がんを患った方へのアロマセラピーと論文の質
日本の看護雑誌に日本人が研究したアロマの研究報告が掲載されていることもあります。新たな発見があるかと楽しみ勇んで読んでみるのですが、期待とは裏腹なことも多いです。中には素晴しい報告もあるのですが、大半は残念ながら国際的に通用できる内容ではないように思えます。それは世界の医療系雑誌の格付けランキングを見てもわかります。格付けとは何も企業だけに行われているわけではありません。今話題のフジテレビジョンは今回ライブドアの三者割当増資を引き受けることで、企業としての格が落ちるそうです。理由は財務上の負担が増えるためですが、企業の格付けを専門としている格付投資情報センター(R&I)が格付けを引き下げる方向で検討しているそうです。このような医療系雑誌格付け調査によると日本の看護雑誌の格は世界の中でも下級とされています。(悲しいですね。)「そんなことはない、私たちは頑張って研究をしている」と言っても、日本語で書いている以上日本人しか読めず、イコール誰にも読まれていません。世界でも最上級とされている英国の医学系雑誌「ランセット」を見れば、日本の看護雑誌はまだまだと唸ってしまいます。Epidemiologyが発達しているアメリカや英国では、世界を見据えた論文の書き方を教わるため学生でも一流の論文を発表しています。だからといって日本人看護師の技術や知識が劣るとは思っていません。私は英国と日本ででしか医療に携わっていませんが、いろんな人種と働いてみて日本人の看護師の技術や知識・気遣いは世界屈指だとは思います。看護という仕事にも関わらず、車の製造における技術職ばかりでなく接客業でもあるフライトアテンダントの方を見ても全般的に日本人は手先が器用で、心遣いが細やかな気がします。ですから世界と比べる一つの指標である看護論文が下級とされているだけに、世界から看護の質が低いと揶揄されるのは日本人として悔しいです。最近は世界で看護師として働く人や大卒も多くなり、何年かすれば世界と張り合える論文が登場してくるでしょう。私もその一人になれるよう、論文技術の腕をあげていきたいものです。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・論文を見ていくと最近は癌などを患っている方へのPalliative Care(緩和ケアー)で効果的な研究結果がよく報告されています。Buckle (1997, p227) は「治療だけでなく、疾患の症状を和らげる」と述べ、がん患者へのアロマを使ったアプローチの仕方を論じています。癌は日本で一番多い死亡原因です。ホスピス病院など沢山できてはいますが、まだまだ欧米ほどの緩和ケアーがされているとは思いません。その時アロマを使うことも、患者さんにとっては一瞬の心の安らぎになるはずだと思います。今回は”がんを患っている”方へ使用できる精油をご紹介します。まず”がんを患った方”へ使わない方が良いとされる精油は、バジル、フェネル、ホーリーフ、ラウレル、マートル、ナツメグ(*1)湿疹や乾癬の症状がある方へのブレンドの禁忌精油例は、シトロネラ、クローブ、ユーカリシトロネラ、ラウレル、レモングラス、メイチャン、メリッサ、オレガノ、タイムメラノーマ(黒色腫瘍)を患った方へのアロマセラピーで使わないほうが良いとされる精油はベルガモット、またd-limoneneが高いオイル・オレンジ・ライム・レモン・グレープフルーツは腫瘍をかえって成長させる刺激にもなるので避けたほうがいいでしょう。(*2)多くの誤解があるようですが、癌だからといってマッサージをすべきでないという研究結果はありません。(*3)もちろん通常のマッサージにおける禁止事項はありますので、医療知識を持ったアロマセラピストが行うことや指導が必要です。しかし自宅療法中の方に背中などさすってあげたりする場合は、以下の3つほど注意事項を守れば良いとされています。・放射線照射をしている部位を避ける(*4)・腫瘍近くを避ける・現在浮腫などが著明な部位では、どのような精油が使えるか・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・多くの論文ではローマンカモマイルが緊張を解し、不安を軽減させたと述べています。例えばWilkinsonSらは103名のがん患者に対して、キャリアオイル(グレープシード)にローマンカモマイルをブレンドし(1%)、アロママッサージを施行したところ、不安の軽減だけでなく、クオリティライフの向上や肉体的な安楽の訴えがあったと述べています。(*5)。別の論文でも313人のがん患者へラベンダー、ベルガモット、シダーウッドのブレンド(1%)でアロマセラピーマッサージをしたところ、同じく不安などの軽減に役立ったと述べています(*6)。他にもローマンカモマイル、フランキンセンス、ネロリ、ラベンダー、スイートマジョラム、ローズ、サンダルウッドも同様の効果が見られたと述べています。(*7)。アロマセラピーの知識がない方ががんを患っている方へのマッサージを行うことは私自身は懐疑的です。ですがお風呂に数滴垂らし香りを楽しむ芳香浴などは簡単にできますし、マッサージ同様のリラックス効果があると思います。ただお風呂に入れ時に注意しなければいけないのは、直接入れると肌に直に触れる場合があり、只でさえただれなどをおこしやすので、必ず牛乳か蜂蜜で薄めてください。ローマンカモマイル、ラベンダー、シダーウッド、フランキンセンス、ローズなどをお風呂に2・3滴、牛乳などに希釈して入れると良いと思います。もし、牛乳などで薄めるのが面倒だと言う方は、入浴のための拡散オイルを使われると良いと思います。ブレンドするのが苦手な方へは遮光ボトル10ml用などにオイルと精油を混ぜてあげて、10個ほどまとめて冷蔵庫に保存して使われるのも良いかもしれません。アロマセラピ-が癌を患った方へのQuality Of Life向上に手助けできれば良いですよね。*お知らせです!Potential AromaのサイトのURLが変更になりました。こちらから御覧になれます。→「Potential Aroma」アロマオンラインショップも新たにリニューアルしました。前回よりも数倍見やすく、お求め安く致しました。ポイント制度も導入し、初回時に500ポイント合計3000ポイント獲得時には、商品の割引をさせて頂きます。是非ご利用ください。参考文献:(*1)Balacs and Tisserand (1995) Balacs T, Tisserand R (1995) Essential Oil Safety: A Guide for Health Care Professionals. London: Churchill Livingstone(*2)Roe 1959 p92-93; Roe et al. 1960, p1403; Peirce 1961 p497-498; Elegbede 1986 p2049)(*3)Peirce W (1961) Tumour-promotion by lime oil in the mouse forestomach. Nature 189: 497-498(*4)McNamara P (1993) Massage for people with cancer: a working paper. London: Wansdworth cancer Support Centre Publication(*5)1999 Sep;13(5):409-17. An evaluation of aromatherapy massage in palliative care. Wilkinson S, Aldridge J, Salmon I, Cain E, Wilson B(*6) Graham PH, Browne L, Cox H, et al. Inhalation aromatherapy during radiotherapy: results of a placebo-controlled double-blind randomized trial. Journal of Clinical Oncology. 2003;21:2372-2376. (*7)Strategic .Valerie Cooksley, R.N., cofounder of The Institute of Integrative Aromatherapy, has authored several books on aromatherapy, including Aromatherapy: A Lifetime Guide to Healing with Essential Oils (Prentice Hall, 1996)Copylight(C)Potential Aroma