お疲れさまです…か。
さっき手洗いに立ったら、研究室の前のオープンスペースで、学生さん数人が、模造紙広げて、なにやら作業中。きっと、発表資料だね。みな、一斉にこちらを見て、「おつかれさまで~す」と挨拶してくれる。実は一人として、講義を担当したこともない(と思う)学生さんたち。いやいや、君達こそ、お疲れさま。まだまだ、先は長そうだ、がんばりたまえ。しかし、こういう時に、いつも、ふと思う。ワタシがウェイターさん稼業に半分足突っ込んでいた時には、全く気づかなかったことだが、やはり「お疲れ様です」という挨拶は、なんだか違和感がある。なまじ、日本語表現なんぞ担当しているからではあるが、基本的に「お疲れさま」などという、相手の身体を気遣うような表現は、目上から目下へのものであって、目下から目上に対して、使うべきものではない。「こんばんは」これでいいのだ。帰り際の挨拶だって、やっぱり「お疲れさまでした」と、目下の人間が、上司などに向かって言うべきではなく、「さようなら」で、いいはずなのだ。学生さんなどは、バイトで、サービス業に携わっているのも多いから、必然的に、その語彙が日常生活にも入り込んできてしまうのだが、そこは、わかっておいてほしいなあ、と思う。知ってる学生さんなら、言ってやろうかと思ったが、知らないし、いきなり言われたら、気分悪いだろうから、やめといた。以前「ご自愛ください」というのを、上記理由から、あんまり使わない方がいいよ、と年下の人に言ったら、かなり意外だったみたいで、それ以来、なんとなく疎遠になってしまった。向こうは「最大限の気の使い方だと思っていた」という。確かに今は、あまりそういうこと感じなくなっているのだろうけれど、本当は、年下が年上の体調を気遣う際は、「自愛」の言葉は使わないはずである。手許のものを見ても、一書のみにしか見られない注意ではあるけれど、そうなハズなんだ。「自愛」は目上から目下に向かって言う言葉なはず…しかし、語感は変わっていくもので、それは仕方ないし、好意的に言ってくれているのを、訂正するのはちょっとしのびない、んだよね。でも…でも… ううむ、難しい。明日の講義の準備、もう少ししていかなくちゃ。ふう。