フルムダンベール:気品あふれる青カビの女王
ブルーチーズ、若いころは、ずっとずっと敬遠していました。塩辛いし、刺激が強いし、どーにも苦手だったのです。 でも、6年ぐらい前、あるレストランでブルーチーズが食べられないなんてもったいないと、なあんと、ソーテルヌを出してくださったのです。あこがれの極上甘口ソーテルヌが出てきたら、苦手だなんて言っていられません。おそるおそるいただき、衝撃を受けました。「甘美」で夢のような味わいでした。独特の風味が、とろりとしたワインと溶け合って「もう、どうにでもして!」って気分になるような…。 その後、銀座のあるワインバーで、蜂蜜をブルーチーズにかけていただく方法を教わりました。ソーテルヌがなくっても、甘口のドイツワインやカナダのアイスワインでも十分楽しめることを知りました。 サンドイッチにしてもおいしいです。アークヒルズのオーバカナルは蜂蜜を塗った胡桃のパンに挟んでいたし、アメリカのセントルイスでは、日本でいうカルビを塩焼きにしてブルーチーズと合わせていましたっけ。ヨーグルトでゆるめて、生クリームと一緒に泡立てれば素晴らしい風味のディップになります。昔、苦手だったのがうそみたいに、大好きなチーズになりました。 毎日のように通っている酒屋さんには簡単なバーコーナーがあって、そこで、時々、掘り出し物ワインをグラスでいただけます。「きょうは、ドイツのすごくよい甘口があるよ」と声をかけられて、即決。フルムダンベールをその場でカットしてもらい、つまみながらワインを飲みました。甘いワインは心と体に優しく、青かびの中でも穏やかな風味のフルムダンベールはぴったりでした。■フルムダンベール☆☆☆☆(定番中の定番) ミルクの風味が穏やかな味わい 蜂蜜をかければ、なお、やさしい ブルーチーズを敬遠している人は是非。