[韓国で暮らす]の記事一覧 | 韓国　愛の劇場

つまみ食い

　金曜日は授業がないので、ふつうはいつもより睡眠をとってから、学校に出かける。今日は妻が髪を染めたいと言うので、一緒に出かけることに。中国人の妻はまだ韓国語が全くなので、美容室にもいっしょに行かなきゃならん。美容室の前に、サムソン・ホームプラスにビニール袋を換金しに行った。買い物のときに５０ウォンで買ったビニール袋を返却すると、５０ウォン返してくれるんだ。換金した後、店内をぶらぶら。　さすがに、昼間は試食コーナーが充実している。まずはレンコンの天ぷら、ほうれん草やニラのおひたしでビタミン補給、冷奴、辛子明太子、豚、牛の焼肉、ハンバーグ、デザートにパインとバナナとご馳走になった。さすがに、少しずつだったので、軽食コーナーで、おでん、焼き鳥、アメリカンドックをつまんだ。しめて、４千７百ウォン。　買い物をしてると、レジに出す前にお菓子の袋とジュースを開けて、子どもに食べされながら歩いてる人や、値札を付けてもらったバナナを食べながら、栄養補給をしている人が、、行儀が悪いなんて言わないで欲しい。これは、こっちでは普通の風景なんだから。　外に出ると、街のあちこちに屋台があって、もちに甘酸っぱいソースであえたトッポギをカップに入れて売ってたりして、中高学生が歩き食いしてる。立ち食い、歩き食いは普通の風景なんだ。　立ち食い、歩き食いは、ダメというのは、日本の文化なのかな？「マカロニ」という映画で、でっかいアイスクリームを口のまわりにベタベタつけて歩くマルチェロ・マストロヤンニとジャック・レモンの姿に微笑んだことがあったが、いつしか私も歩き食いの常連になりつつある。さすがに、学校の中ではできないのだが、、　で、結局、髪染めの美容院に行ったときは、時すでに遅く、来週の月曜日の予約をして帰るはめに、、でも、秋の日差しの中、公園で散歩とスカッシュを楽しんだのでした。

危ない一夜

　いつだったか、うちの近所の某大企業の研究所に日本の若者が雇われてきた。日本人ってこともあって、世話役を頼まれた。まっ、まじめそうな青年。大学院を出たてで、韓国にいきなりきてビクビクしてた。うちの学生が韓国語教えてたりもしたが、突然置手紙して、蒸発したと連絡が入った。そういえば、その日の授業の合間に、「今プサンです、これから日本に帰ります、申し訳ありません。ガチャン」と電話が来ていたっけ。止めようとしたんだけど、、　その人とは、何度かごはんも食べ、カラオケにも行った。ある日、遅くなって、うちに泊まってってもいいよ、と言ったら、ほんとですか、と喜ばれた。私が身を固めたのは、一通り話をしてからいざ寝るとなったとき。まず話してるとき、両刀使いの武蔵であることが判明。まっ、そんな趣味の人もいるだろうと寛容に接したのだが、私のシングルのベット（当時は一人暮らし）に入ってもいいか、と言われたとき、、、ちょっと、待った―――布団を敷いてあげたんだから、そっちで寝なさい、と厳しく突き放した。全く。　蒸発したのは、それから幾日後だったろうか。研究所に入社してまだ一年も経っていなかったはず。もったいない。何より、早朝から深夜までのハードな仕事の上に、言葉も通じずストレスは最高潮にたまっていたのだろう。　その日は、研究所の上司が学校まで来て、どこに行ったかわからないか、と食事をふるまいながら、思案顔。契約書の内容上、どう対処したらいいか困っている、紹介された日本の大学との関係もどうなるか、、、と、私に言われても困るのだが。ほどなく、その人のお父さんもやってきて、ホテルでその人の状況を話し（もちろんあの夜のことは言っていない）、残された荷物を整理していった。そのときは、家族との連絡を断っているという。　今どこで何をしているのか？出身大学にも顔向けができず、日本のどこかで暮らしているのだろう。災難を受けたとはいえ、生きて生き抜いて家族とも再会し、幸せになって欲しい。　　

お気楽に住んでるとこを紹介します（２）

　もっと気楽に書いてみよう。　うちのアパートがあるのは、水原でもヨントンという新興住宅街。韓国一、平均年齢の低い地域。そうそう、韓国でアパートと言ったら、日本の高層マンションをイメージしたらいい。うちのは、そんなに新しくないけど、２０階建ての７階。２ＬＤＫで２０坪。二人暮しだから、ちょうどいい。妻が気に入っているのは、ベランダが広いこと。そして、当然、全室床暖房つきで、冬もほっかほか。２年契約で、契約金４千万ウォン（４百万円程度）、月２７万ウォン（２万７千円程度）。契約金は出るときに全額戻してもらうのが基本。月２万７千は安いけど、４百万円はけっこう高いっしょ。　ソウルまで、バスで４０分くらい、げんざい地下鉄建設中。私は自転車通勤で、１５分。生活用品は、２４時間営業のサムソン・ホームプラスで、イトーヨーカドーを少し小さくしたようなスーパー。それと、グランド百貨店、最近食事コーナーに回転寿司カリフォルニアが開店。映画館は、キネックスという４，５館上映の中規模劇場。　行きつけの店は、映画館のそばにあるソウル・カンジャタン。カンジャタン（じゃがいも湯）ってのは、ダイナミックな豚の骨付きかたまりをにんにく、唐辛子などのピリピリスープの鍋で、グツグツ煮て食べるやつ。豚の背骨だか何だか知らないけど、肉を食ってから、骨の髄にチューチュー吸いつき、エキスをしゃぶりだすのが基本。二人分で、１万８千ウォン。　次に、名前は知らんけど豚の腸焼き（コプチャングイ）の店。人気店は匂いもワイルド、ボリューム満点。だけど、いつも込んでる人気店はときどき行き、すいてるもう一つの店で、店の女主人と涼しげに世話話をしながら食べる方が好ましい。炭火で腸をじっくり焼き、特製ソースや塩をつけ、ニラやサニーレタスといっしょに食べる。んんまい。炭火焼系の店はたいてい外でも、テーブルを出して食べれる。ソジュ（焼酎）を一杯ぐいっとやれば、気分は韓国アジョシ（おじさん）。二人分、１万４千ウォン。　それから、チュオタン（どじょう湯）の店。最初は、水原芸術文化会館の横で、何だかわからず食べ、後で「どじょう」だったと判明。そりゃあ、そうだ。「どじょう」の影も形もないんだから。ミキサーか何だかですりつぶされた「どじょう」がどろどろのスープ状になって出てくる。これに、にんにくのすったやつと緑の唐辛子をぶっかけて食べると、元気もりもり。ご飯もすすむ。一人前、５千ウォン。うちの近くのどじょう湯専門店には、なまず焼きとなまず鍋もあって、これもお勧め。なまずって、見かけによらず淡白なのね。味は淡白、精力バンバン。だまされた～。このいっけずぅ。

住んでるところを紹介します（１）

　私のいる京畿道（キョンギド）水原（スウォン）市はソウルから南へ40キロ、車で4、50分のところにある。「道」というのは、日本では北海道しかないが、韓国には9つの「道」があり、国土の大部分を占める。ソウル市と仁川（インチョン）市と京畿道を合わせて、ソウル・仁川・京畿地域＝首都圏という認識がある。ちなみに、ソウルと仁川は、大田（テジョン）市・ウルサン市・釜山市・光州（カンジュ）市とともに、「道」の内には入らず、行政区画上独立している。なお、水原は京畿道の道庁所在地である。　有名なものはユネスコの世界文化遺産に登録された水原城（華城とも言う）と牛肉のカルビだ。まず、水原城は「城」といっても、日本の城のイメージとは全く違う。中国の万里の長城のように、街を取り巻く約5キロの城壁とその関連遺跡を指して「城」と言うようだ。李王朝（1392～1910）末期、第22代正祖の指揮下、3年ごしで1796年に造られた。余談であるが、日本の歴史教科書の「李氏朝鮮」という呼称を嫌う韓国人が多い。なぜなら、「氏」というのは、日本語の「さん」に当たるからだ。日本の「天皇」という呼称を「さん」に変えれば、気を悪くする日本人がいるのと同じ心理である。さて、水原城の由来であるが、一説に、熾烈な党争の中で、米びつに押し込められて絶命させられたという先王である父の無念の死を悼み、その子・正祖が父親の霊をなぐさめようと、縁起の良い水原の花山に墓を移し、その祭礼のためしばしば行幸するうち、築城を思い立ったという。その築城は王の「孝」の精神の表れだったと、今も伝えられているようだ。正祖はソウルから水原へ遷都することを計画していたと伝えられるが、正祖の死により、その夢は消えた。しかし、父の無念を晴らすために子が築いた韓国一の城、そこから亡き父とともに＜永遠の都＞を築くことを夢見たロマンに思いを馳せてみたい。現在、水原は「孝」の都市と言われる。　