入れずに、全中国の領有を幻想することで自分の権力基盤をまもろうとした蒋介石。あの時点で蒋介石が利己を半分でも棄てて大局を見据えていれば、台湾独立は十分に可能だった。ふつうの国として、台湾の国家アイデンティティも確立したことでしょう。そして今日、台湾の国家アイデンティティ形成の邪魔をしている最大最悪の勢力はもちろん、中国共産党。共産党が台湾独立をぜったいに認めないという立場で外交を行うから、ふつうの国としての台湾が見えにくい。日本の台湾統治はじつに2世代前に終わっている。今日の台湾人の国家意識のありかたに関して、日本人はまったく無関係だ。加藤嘉一氏には、中国史・台湾史を小学生のレベルから勉強しなおしてもらいたい。