尼僧体験
まだお遍路を始める以前に、般若心経も知らない私が何故か「尼僧体験」をしようと思い立ちました。思い立ったが吉日、予約をして白足袋と腰紐持って、京都山科まではるばると出かけました。とはいえ気候の良い秋を選んでいたのも、ちゃっかりしていますが・・・。朝、指定の時間にお寺へ伺うとまずは待合に通されて、ここで着替えをします。持参の白足袋を履いて、お寺に用意して頂いた白着物を着ます。死装束のような真っ白な着物です。白い伊達締めをして、参加者は本堂へ案内されます。「おん さんまや さとばん」と唱えながら本堂へ入場し、「足香」というお香をまたいで清める儀式と「おかみそり」という髪の毛を剃る(マネ)儀式を行います。全員が済んだら、数珠を受け取り、法衣を着用します。この法衣は本物で、京都の有名な法衣店製でした。黒い法衣と墨染めの衣をまとい、白い頭巾もかぶります。数珠は白く長いもので、これも京都の一流の念珠店のものでした。数珠の取り扱いや法衣のマナー(法衣を着たままトイレに行かないなど)を教えられ、準備が整ったところで座禅に入ります。秋の澄んだ空気の中で静かな時間がゆっくりと流れてゆきました。小休憩のあと、法話の時間。始めにわけもわからないまま般若心経を唱えます。ここでは般若心経のおおまかな意味や、お釈迦様のお話など興味深い話が聞けました。ホワイトボードも使ってわかりやすく講義していただきます。法話のあとは、本坊へ戻り精進料理の昼食です。食事の前にも「五観文」を唱和します。一、功の多少を計り、彼の来処を量る。二、己が徳行の全欠をはかって供に応ず。三、心を防ぎ、過貪等を離るるを宗とす。四、正に良薬を事とするは、形枯を療ぜんが為なり。五、道業を成ぜんが為に、将にこの食をうくべし。食事五観文は似たような内容で、色々な宗派にあるようなので興味のある方は調べてみたら楽しいと思います。食事のあとはお昼休み、境内で写真を撮ったり自由に過ごします。午後は「写仏」からスタート。大日如来のお姿を半紙に写しとります。私は蓮華の台座を書き込み中に、紙がずれたのに気付かず途中でヘンになってきて、つじつまを合わせるのにごまかしの線を使ってしまいました。ひゃぁ~~~。完成したところで願いを書き入れ、お寺に渡します。それから境内の中にある八十八箇所の石仏を一列になってお参りします。指導係のお坊さんが鐘をチ~ンと鳴らすと、次の仏像へ移動。結構忙しくお参りを続けます。八十八体の仏様をお参り終えて、最後に本堂で護摩供養がありました。朝着替える前に護摩木に願い事など書いたものと、写仏が炎の中護摩祈祷されました。そして法名と修了証を頂き、本日使用した数珠も寄与されます。本堂前で参加者とご住職とで記念写真も!さて、本坊へ戻り着替えてから今日一日の感想文を提出し、お茶とお菓子を頂いて、全てのメニューが終了です。午後4時近く、山科の里にも秋の夕暮れが迫るころ山を下り帰路につきました。↑わらじ石とかかれていた健脚祈願用の仏足石。「南無大師遍照金剛」を13回唱えよ、とありました。まさかお遍路に出ようとは思ってもいませんでしたが、山登りのために健脚祈願はしっかりしてきました。このときに頂いた白い数珠が、私のお遍路専用数珠として、いま活躍しています。