『韓半島』の面白さ?
昨日までで、163万人を動員したというカンウソク監督の『韓半島』。カンウソクの作品は『公共の敵』『シルミド』が面白かったが、その際立ったセンスを感じさせる特徴の一つは<同時代性>だと思います。それから、ユーモアと悲しさも独特の味わいがあります。近所の映画館で早朝割引とクレジットカード割引で、一人2,500ウォンで、妻と鑑賞しました。南北をつなぐ鉄道・京義線をめぐって、韓日の争いを縦糸に、「国のため」を考える大統領と首相の確執が現在の韓国の悲しさを伝えてくれます。明成皇后(当時の韓国の王の奥様)が日本人によって殺害された「乙未事変」(1895年10月8日)など、韓国にとって屈辱的な史実を再現する場面が、作品の現在と交差するように進みます。その方法によって、歴史の同時代性を観客に教え、現在の危機的な状況を浮き彫りにしていくのです。映画を観ながら、現在の北朝鮮のミサイル実験をめぐる、韓国-北朝鮮と日米プラス中露という政治的な構図が、この映画の京義線をめぐる6カ国の情勢と似ているので、同時代という「臨場感」を味わいながら、スリリングなひと時を持つことが出来ました。『公共の敵』と同様、アウトサイダー的な主人公の活躍も楽しめます。「反日」的とか、「抗日」的とか言われていますが、そんな皮相的な見方では、この映画の面白さを味わえないでしょう。これは、反韓流とか言ってる人が、韓国を楽しめないのと、似ていると思います。さらに、この監督作品の精神性は現実へ切り込むアクチュアリティーと言ってよく、虚構の世界を描きながら、喜怒哀楽に満ちた生々しい<現実>を伝えくれるのです。