ママと娘の胃ガン克服記

[検査、告知、また検査…] カテゴリの記事

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  白血球減少

  血液検査をすると今回は白血球が3000になっていた。来週のタキソールの再開は見送られることに。金曜日も採血に行かなくてはいけなくなった。最近ママは咳をすることが多い。実は私も咳が止まらない。私がうつしてしまったのではないかと心配したが、入院している時からだという。今年の秋は咳が出る風邪が流行りなのかな？街行く人も咳き込んでいる人が多い。白血球が少ないということは感染症にかかりやすいということだから、気をつけないと。焼きバナナがいいんでしたっけ？白血球を増加させるには。他には何かありますか？ご存知の方がいらっしゃったら、教えて下さい。帰りに昼ご飯を食べるため、東区のあたりをうろうろしていたら、とても立派な洋館があった。どうも日本初の女優と言われて、以前NHKの大河ドラマのモデルにもなった川上貞奴の家『二葉館』のようである。前からママは一度行ってみたいと思っていたらしく見つけたことを喜んでいた。 ++二葉館のホームページへ++ご飯を食べた後、二葉館へ。大正から昭和初期に住んでいたと言われる家を移築、再現した建物は和洋折衷の素晴らしい邸宅だ。こんな素敵な家に住んでいたのだなぁ。。今でも十分通用するモダンなところもあり、伝統的なところもある。家に帰ってくると私はママ以上に疲れてしまって、すぐに応接間で倒れ混むように寝てしまった。う～ん、私も家にこもりっぱなしで体力が落ちているのかなぁ。

  2005/10/18

• お客さま

  昨日の夜は私の友達が家に泊まりにきてくれた。私が家事や身支度をしている間、ママといろいろな話をしてくれたみたいで、ママもとても喜んでいた。お客さまが家に来ると、適度な緊張感（？）が出て、ダラダラしないし、気持ちにも張りが出るので、とても良いと思う。夜はおじさん、おばさん、いとこがママの様子を見に家にきてくれた。いとこは来春結婚するので、ウェディングドレスの衣装合わせの写真を持って来て、ママに見せていた。「結婚式、出れるかなぁ…」とママ。大丈夫。絶対出れるよ。おばさんのおねえさんも今、肺ガンで闘病中である。一番私と年が近い、いとこのダンナさんのお父さんも癌で闘病中だ。ガンと戦っている人たちは本当にたくさんいる。早く画期的な治療法ができるといいのに。いつになったら、よい薬ができるのだろうか…

  2005/09/18

• 吐いたら…あれ？楽になった？

  今日はさぞかし体調が悪いだろうな…と暗い気持ちで病院へ昼すぎには向かった。ところが…予想に反して、体調よさそう！でも昨日の夜は吐いたのだそうだ。気持ち悪いというより、あっという間に吐き気がきたらしい。たぶん昨日からいつものロキソニンでもボンタールでもない、また新しい頓服を飲んだため、それが合わなかったみたい。ただ吐いた後はスッキリ（！）で、その後、私が買っておいたおにぎりをパクパク食べたって。それに昨夜は過去3回より尿意が少なく、まずまず寝れたとのことだ。ただ食欲はないままで、朝も昼もほとんど食べていないらしい。持って行ったフルーツとパンは少し食べたけれど、たくさん食べようとするとなんとなくムカムカするのだそうだ。でも痛みと熱がないので、体調的にはいいらしい。こちらとしたら、食べないのは心配だけど。

  2005/09/08

• おばあちゃんの命日　～母の再入院～

  今日は４年前に胃癌で亡くなったおばあちゃん（母方の）の命日である。あの日も暑い日だった…私はおばあちゃんの写真に話しかけた。「おばあちゃん、ママを守って」そしてママは今日からシスプラチン投薬のために入院である。病院へ行く前、また鎮痛剤が切れて、かなり痛がっていた。すぐに薬を飲んだが、効くまでに１時間ぐらいはかかる。10時に病院へ行かなくてはいけないのだが、少し遅れて病院へ向かった。薬が効いてくると、痛みそのものはなくなるのだが、今度は意識がボーっとするのだそうだ。体温も36度台前半、もしくは35度台にまでなってしまう。今度の部屋は消化器内科に移ってから初めに入った、一番長く入院していた部屋と同じだった。窓側は景色がいいのだが、今は夏。クーラーの送風口が近く冷風がきつい。冷房が苦手なママはちょっとかわいそうかも。昼ごろには薬が完全に効いてきて、ママは元気になった。最近咳がでるので、今日は胸のレントゲンと腹部のレントゲンをとった。午後私は家に戻ったのだが、夕方パパが病院へ行ったので話を聞くと、今までの鎮痛剤が強すぎるということで、薬を替えたそうである。なんでも子供用（！）のしかも１回２錠飲むものを１錠飲んで様子見らしい。夜8時頃、ママにメールを送った。「新しい鎮痛剤は効きますか？」ママの返信には「あまり効かないみたいです。痛いけど頑張れるところまで頑張ってみます。心配しないで。あまりメールをもらうと返事するのがつらいのでいい」と書いてあった。やっぱりロキソニンじゃないとダメなのかなぁ。。。。。半錠で強いなら、1/4錠？？でももともと小さな薬なので、それは難しいしなぁ。。。粉々にして舐める？？それも無理だろうなぁ。

  2005/08/02

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  「幸せはガンがくれた」

  ある方に勧められた本「幸せはガンがくれたー心が治した12人の記録」（川竹文夫）が偶然にもBook Offにあったので今日、買って読んでみました。『人間はなぜ治るのか』という、ガンの自然退縮を本格的に取材して放送した番組を元に「ガンは治る。治す力はあなた自身の中にある」ということを記した本です。12の癌が自然治癒した人の体験記を中心に筆者も癌を実際に闘病、克服し、科学的な内容にも踏み込んで説明がなされています。癌というのは『生活習慣病』で『免疫不全』なんだそうです。しかも体の病気である前に心の病気が引き起こすそうです。だから手術で癌を取り除いても、抗癌剤や放射能で癌をやっつけても、考え方と日々の生活習慣を変えないとまた癌は再発してしまう…逆に考え方を変えれば、癌は簡単に治るのだと。いろんなところにも同じ様なことが書いてありますが、この本は体験記スタイルの部分が多いので、より訴えるものがあります。しかも『幸せはガンがくれたのかもしれない、自分を顧みる機会を与え、より向上するきっかけをもたらしてくれた』とまでいいきる元ガン患者の方たちの言葉を見ていると、ガンは恐い病気ではない！と思えてきました。そのことを母に話し、母の心のわだかまりをなんとか解決しようと試みるのですが、なかなか難しいです。何が原因か大体実はわかっているんです。ママも私も。だからなんとかしたいんですけど、なかなか本人が動かない！母の心の問題を解決しないといくらいい治療をしても、免疫食品を飲んでも効果が薄くなってしまいそうで、どうしても私は焦ってしまいます。だから他の癌患者の方とももっと話をしてほしいし、手記やプログも読んでほしいし、この本読んでほしいと思うのですが、なかなか母は動こうとはしません。私ばかりが知識を得ても、ただ頭でっかちになってしまうし…いくらママに言葉で伝えようとしても『あなたには癌の苦しみがわからない』で一蹴されてしまいます。どうしたら、いいんだろう。＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊　※幸せはガンがくれた、ってすっかりガンが治ったママが言ってくれる日がきてほしい。幸せはガンがくれた

  2005/07/28

• 今度は私が…メソメソ病にかかってしまいました。

  今日は朝から体調が悪い。持病の腰痛も出てしまった。何かをしようと思っても、体が言うことを聞かない。なんだか自分が情けなくなった。なんでもっと体と精神が強くないんだろう、私。思わずママとパパの前で涙が出てしまった。

  2005/06/20

• 学校を退学

  実は私はこの春から社会福祉士の専門学校へ通っていた。仕事もやめ、とにかく１年勉強して、今後のために国家資格をとるつもりだった。でもママの癌がわかってから、学校に行けずにいた。学校は9時20分から16時40分までなので、確かに無理をすれば通えるかもしれない。でも今後のことを考えると勉強どころではない…もっと精神的に強い人ならいいのかもしれないけれど。癌を先生に宣告されてから1日だけ学校には行った。でも社会福祉士の勉強はそれこそ、病気や死や、そんな話題がいっぱい出てくる。今まではただの文字の羅列だった教科書や、先生の一言が、グサッグサッと私の心に突き刺さる。それこそ、授業中に何度ウルウルしてしまったことか。それにママもとても寂しがりな人なので、いつでも私がそばに来れる体制じゃないと、落ち込んでしまうのも知っている。ましてや私が看護と家事と勉強をこなす…なんて聞いたら、私への心配でまた体を悪くしてしまうだろう。それでいろいろ考えた末、退学を決めた。先生や友達は休学も勧めてくれたが、かえって後ろ髪を引かれるので、スパッとやめることにした。勉強はいつでもできるし。今はママの病気に全力投球したい。学校へ行って手続きを済ませて、クラスへ挨拶に行った。ただ事実を述べるはずだったのに、みんなの前ではなぜだか涙が出てきてしまった。その後友達と昼ごはんを食べに。そういえば、こんな風にみんなで歓談しながらご飯を食べるなんて久しぶりかも。友達と話をしていると、みんな家族の誰かが癌を患った経験があるということがわかった。癌は大分治るようになったとはいえ、やはり本人にも家族にも精神的ダメージが大きい病気なのだ。病院へ行くと、薬剤師さんが明日からの抗ガン剤投与の説明をしてくれた。口から飲むTS-1である。3週間投与で2週休み。その間8日目にシスプラチンの点滴投与がある。これで1クール。「こんな小さな薬が癌と戦い、そして副作用を起こすのか…」そんな感想だった。とにかく明日、明日からだ。

  2005/05/17

• 治療方針が決まった

  夕方、パパも病室にやってきた。話をしているとM先生がやってきて、「今後のことについて、ちょっと話があるのですが、いいですか？」と言う。病室の向かいにある、処置室に３人で行った。パソコンの画面を見せながら、先生は説明していった。1.抗ガン剤治療はあさって（5/18）から始める。2.前にも話した通り、まずTS-1（口服・錠剤）を3週間投与し2週間休むことを1クールとして行う。3.8日目にはシスプラチンを点滴で入れるがその前後、腎機能を助ける別の点滴を打つ。4.現在のところ2クールした時点で様子を見て、今後のことを決める。5.TS-1副作用は吐き気、食欲不振、皮膚の色素沈着、シスプラチンは腎機能の低下、骨髄の機能低下（白血球の減少）など。不安はあるが、今はやるしかないんだよね…＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊私とパパが病院から家に戻った後、いとこののんちゃんがお見舞いに来てくれたそうである。みんなママのためにありがとう！ママはとても喜んでいるよ。ママは今朝、消化器内科の大先生の回診の時にちょっと脅かされて、余計に心配になっている。というのも「あなたは今でも発熱があるから、他の人より抗ガン剤の副作用が強く出る可能性が高い」と言われちゃったらしい。それで「抗ガン剤、恐い」ってママは1日悩んでた。はっきりいって、迷惑です！大先生なんだから、病人を脅かすことはやめてほしい。

  2005/05/16

• 私の初めての胃カメラ体験

  ずっと去年から私も体調が悪い。年末などは胃薬を飲みまくっていた。ましてやこんな胃ガン騒動で毎日胃のあたりが引っ張られるように痛い。実は私、一度も胃ガン検診を受けたことがない。バリウム飲む検査は会社員の頃、一度だけ受けたけど、バリウムが体質に合わなかったのか１週間体調を崩してしまって、それ以来バリウム検査さえも受けていない。こんな大事な時に私も胃ガンだったらやばいので、意を決して胃カメラを飲むことにしたのである。光学検査室に行き、診察券と同意書（もし事故で胃に穴が空くことがあるかもしれないけど、了承してね～なんて内容のもの）を出して、順番待ち。部屋に入ると「これ飲んで下さい」と謎の液体を差し出された。飲んでみるとスポーツドリンクの味。「余裕じゃん！」と思ったのもつかの間、底の方に粉が溶けきれずにのこっていた！まず～い。何でも胃をきれいにするらしいが、何か気持ち悪い。ベッドに横になり、「腸の動きを止める注射をします」といわれ、なすがまま。「麻酔を口に含んでもらいます。喉で止めていて下さい」と水飴状のものをさじで喉に放り込まれた。「う…なんだこれは」まるでセメダインを喉に流し込んでいるような感じの気持ち悪さ。5分もこのまま？しかも注射の後、「腕をもんでいてください」なんて…揉むとその振動でゼリーが喉の奥に入りそうになった。5分たって、ジェルを全部外に出してと言われた。確かに喉のあたりにシビレがある。麻酔かかってるんじゃん。でもセメダイン感覚は抜けない。マウスピースを噛まされて、検査開始！胃カメラの先端はなんだかキラキラ七色に光っていた。が、感心してる間もなくお医者さんは私ののどに胃カメラをムギュムギュ入れはじめた。「もう少しゆっくり～」と言いたかったが、なにせ喉に突っ込まれているのだから、何も言えない。うえ～気持ち悪い。すごく痛くはないけど、すごい圧迫感。なんども「オェ～オェ～」をしてしまった。まぁ、食べ物も水さえも胃にはないので（前日夜9時より絶飲絶食）何も出てはこないのだが、一応女性なのにねぇ…みっともないったらありゃしない。しばらくするとモニターに私の胃の内部が映し出された。赤ピンクのその物体は思ったよりきれいだった。どんな腫瘍も見逃すまい！とモニターを不自然な格好で見ていたら、お医者さんが「そんなに一生懸命見てると気持ち悪くなりますよ～余裕のある時だけ見てね」と一言。でも結局、じっとモニターを見ていた。案外、私ってば度胸があるのかも。「オェ～オェ～」連発しながら、モニターを食い入るように見てる私は、ちょっと異常だったかな（笑）細胞検のためかちょっと組織をとったらしく、その後消毒液をシャーと撒いていた。画面で、シャーとやった瞬間、確かに胃のあたりでもなんだか冷たいものが噴出された実感があった。やっぱモニターに映ってるのは私の胃なんだ。最後にピロリ菌の検査のため、なんか処置をして「終わりました」抜く時はやけに早い。スルスルとホース（？）を抜いて行く。医者曰く、「胃はきれいなようですね」でも正式な結果は２週間後だ。そんな遅かったら、初期ガンがあっても進行しちゃうよね～

  2005/05/16

• ママを花フェスタに連れて行く

  ママは昔から花が大好きだ。花を見ると癒されるそうである。家にもいろいろな花が植えてある。抗ガン剤が始まったら、人込みはあまり行かない方がいいと聞いてたので、治療が始まる前にどこか花がたくさん咲いているところへ連れて行こうと思っていた。となりの県、岐阜県の可児で「花フェスタ2005」をやっていて、バラがたくさん咲いているときき、ここに連れて行くことに決めた。パパはママの体調を気にしていたが、とにかく行こう、ということで車で可児へ。テレビでも花フェスタのニュースが流れたこともあって、たくさんの人が来ていた。昼ご飯などは屋台みたいな店でも30分ぐらい並ばないと買えないぐらいだった。バラは満開までは1-2週間ほどという感じだったが、いろんな花が咲き乱れ、ママはうれしそうだった。園内はかなり広いので、歩いて廻るのがちょっと心配だったが、ママは「大丈夫」とのこと。持参した『ノニジュース』を飲みながら、一周した。家に戻るとやはりちょっと疲れたようでママはうたた寝をしていたが、「楽しかった！」と笑顔だった。連れて行ってよかった。今夜はまたママは病院へ戻らないといけない。抗ガン剤治療が始まったら、しばらくは家には戻れないかもしれない…とにかく早くまた帰ってきてね。

  2005/05/15

• 1日外泊

  ママは今日から1泊2日で家に帰ることができる。抗ガン剤が投与されれば、土日は帰れなくなることが増えるだろう。10時に行くと、もうママは準備万端だった。化粧をして普通の服を着ていれば、誰もガン患者とは思わないだろう。昼ご飯は病院から近いイーオンで中華を食べた。一番始めに外泊が許可になった時もよった店だ。あの時飲んだスープが忘れられないと、ママのリクエストでここに来た。やはり病院食はまずいらしい。家でくつろいでいると、いとこのひでちゃんがわざわざ家までお見舞いに来てくれた。ママはいとこの世話も昔からしていたから、いとこたちも次から次に来てくれる。本当にありがたいことです。

  2005/05/14

• 大腸ファイバーってやっぱり苦痛らしい。

  一番こわがっていた大腸ファイバーの検査の日だ。前の日から下剤を飲み、そして今日はニフラックという腸の中をきれいにする液体を2リットル飲まなくてはいけない。これがママには相当まずかったようで、全部は飲めずギブアップ。しかも病室にやってきた私に「飲んでみて」だって。自分がまずいと思ってるものを人に飲ませないでよ～飲んだら、う～ん、スポーツドリンクをセメダインで割った感じ（笑）レモン味が着けてあるのだが、もっとしょっぱく、液体の感覚が少しトロッとしている感じだ。「このにおいがダメ～」と泣きそうな顔をしていた。全部は飲みきれなかったが、看護婦さんに便を見てもらって、固形物がなくなっていたので（黄色い液体になる）これでOKらしい。でも液体化しているので、くしゃみなどしようもんなら、液体がおしりから出てしまうんだそうだ…（ママは生理用ナプキンをして検査室へいった）ママが検査している間、私は内科で診察を受けた。来週は胃カメラと腹部エコーをするんだって。あら、私、胃カメラ初体験だわ。診察が終わって、病室に行くとグターとなっているママがいた。「もう２度と大腸ファイバーは受けない！」とママ。なにせ、痛かったようである。検査を担当した人が上手じゃなかったみたいで、その痛さが尋常じゃなかったらしい。検査の後も「僕が下手だったもんで、ごめんなさい。今度やった時は痛くないと思います。だからこれに懲りず検査してください」と言われたんだって。何だそりゃ？？？？お腹にガスを入れて検査したから、今もお腹が張っていて痛いみたい。そんなに大腸ファイバーってきついのかぁ。でも人によっては痛くなかったっていう人もいるから、やっぱり検査する人の腕なんだろうなぁ。「大腸ファイバーの鉄人」っているのかなぁ。唯一の救いが「大腸はきれいだったです」の一言。これで抗ガン剤前の苦痛な検査は終わり。お疲れさま。ママ。

  2005/05/13

• 2回目の衝撃的な告知

  今日は消化器外科の先生から、手術についての説明がある。患者だけでも良かったそうだが、なんだか心配になって、私も付いて行った。外来の消化器外科の部屋に入った。そこにはママのCTや胃カメラの画像があった。外科の先生は画像などを見せながら、こう言った。「癌が胃だけで収まってないんです。胃の癌もかなり大きいのですが…（CTを見せる）内側よりも外側に出てしまっていて…でもこの範囲だったら、手術の時に胃の周りのリンパ節もとってくるので問題ないんです。」「問題はここなんです…（CTを見せる）この真ん中にある丸いのが大動脈なんですが、この横…すい臓との間に腫瘍があるんですよ。これがかなり大きくて、ピンポン玉ぐらいはあるかな。この位置の癌まで手術で取るとすると、かなり大きい手術になりダメージが大きいんですよ。できないというわけではないんですけどね。」みるみるうちにママの顔色が変わって行った。手術はしなくてはいけないと腹をくくったママだったが、まさか手術もできない状態なんて…「それで、まずは抗ガン剤を投与してガンをできるだけ小さくしてから、手術ができるかどうか検討する方がいいと思うんですよ。今すぐ手術するよりも…」と先生。その後も何か言っていたが、私はママのことが心配で心配で。ママは言った。「手遅れということなんですね。」目からがまんしていた涙がこぼれた。医者は「いや、手遅れということじゃないんですよ。病状も出ていないし、ただ、今すぐ手術はリスクが高いということです。それに38度台の発熱も気になります」とにかくまずは抗ガン剤を入れて、様子見ということだけはわかった。ママは診察室を出るとソファーに座ってしまい、しばらくは歩けなくなってしまった。私もなんて言って励ましていいかわからなかった。ただ「大丈夫だよ、大丈夫だよ」と繰り返すことしかできなかった。その後、私は総合医療科の診察があったのでそちらに行かなくてはいけなかった。ママは「自分で病室に帰れるから」と言って、一人で歩いて行った。診察が終わり病室に戻る時、ママにどう接したらいいのだろう…と思い、足取りが重かった。でも病室のママは思ったより元気になっていた。腹をくくるとはすごいことなのかもしれない。でも…でも…辛いだろうな（涙）私は信じている。ママは必ずガンを克服することを。抗ガン剤や代替療法が効いて、ガンが小さくなっていうことを。だってママはこんなに元気なんだから。絶対に私がママを守っていく。

  2005/05/10

• 癌告知の日

  今日から1泊2日で外泊許可が出た。でも帰る前に先生から話があるとのことだったので、私もパパも早く病院へ言った。病室についてしばらくするとM先生がやってきた。「じゃあ、あちらの部屋に行きますか」と先生。別室に入ると、パソコンの画面にはママのCT写真や胃カメラの写真の画像があった。「いろいろ調べさせてもらいましたが、やはり生検の結果、あの腫瘍は悪性でした。」本人に癌と告げたのはこれが初めてである。今までは限りなく黒に近いグレーって感じで濁していたけど、はっきり言われてしまった。「それも初期ではないです。大分進んでいます。ボールマン3型という癌です。たぶんここまでの腫瘍になるのに3年ぐらいは経っています。胃の中では下の方に腫瘍があります。」「胃だけでなく、リンパの方にも腫れが見られます。あと38度台の熱が気になります。抗ガン剤を使うにしても熱があると合併症とかが心配ですし、他の部分にも何か問題がないか調べなくてはいけません。」「来週はまず消化器外科の先生から手術についてのお話と、あと膠原病もあるといけないので、専門の先生の診察、あとは大腸の内視鏡検査や再度X線検査もしてもらいます。」あぁ、全てママに話してしまうのね…今は本当に包み隠さず全部告知なんだ。昔、「もし癌になったら、告知してほしい、それとも黙っていてほしい？」という話になったことがあり、私とパパは「告知してほしい」、ママは「告知してほしくない」って言ってたな。でも3年前おばあちゃんが胃癌になった時、やっぱり簡単に本人に告知されちゃったので、あれを見てママは「今は癌も告知する時代になったんだね…」と言っていたっけ。ただ、おばあちゃんの時は全告知ではなかった。おばあちゃんの癌は胃だけでなく腹膜やあちこちにすでに転移していた。しかも進行のとても早い癌だった。胃を切除しても助かる見込みはないと家族には知らされていた。でもおばあちゃんには胃に癌があるということ、手術が必要ということしか医者は言わなかった。とにかく癌に向かっていくしかない！がんばれ、ママ。

  2005/05/07

• 当たり前のこと。＝　幸せなこと。

  家にいると、なんだかんだママは家事が気になって、手を出してしまう。私とパパでやるから、といっても、つい手伝いにきてしまう。それだけ体が動くのはありがたいことだけど…どこへ行くでもなく今日は1日のんびりと3人で過ごした。今までと何も変わらない、でも3人とも気持ちはいつもと違っていたと思う。当たり前のこと、当たり前のことができるというのは、なんて幸せなことなんだろう。夜、ママを病院に送って行った。すごくさみしい。

  2005/05/01

• 入院後、ママ初めて我が家に帰る。

  ゴールデンウィークが昨日から始まった。病院も暦どおりしか検査、治療が行われないので、ママも家に戻れることになった。世間は楽しい長期休暇だ。でも昨日の今日だから、どこかに行くなんて気持ちにはなれない。入院生活で必要なものがあるということで、病院から近いAEONに行った。1週間病院生活だったので、体力が落ちた、とママは言っていた。何しろ37度後半～38度前半の熱が今もまだ続いている。もうかれこれ1ヶ月以上だ。普通だったら、とても歩き回れる状態じゃないはずなのだが、不思議なことにママは「暖かくて気持ちいい」と言う！風邪とかインフルエンザの発熱とは明らかに違うようだ。いったいどこから熱が出ているのだろう。。。。。4階のフードコートの中華料理店で昼食。ものすごく美味しいと言っていた。病院の食事は塩辛いだけで、旨味というものがないらしい。その後家に戻った。1週間ぶりなのに、懐かしい気がするみたい。ママはやっぱり家はいい、と言った。夜、なんだか眠れなくて、ママの寝室へ行った。いろいろ話をした。「ママがいないと、家の中静まりかえってるよ。早く帰ってきてくれなきゃ、困るよ」「胃が悪くなるっていうのは、自分を卑下しているからだよ。自分なんか必要ない、いなくたっていいって思ってるからだよ。」私がそういうと、ママは「いまの言葉、ぐさっときた」と言う。1年前、私が一人暮らしを辞めてこの家に戻ってきてから、もう私がいるから、自分はいなくても大丈夫って思ったらしい。その他にもいろいろあって（ここでは書かないが）自分なんか必要ないって思うことがあったんだそうである。冗談じゃないよ！私がこの家に戻ってきたのは家族３人楽しく暮らすためでしょう！ママが必要ないなんて、誰が言った？「ママは絶対この家に必要なんだし、私が結婚して、子供生まれたら、世話だって手伝ってもらわなきゃいけないんだからね～まだまだ頑張ってもらわないと」ママは泣いていた。私も涙がこぼれた。そういえば4年前、母方のおばあちゃんが胃ガンになったのだが、孫の世話（いとこの両親は先生なので忙しく、おばあちゃんが育てたようなものである）が一段落ついてしばらくして、胃を悪くした。やはり胃というところは「自分なんて必要ない」と思うと障害が出てくるものなのか…

  2005/04/30

• みんなでお話を聞く

  結局一睡もできないまま、朝が来た。体中が痛い。もともと私とママは同じような症状だった。2ヶ月ぐらい咳と痰が続き、熱もあった。ただ違うのは私は37度台で、ママは38度台が出てたということと、ママは痩せてきたということだ。それ以外の症状は私の方が首は痛い、胃は痛い、下腹部は痛い、とママよりひどいくらいだった。とにかく熱が高すぎるということで、ママが先に病院へ行ったのだ。私ものばしのばしにしていた診察を受けてみることにした。血液検査、尿検査、肺のX線写真をとった。結果は異常なしだった。でも症状はひどいので、薬をもらって、来週また検査するとのことだった。昨日の電話のこともあって、私は衰弱しきっていた。歩いていても、足が地についていない感じ。でも午後は学校の授業を受けに行った。今まで何の気なしに聞いていた授業の内容が、今日はことさら心に痛い。何しろ社会福祉士の勉強は病気や死や介護の話がしょっちゅう出てくる。その度にウルウルしてしまう。顔色が悪く、目も腫れている私を見て、友達が声をかけてきた。「母親が癌なの」というと、その友達は「実は私のお母さんも癌で今年亡くなったの」と言うではないか…知らなかった。いつも明るい彼女がついこの間、そんな辛いことがあったなんて…知らなかったよ。彼女の強さに頭が下がった。夕方5時から先生から話があるというので、学校終わってからダッシュで病院に戻った。別室に行くと総合診療科の3人の先生と消化器内科の先生がいた。ママとパパと私も腰かけた。もちろん昨日電話があったことはママには話していない。CT、シンチグラム、胃カメラなどの画像が並べられていた。先生はおもむろに口を開いた。「検査の結果、咳、痰から肺の病気かと最初は思ったのですが、血液検査で炎症のをしめす値が高かったことと、検便で血液検査が認められたので消化器の方が重点に調べてみました。」「この画像を見てもわかるように（シンチグラム～アイソトープPETと同じような検査～）胃のところにアイソトープが集まっています。」「胃カメラで撮影しましたら、このような（胃カメラの画像）腫瘍が見つかりました。今、細胞を生検に出していますので確実なことはまだ言えませんが、今後は消化器内科に移っていただいて、検査をしていただくことになります。」この日は腫瘍がある、ということだけで、ガンという言葉は先生は1度も使わなかった。でもその腫瘍の画像は、なんともグロテスクで映画のエイリアンみたいだった。葡萄のようにブクブクとした腫瘍で、どうみてもやばそうだった。あんなすごいものがママの胃にあるのか…でも3年前に胃癌で手術したおばあちゃんの胃とは明らかに違う。おばあちゃんはスキルス胃癌だったので、ほとんどデコボコはなかった。切った胃も見たが、赤い発疹みたいなものが胃壁にあるだけだった。ガンは見かけは蚊にさされたようなものなんだな…と思った覚えがある。あんな小さな発疹がおばあちゃんを苦しめ、死に追いやったのか…とショックだった。ママの胃は素人が見ても、明らかに腫瘍、とわかるものだった。ガンの可能性が高いんだろうが、もしかしたら生検の結果で良性と出るかもしれない…希望だけは持ちたいと思った。＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊今日の検査…心臓エコー検査

  2005/04/28

• 夜の電話

  夜、9時半頃、電話がなった。病院のN先生からだった。「娘さんですか？お父さんはいらっしゃいますか？」いやな予感がした。父親の寝室に電話をまわして、私も父親の部屋に行った。何の話か気になったからである。父親の電話の様子で何の話をしているかわかった。ママの病気は癌らしいのだ。しかももともとの症状（咳と痰）とは何の関係もない胃の癌だ。しかも初期ではないようである。便に潜血反応があったと聞いた時から、いやな予感がしていたのだが、まさか進行ガンなんて、思いもしなかった…途中パパから電話を変わってもらった。どうしても3年前のおばあちゃんの胃癌のことが頭をよぎる。「どのくらいまで進行しているんですか？ステージでいうとどのレベルですか？」と先生に聞くと「レベル3かそれ以上かもしれません」とのこと。しかも胃だけでなく、リンパの方にも腫瘍が見られるらしい。確実なことは、生検の結果待ちらしいが、まず間違いないだろうとのことだった。電話が終わって、あまりのショックでパパも私も呆然としていた。なんで？？ママは咳と痰がひどくて病院に行ったのに…肺には問題ないっていってたのに…なんで胃なの？しかも症状もほとんどないまま、癌が見つかったのに、どうして初期じゃないの？なんで他のところまで転移してるの？？どうして？どうして？どうして？自分のベッドに入ってからも全く眠れなかった。涙が止まらなかった。結局そのまま夜は明けた。一睡もできないまま。ママが進行ガンだなんて。＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊今日の検査…超音波エコー（9時～）、造影CT（11時～）

  2005/04/27

• 胃＆十二指腸ファイバー

  今日のママの検査は胃＆十二指腸ファイバー（胃カメラ）である。ママは前に胃カメラを町医者で飲んだことがある。やった人は誰でも気持ち悪かったというが、私はまだ飲んだことがない。ママは比較的うまく飲めたようである。ママ曰く「昔より胃カメラが小さくなった。技術は進歩してる」と言っていた。「胃の様子、モニターで見た？」と聞いたら、「気持ち悪くて見れなかった」と言っていた。「十二指腸に押し込まれる時がちょっと気持ち悪かった」と言っていた。明日は造影CTスキャンと超音波エコー検査がある。だから今日は夜9時以降、飲食禁止だ。明日の検査は痛くない検査だから、ママもリラックスしている。でもちょっと心配なことが…検便に潜血反応があったと看護婦に言われたそうだ。便に血が混じるということは消化器系の病気？？まさか。消化器系の病気なのに咳や痰が出るの？＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊N病院では患者に作務衣（さむえ）のような青い衣装を貸してくれるのだが、ママはずっとTシャツとトレパンで過ごしている。だからぱっと見ると入院してる人に見えない。結構おしゃれにはうるさい人だから、毎日衣装替えしてるし、きれいな色の服を着ている。

  2005/04/26

• アイソトープ検査（ガリウムシンチグラム）

  いよいよ本格的な検査が始まった。今日はアイソトープ検査だ。先週の金曜日に注射した放射線物質（ガリウム）の様子を見るのだ。このアイソトープ検査（シンチグラム）はガンマ線と言う放射線を放出する放射性同位元素( Radio Isotope )を含んだ薬品を注射や経口的に体内に入れ、臓器や病変部に取り込まれた薬品から放出するガンマ線を体外の検出器( カメラ )で撮像する検査だ。この薬品は、腫瘍や炎症に集まる性質があるので、この性質を利用して腫瘍や炎症が、どの部位にあり、どの程度の進行具合かを調べることができる。なんでも2-3日後にシンチグラムをとると病巣が最も鮮明に見えるらしい。患者にとっては注射の痛みしかないので、楽な検査だ。いったいママはどこが悪いのだろう…ただの肺炎じゃないのか？7年前、私はマイコプラズマ肺炎になったことがある。その時も咳と痰がひどく、あまりの咳のひどさで肋骨が3本も折れてしまった！その時6件、病院に行ったのだが、風邪とか気管支炎とか診断されて、薬を飲んだが一向に治らず、最後にこのN大附属病院へ行って「マイコプラズマ肺炎」と診断されたのである。マイコ用の抗生物質をもらったら、それまで3ヶ月苦しんでいた咳がぴたっと止まった。だから、今回、ママの咳と痰と発熱が治らないのを見て、N病院を勧めたのである。でも、マイコプラズマの抗生物質はママには効かなかった…しかも検査入院なんて。私もママと同じく咳と痰と微熱が続いている。同じ病気か？＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊　●これがシンチグラムの画像です。（この画像はママのものではありません）　　　炎症、腫瘍があるところは黒く表示されます。　　後日談ですが、ママのシンチグラムはみごとに胃のところが真っ黒でした。　

  2005/04/25

• 今日からママは検査入院、私は障害者施設実習。

  いよいよママは今日からN大学付属病院へ検査入院である。私は学校の施設実習のため、付き添うことができない。パパがママを病院へ連れて行く。「検査入院だもの。すぐ帰ってくるよ」とママ。「実習終わったら、病院へ行くね」と私。今日からは家に帰っても、ママの笑顔はない。今日、実習する施設は知多郡東浦町にある「ひかりのさと のぞみの家」という身体障害者のための療護施設である。周りには知的障害者授産施設、更生施設、老人ホームなど、広い土地（元は牧場だったらしい）に福祉施設が集まっている。初めは知的障害者授産施設の方で説明を聞いた。ここは自家製パンや焙煎コーヒーなども売っていて、よいにおいがたちこめ、明るい雰囲気であった。その後、それぞれの実習場所に移動となったが、私たち３人が実習した身体障害者の療護施設は建物自体も古く、入所者の9割が脳性マヒの方ということもあって、雰囲気が違っていた。今まで老人ホームや老人デイケアでは実習したことがあったが、身体障害の方の施設を訪れたのは初めてだった。障害者施設といっても、●授産施設…障害があっても軽作業ならこなせる方たちが、仕事をしながら社会生活をするところ。●更生施設…障害者の方たちが体のリハビリをしながら、社会生活に必要な技能を身に着けていくところ。●療護施設…重度障害を持つ方々が体の療養をしながら、生活をするところ。と障害の重さによって、施設が分かれている。今回実習したのは療護施設だったので、ほとんどの方は介護なしでは日常生活は難しい。私もどう接していいのか、とまどってしまった。話もできない方もたくさんいる。頭を床に打ち続けている人もいる…でも１人の車いすの男性の方が声をかけてくださって、話をしてくれた。「自分たちは健常者と何ら感じること、思うことは変わらない。ただ、表現ができないだけである。頭では思っていても、それを伝える手段が限られている」「だから心で接してくれれば、すぐに自分たちはその人の誠意がわかる」と。この男の方が一生懸命ゆっくりと話して下さる横で、会話ができない方もうんうんとうなずきながら、聞いている。「言葉」にはできないが、動作で彼等は私たちに伝えてくれるのだ。いろいろと勉強になった１日であった。彼等の方が私より精神的には豊かであると感じた。人は越えられない苦しみは与えられないという言葉がある。それぞれハードルの高さは違うけれど、その人にあったチャレンジのハードルが与えられるんだそうである。彼等のハードルは私より高い。実施が終わって、病院へ向かった。11階西棟の病室には呼吸器系の患者の方がいた。ママと同室の方はみんな肺ガンを患っている。だからママも「私も肺ガンなのかも」と言っていた。まだ検査もしてないんだから、決めつけちゃダメ！＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊今日の検査…採血、検尿などの他にアイソトープ検査のために、放射線物質（ガリウム）を微量注射したそうである。放射線物質なんて体内に入れていいの？しかも注射で？どういう検査なのかなぁ。＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊　●N病院の病室（4人部屋）です。新しい病棟なのでよかったです。　　高層階なので、とにかく見晴しが素晴らし～です。　

  2005/04/22

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