SS「tatoo」+Res
アクション映画よろしくブレーキ音響かせ、車を止める。ドアを開けて外に出ると、きつい日差しと視線をセットで肌に感じた。ぐるりと見渡すと、反対車線の少し離れた位置に黒い車が止まっていた。身内か、山之辺組か、サツか。身内だろうな。たかが組内の集まりに敵方の山之辺組が姿を見せわざわざ刺激してくるとは思えない。同様に、サツが出張ってくることもないだろう。わざわざ顔を隠すもんでもなし。サングラスを外すと、インナーの胸元に引っ掛けた。「み、宮城さん?! どうされたんですか急に、」血相を変えて飛び出してくる若い者に、「マイボーイが来てるだろ」車のキーを放り投げ、気をとられた隙に、事務所のステップを駆け上がった。「み、宮城さん!」「どうかされたんですか?!」ドアを開けた瞬間の若い衆の反応は早かった。ある者は腰を浮かし、ある者は懐に手を入れ、ある者は電話に手をかけた。さすが。稲葉会直系の組事務所だけある。しつけの行き届いたものだ。それら全てをぐるりと見渡し制止すると、応接室に向かって大きく足をくりだした。「奥は今、組長と客が入ってますんで、」「だからその客に用事なの」ドアの前に立っている黒服も、形だけはとどめようとするが、本気ではない。ふん。俺を止めたかったら、地対空ミサイルでも持ってこい。俺は、勢いよくドアを開けた。いつ見ても趣味の悪い部屋だなぁ。ゴキブリのようにてらてら光る皮のソファーには、この事務所の長・花山組組長と、かわいいかわいいマイボーイが向かい合わせに座っていた。俺はずかずかと歩み寄ると、ボーイの隣にどさりと腰を下ろした。花山組組長は、俺の顔を見て一瞬眉根を寄せたが、すぐにとりつくろうような笑顔になった。「これはこれは宮城さん、突然のお出で。事前にお知らせくだされば、迎えを出しましたのに」「それはこちらのセリフですよ。真鍋を借り出すなら、わたしに言ってくれないと」「そうだったんですか。それは失礼いたしました。真鍋さんに会うのに、まさか宮城さんの許可がいるとは思ってもみませんで」白々しい笑顔での応酬に、マイボーイ・真鍋は眉間に深い深いしわを刻んだ。180近くある体躯に、ヤクザ者には少々地味すぎるブラックスーツをまとった真鍋は、とてもボーイなどと呼ばれる男ではない。それでも俺は誰はばかることなく、真鍋をボーイと呼ぶ。自分のものをなんと呼ぼうが、自由だろう?俺はわざと尊大に見えるよう、大きく足を組んだ。「で、話はどこまで進んだんですか? 隠しごとはなしですよ」「隠しごとだなんて。稼ぎのいい真鍋さんに、商売のやり方をご教授いただこうとしていただけですよ」白々しい。この親爺程度のオツムで、真鍋の金稼ぎをマネようなど、豚にパソコンを習わせようとするようなものだ。真鍋はいわゆる企業舎弟で、大手邦銀や外資から引き抜いてきたディーラーに株や金の売り買いをさせ、組の資金を生み出していた。時代は変わった。一昔前のように、おしぼりのリースやみかじめ料で組員を養える時代は終わったのだ。だが、古参連中の中には、真鍋のやり方を快く思わない人間がいるのも確かだった。目の前の男のように。「真鍋の仕事は、なんかいも言ったとおり企業秘密ですよ。たとえ、同じ稲葉会系のものにも教えられない。ちょっとした情報漏洩で、簡単にサツに踏み込ませる理由を与えてしまう。その辺がわからない組長でもないでしょう?」いまだ食い下がろうと口を開きかけた組長に、ダメ押しとばかりに、「真鍋はわたしの手下です」極上の笑みを送ってやった。それを言われてはこれ以上なにも言いようのない組長は顔ばかりは笑顔だったが、二つの暗い眼光は悔しそうに鈍く光っていた。帰り道。イタリア種のじゃじゃ馬の運転は真鍋に任せ、助手席にふんぞり返っていた。やはり車は助手席に限る。気分のよさに、口笛を吹き始めた俺に、真鍋の低い声がかかった。「なんで来た」「マイボーイのピンチには颯爽とかけつけるもんだろ?」「頼んでない」ほーらきた。かわいくないったらありゃしない。「どうせあれだろ、お前の傘に隠れたくないとかいうんだろ? 頭固いね~。いいじゃん、使えるものは使っとけば」「それでさらに俺も、お前も、立場が微妙になるとは思わないのか?」「お前はともかく、俺?」「俺は構成員でもなんでもない。正式には杯ももらってない。そんな俺に、本家嫡男のお前が肩入れして、いいわけないだろう」「いいじゃん。それに今はバッチなんてつけないほうがいい。企業舎弟が一番いい身分なんだ」いまだ納得いかなさそうに黙り込む真鍋に、俺は優しく優しく言ってやった。「お前は上にあがってく男だよ。俺の目の黒い内は、いくらでも引き立ててやる。さっさと上ってきな」なんだそれは、と真鍋が小さく吐き捨てた。「いつか死ぬような言い方をするな」「あらら、そんなかわいいことも言ってくれる? じゃ、マイボーイ、守ってね」けらけらと笑う俺に、真鍋は怒ったように、じゃじゃ馬のアクセルを強く踏み込んだ。*:・゜*:・゜*:・゜*:・゜*:・゜*:・゜*:いつか書いてみたいヤクザ物でした(*´∀`)真鍋は企業舎弟。主人公は、稲葉会会長の息子っていう設定。もう萌え萌えなんだ!!主人公の外見にはまったく触れるチャンスがなかったのですが、イメージはいつもどおり葉月さんのサイトにあるので、見に行ってくださいv tatooっていうイラストですv先週の熊本、ほんとに癒されましたよ~もう一度戻りたいな~見渡す限りの大自然。撮影:秋野でもあれです、月から金が馬車馬だから、週末の旅行がより癒されるのかもとも思いました。ほんと、週中日は仕事しかない。もっと他のこともしたいし、できる気もするんですけど、疲れちゃうんですよね(;・∀・)以下、レスです。>Beiさん、早々のお祝いメッセージありがとうございます!最近は特に好き勝手運営になってしまってますのに、それでも訪れてくださりほんとうにありがたく思います。このサイトが、ブログが、一人猿芝居に終わっていないのは、ひとえにBeiさんのような方々のおかげです。わたしに提供できるのは、もう文字しかないのですが、これからも力いっぱいぶつけていこうと思っています。命続く限り書いていきたいと思いますので、またお付き合いくださいませ~(*´∀`)>ゆきなさん、お祝いメッセージありがとうございます~!はははそうなんです、なんのお知らせもなくブログタイトル変えました(笑)飽きっぽいので、いい言葉が見つかると、すぐにそれにしたくなっちゃうんです(笑)そして↑のSSも指3本で書きました(爆笑)使ってる指が少ないからって、萌えまで少ないわけじゃないんだからね・・・!て叫びたい!(*´∀`)いただくメッセージにはいつもとても励まされています。拙いお話たちに胸きゅんしてくださり、こちらこそありがとうございます!(*´∀`)>mikaさん、わーい、少しだけお久しぶりです~夏のうちに1日だけ有給がとれまして、旅行にいくことができました!熊本は暑くて暑くて途中バテバテでしたが(唯愛ちゃんの日記参照)、癒されてきましたよ~!おいしいおそば屋さんの話もぜひしたい!ご質問の件、ちょっと考えてみますね~!すぐに思いつくのはトシふみかな・・・場所は、図書館(*´∀`)灼熱の暑さから逃げ、涼しい市立図書館で夏休みの宿題ですv世界史の分厚い教科書をパラパラめくるトシに対し、ふみは隣で書き写してばっか(笑)「お前なぁ……」「こんなん答え書き写すだけだろ? 教科書見て写しても、お前の見て写しても一緒じゃん」とかやりあってそう(*´∀`)で、すやすや眠り始めたふみの、細くて茶色い髪の毛を、トシがそっと触るといいよ!ふみの髪は、細くてさらさらでついずっと触っちゃう・・・みたいなね!高校生 in 図書館万歳!それから、名前の件はほんとお気になさらず(*´∀`)一発変換できない名前にしてるわたしが悪いので(笑)実はきっかけさえあれば、名前ひらがなにしようと思ってるところだったり(笑)