【モロッコ1】限りなく簡単なオレンジのデザート
モロッコのごはんのことを何も書かないまま年を越してしまいました。帰国後忙しかったのもあるけれど混沌として刺激と喧騒と祈りと静謐さと、その他、もう何がなんだかわからない雑多な思いが入り乱れる場所モロッコという場所の記憶は少々時間を置かないと文字にできなかった。。。。という面もあるように思います。ぼちぼち、モロッコのごはんの思い出を書いていきたいと思います。とはいえ、モロッコのごはんってさ。さほど多様でもないのですよ。なんたって、周りは砂漠です。水もなけりゃ、物資がそうそう豊かというわけでもありません。さらには、ここはイスラム圏です。つまり、お酒が飲めず、豚肉が食べられない文化圏なのです。魚介類も食べる習慣はありません(一部港町を除く)。そんな中で培ってきた、素朴で滋味に富んだ料理たち。意外とシンプルです。すごくおいしいのですが、でもいかんせん、飽きます>笑出てくるのはたいてい、マトン、鶏肉、牛肉。この繰り返し。あとは蒸したり煮た野菜。オレンジ。ミントティー。モロッコパンとクスクス。このリピートです。観光客のいるホテル以外、アルコール類を出すお店は一切ありません。アルコールなしで食べることを前提にしている料理はお肉の塊が出てきても、あっさりしています。そんなモロッコ料理に飽きちゃったから、じゃあ今日はイタリアンとかカレーとか中華とか。そんなものにするかねえ。。。。。。。。なんて思って町に出てごらんなさいませ。そんなレストランは町にはほとんどありません。仕方なく観光客のいるホテルの中にあるレストランで、インド料理にありついてみたりビールを飲んでみたりするわけです。世界を旅していると思うんです。日本の食文化の多様さは、おそらく世界一だろう、と。毎日の献立に悩んでいる主婦は日本にたくさんいると思いますがそんなことにこれほど悩んでいる主婦は世界には少ない。同じものをつくり、同じものを食べ淡々と生きて、でもその中に食べるシアワセを感じている人はいっぱいいる。そういう繰り返しの食卓の中には、その土地に根付いた食の知恵がたくさん詰まっていて、その一皿は例外なくおいしいです。そんな体験を繰り返しているとなんだごはんはシンプルでいいのじゃ。日本人にはやっぱり、白いごはんとみそ汁じゃねえ。。。。。。なんて思うのでした。(で、ふだんの食事はどんどんシンプルになっていくのでありました>あはは)なんていう前置きでしたが今回の旅で、一番シンプルだけど、一番モロッコらしくておいしかったデザートをひとつ。こちらはマラケシュにて。古いモロッコ風の建物をそのままレストランにした場所なので窓からの光を頼りに撮影してて、ちょっと見えにくくなっちゃいましたが定番のオレンジのデザート。どこにでもあります。ただ、オレンジを輪切りにして、お砂糖とシナモンをかけただけ。たった、それだけ。でも、これはこの場所でモロッコの料理と一緒に食べると、すっごくおいしいです。日本で同じことして食べても、こんなにおいしくはない。なんでか、っていうとそりゃやっぱり、オレンジがすぐそこで採れているからなんだと思います。砂漠の砂のように見える乾いた土地は、実はとても肥沃で果実やオリーブなどの実を豊かにみのらせます。マラケシュの中心になる、ジャマル・エル・フナ広場には、このオレンジを山積みにして、その場で絞ってオレンジジュースにしてくれる屋台が何軒も何軒も軒を連ねている。1杯20円ぐらいのオレンジジュースは、早朝、出勤前の現地の人たちの朝ごはんになったりもします。夜明け直後の、ジャマル・エル・フナ広場に浮き上がるオレンジの色が本当に絵画のようにきれいでした。その土地に自然とはぐくまれ、その土地の人を生かしているものは間違いなくおいしいです。だから、おさとうとシナモンをかけただけのデザートが普通においしい。輸入のフロリダオレンジをスーパーで買ってきて輪切りにしても同じ味にならないのは、もう仕方ないことでだからこそ、旅の食卓の味覚は意味を持つのだと思います。とはいえ、スーパーのフロリダオレンジで作っても十分においしいこのオレンジのデザート。たまには家で作るのも、目先が変わっていいかもしれません。(モロッコではご法度ですが>笑 日本で作るなら最後にコアントローなんかをたらりとかけると、ばかうまです)