感性のものさし
野凛花は、南の島が大好きだ。その際は必然的に、たっぷりと椰子の木を見ることになる。椰子殻から作られる、活性炭(Active Carbon)というものがある。びっしりと目に見えないくらいの密度の多孔質で、脱色・吸湿・脱臭製などが高い。要はたくさんあいた穴に、色んなものをくっつける性質があるそうだ。空気や飲み水の浄化(家庭用の浄水装置にも組み込まれているよね)、工場排水の処理、近代的製法で大量生産される醤油・酒・薬品の精製などで大活躍しているそうだ。人の欲望で近代化・工業化・都市化が生まれ、それらが吐き出す「汚れ」で私たちの周囲は埋め尽くされている。(水も空気も土壌も海も)その中で、私たちは「きれい」を求めて、洗剤・活性炭などに依存し、「汚れ」を目の前から無くす。勘違いしていたのは、「汚れ」は消滅したんじゃないってこと。洗剤や活性炭で、とりあえず「汚れ」を目の前から「移動」させただけ。「汚れ」は、川や海や大気中に移動、そういう仕組みらしい。だから、色んな洗剤の「新製品」の威力は、「汚れ」の移動をどこまで高い精度で迅速に行うことができるか、ということだそうだ。知足という感性、老人たちに教えられた。