サマーインターン
うちの会社に大学二年生の学生さんが来て、会社のサマーインターンの一部分を講師としてお手伝いをしました。 BS、PL、CFの見方や有価証券報告書の読み方・分析方法などを教えると言うことで、教材として誰でも知っている某小売店を選びました。 自分の場合(法学部だったので余計)、大学生の時、財務諸表なんて読んだこともなかったのですが(銀行の評価で、「総資産世界一位」とか言われて、すごいと思っていたぐらい無知だった)、ある程度理解しているようであり、感心してしまいました。 分析方法として、1:自分は分析対象会社に何を期待しているのか(商社・メーカーの営業マンと銀行員、証券マン、投資家、従業員、就職先として見る等で評価項目が変わってくる)、要するに分析する目的を明確にする 2:何を見るべきか(財務指標)、当然目的に沿った指標であるべきだが、代表的なものをいくつか示す 3:どのように評価するのか(当該財務指標を類似他社やヒストリカルに比較してみる)などについてコメントしていきました。 それらを念頭に、某小売業者とその類似企業をIR資料や比較財務などで、説明し、各社の経営戦略の違いやSWOT分析などの簡単な仕方を説明し、海外の類似先なども比較していると、いきなりプロのピッチャーの球をバッターボックスでフリーバッティングする高校球児って感じでしょうか?さらに有価証券報告書の位置づけや内容、ストックオプション、コーポレートガバナンスとは何ぞや、という点にまで踏み込んで教えると、情報過多になった可能性もあります。 しかし、なぜこういった報告書が必要なのか、誰が何の目的でどのように活用するのか、など財務分析の目的にかかわる重要な点を個人的な仕事における活用法なども含めて説明すると、一応納得してくれました。 一方、本人は、これまで、例えばPLはPL、BSはBS、CFはCFなど断片的に、かつ理論を中心に教わったものを、財務三票を連係して理解できたことに満足感を覚えたようでした。 PLの当期純利益が資本の部に追加され、純利益以外に資産の増減や投資の有無などを通じて、フリーキャッシュフローとなり(営業CF-投資CF)、FCFを負債の削減、配当、自社株買いに活用(財務CF)した後の現預金の増減額がBS現預金残高の前期増減額と一致する、ということを簡単なモデルで噛み砕いて説明。 もっとも徐々に有価証券報告書を説明していくと、平均給与とか、平均勤続年数とか、従業員数の欄があるので、自然と就職の話になってしまいます。これらの項目を類似他社比較で、時系列に比較し、なおかつ売上高(または売上総利益)に占める人件費割合などを分析していくことで、待遇面で働きがいがありそうか否か、定量的に分析できます。(財務分析は、立場や目的によって見るところが違います)。これを単純に労働分配率として教えても、逼迫感が薄いでしょう。 また、小売業界の業界分析、対象企業やライバル企業の業績推移など長期で分析することで、その会社が外部環境に対しどのように対応して業績を伸ばしていったのか、他社と比較して何が得意で何が苦手で、待遇はどう変遷したのかなど、最後は就職候補先の長期的な定量的分析のようになってしまいました。 しかし、投資にせよ、就職にせよ長期目線で企業を分析する関係上、類似他社比較とヒストリカルな分析は不可欠なので、一石二鳥のような感じになりました。 時間の制約上、あまり個人的なお話はできませんでしたが、彼女の今後の就職活動でお役に立ってもらえると幸いです。