秋の夜長に。
こんにちは、當間です。毎年、この時期になるとこおろぎが家の中に入り込んできて、ころころと鳴き始めます。外では虫の大合唱。なんともにぎやかな秋の夜です。………………………………………娘に邪魔されずに本が読めるようになったのはいつ頃からでしょうか。もともとドキュメンタリーが好きだし、理屈っぽい本に囲まれて暮らしていますが、小説三昧で過ごせるものなら、過ごしたい。そんな私にぴったりな1冊が「諸国物語」。ポプラ社創業60周年特別企画として世界の文豪たちの傑作小説21編を1冊にまとめた分厚ーい本です。しかも意外と知られていないものばかり。『かけ』チエーホフ/原卓也訳、『秘密のないスフィンクス』ワイルド/平井程一訳、『盲目のジェロニモとその兄』シュニッツラー/山本有三訳、『三つの死』トルストイ/中村白葉訳、『鰐』ドストエフスキー/米川正夫訳、『片恋』ツルゲーネフ/二葉亭四迷訳……。母のバースデー・プレゼントにと購入したものの先に読んでしまおうと思い立ち、母の許可を得て、読み始めました。ところが、さすが文豪たちの作品だけあって、1作読むたびに、深く感銘を受けてしまい、気持ちを切り替えて次に進もうという気持ちになかなかなれず、発売されてすぐに入手したというのに、まだ、半分しか読めていません。母の誕生日はとっくに過ぎたのに、いまだに私の手元にあります。(この分厚い本を読み終えるまでに、 ほかの本を何冊読むんだろう、私は?)仕事などで必要だと思われる本は、たいてい数冊を同時進行的に読んでいたりしますが、小説だけはダメ。その世界に浸っていたいので、1作品を読み終えるまでは浮気厳禁。だからこそ、ぽっかりと空いた時間に一気呵成に読み終えてしまおうとするんです。「カラマーゾフの兄弟」の新訳が出版されたときも、そうでした。娘が「徹夜だー」と叫んだ夜、「じゃあ、おかあさん、あなたの徹夜に付き合って これ全部読んじゃおうっと」と、居間のテーブルに二人向き合って。私が読了したのに、娘はまだ作業が終わらず、結局、娘を残してさっさと寝てしまいました。ははは……。本を読み始めると話しかけられても返事すらしないので、家族は誰も近寄ってきません。困るのは、私が考えごとや書き物のために呻吟しているときに限って、いまだに娘が話しかけて来ることです。夫は、まさに「君子危うきに近寄らず」、絶対に近寄って来ません。でも、あまり遅くまで起きてると機嫌が悪い。子育てで忙しく過ごしている仲間から届くメールの受信時間が深夜だったり早朝だったりするのに強く共感してしまうのは、そんな家族との関わりがあるからかもしれません。お互いを気遣いつつ暮らす。本や仕事に夢中になってると「家族を見捨てないでくださいね」と耳打ちして来る夫がいてちょうどいい、のかな。………………………………………そうそう、お勧めの映画を教えてくださいとこのブログでお願いして「ぐるりのこと」をご紹介いただいたのに、まだ観に行っていません。渋谷の某映画館のレイトショーで上映している間に、なんとか観に行きたいなあ。