弥生三月さよならの月 ― 池田利夫先生の訃報
池田利夫先生がお亡くなりになった。鶴見大学の名誉教授。鶴見大学文学部をここまでにしたのは、池田先生の力あってのもの、と言っても過言ではあるまい。私が、鶴見で学ぼうと思ったのは、岩佐美代子先生がいらっしゃったからだ。だが、結果として、一番お世話になったのは、池田先生だったかもしれない。池田先生から蒙った学恩が、わたしをこの場所まで導いてくれた。明治の恩師、鈴木一雄先生も、ワタシが鶴見に行くとご報告したら、 私の友人で、池田利夫氏がいる。 かれは厳しい文献学者だから、 しっかり勉強しなさい。とのアドバイスを頂いた。それを、結果として守ったことになる。大学院進学時には、さすがに新しい環境の下、飲めずに悶悶としていたが、そんな時に池田先生から声を掛けられた時の、うれしさっていったら。思い出すたび、じん、となる。一度ご一緒してからは、本当によくお誘い頂いたが、飲みながら伺うお話は、とても楽しかった。そして、色んなことを教わった。あの時間を過ごせないのかと思うと、ひどく、さみしい…一昨年は、同じく鶴見の名誉教授であった、山下一海先生が亡くなっている。昨年は、そう、井上宗雄先生がお亡くなりになった。岩佐先生が、さびしいわ、とおっしゃった。ワタシも、ひどくさみしい。池田先生は、俵万智なんて。っておっしゃっていたけれど、弥生三月は、ほんとうに、さよならの月だ。さよなら。さよなら、池田先生。今までありがとうございました。