萬海学術院国際シンポジウム
昨日は、韓国の近代詩人・萬海(マネ)・韓龍雲(ハンヨンウン)の研究会である萬海学術院の国際シンポジウムで、以前の勤めていた大学へ、発表に行った。「東アジア的視角から見た近代と脱近代」という全体のテーマの下、韓・中・日の研究者の発表があり、私は「白秋詩の限界と可能性-近代と脱近代-」という題で話させていただいた。前の職場でお世話になったイ先生に頼まれたので、断れず、無理もあったが、何とか発表原稿をまとめることができてよかった。今年、3回目の口頭発表だった。白秋の詩のうちから、近代の植民地主義を批判的に捉え、脱近代への可能性を探ろうとしたものだ。中国からは北京外国語大学の先生がいらっしゃっていた。発表要旨集の終わりに栗原貞子さんの「ヒロシマというとき」を載せた。また、敗戦の月・8月が近づいているが、日本は加害国であったという思いで、8.15を迎える人が、日本にどのくらいいるだろうか。以下は、『朝日新聞』のネット版の記事より********************** 「戦う詩人」の素顔 栗原貞子の未発表86編発見 2009年7月9日 栗原貞子の未発表詩が書かれたノートや原稿用紙=広島市東区の広島女学院大 原爆投下後の広島で新たな命が誕生した実話をもとにした「生ましめんかな」で知られる詩人、栗原貞子(1913~2005)の未発表作品86編が見つかった。遺族から創作に関する資料の寄贈を受けた広島女学院大が8日、発表した。 未発表詩の大半は、栗原の自宅倉庫にあったノート8冊や原稿用紙に自筆で書かれていた。一部に記された日付から60~93年のものとみられる。家族、知人にささげる叙情性豊かな作品が目立つ。栗原と親交があり、資料の解読にあたった詩人の伊藤真理子さん(70)=東京都墨田区=は「『戦う詩人』のイメージが強いが、本来の栗原さんはロマンチストで、とてもこまやかな方。そうした素顔がかいま見える」と話す。 一方、原爆で死んでいった人々の悲しみや、ベトナム戦争、湾岸戦争への怒りを込めた詩も多く見つかった。「無数のわたしとあなた」と題した詩からは、平和を求める人々の連携で世界を変えたいという願いが読み取れる。 広島女学院大はこのうち41編を収めた冊子「生ましめんかな」1千部を刊行した。無料。希望者は送料として200円分の切手を添えて申し込む。問い合わせは広島女学院大図書館(082・228・0392)へ。(加戸靖史)