シェーファー・ノスタルジア、バーメイル
とうとう,こいつを手にすることが…万年筆の師匠でもある、高田信敬師にもらった万年筆の本。その本はすこし前の本だったので、その中に紹介されている万年筆は、微妙に、市販されていないものが多かった。そうなると、余計に欲しくなるのが人のさが。自分で手に入れたものもあるし、高田師から頂戴したものなどもあったが、自分の身の回りでは、ついぞ目にしたことがなかった、幻の一本が、このシェーファー・ノスタルジア。数年前、島根での和歌文の折、市内の文房具屋で初めてみた。しかし、値段も出されておらず、よくある、お店の主人のコレクション展示のようだったので、ふむ、なるほど。と、思ったままで、さらに数年が過ぎた。高田師に、偶然駅前で拾った(古書・古物系の用語で、「購入」のこと)、パーカー51を激賞されて、足を踏み入れたこの道。まだ、大学院生だったはずで、となると、14,5年は経っていることになる。その間、いつか機会があれば、と、ずっと狙っていた、憧れの一本。それが、シェーファー・ノスタルジア。ほんと、出会わなかったんだよ。ヤフオクでも、店頭でも。高くて手が出ない、というような限定モノはいくつも目にしてきた。しかし、これだけは、ついぞ出会えなかった。それが、である。先週の和歌文学会、関西例会の帰り。とある方と、最近ヤフオクどう?の話から、以前差し上げたペンシルの話題になり、ふと、その方と別れた翌日、家に帰ってから、久しぶりにヤフオクを検索していると…あ、あれ?ノスタルジア!出会っちゃった…(・∀・)探していた本命は、ちょっと違ったんだけれど(笑)それに準ずるものを押さえて、最終的には手持ちの一本を嫁に出すことにして、それはともかく、どーする、どーすんのよ、オレ!しばし悩む。本の借銭もある。先が見えないご身分、ヒロオ師匠からは、 最悪、非常勤でつなぐことも考えて…などと、切ないことを言われ、ちょっとは蓄えておけよ、と言われた矢先ではある。あるが…こういうものは、一期一会。えい。入札。…落ちた。そして、お金を払い込み、ついに手元に届いた。本当は、本当の憧れは、普通のスターリングシルバー(笑)だったのだが、落札したのは、それのバーメイル。金張り、だね。14金無垢、ってのもあるのだが、これは過激なお値段で、手が届かない。いや、正確に言えば手が届かないことはないのだ、こんなもの。出せっていえば出せる。しかし、ワタシは使うことを一義に考えてペンを選ぶ。高いからって、書きやすい、使いやすいとは限らないのだ。その観点からすると、金無垢のは、実用に向くのかどうか、疑わしい。少なくとも、ワタシの使用には必要がない。それからすると、スターリングシルバーか、バーメイルのモデルは、ワタシにとっては、実用可能な範囲内で、最高の贅沢であり、憧れであった。ここまで、来たな。他の誰とは、比べない。比べる必要がない。ワタシの、それとしては、最高のものに手をかけた。満足だ。あとは、こいつらと、仲良くやってくだけだ。そんな気がする。インクを入れて、試し書きしてみると、ちょっと違和感があった。でも、今日初めて、かの人に、一本を嫁に出すための、手紙を書いていたら、その違和感、少なくなってた。あ、悪くないぞ、このペン。もちょっと、ずっしり重量感があった方が、「らしい」のだが、アールデコのデザインは、いかにも、といった感じで、所有している、使っている、満足感を与えてくれる。もう、いいだろう。自分にとって、必要なアイテムは、ペンに関しては、これで、ほぼ、いい。さ、迷わずいけよ、であろう。いや、迷っても、行こう。何か、あるだろう。きっと。よろしくな。