昨夜の火事騒ぎと美少女セーラの話
夜中の12時半過ぎのこと。やっと眠りについたころだった。けたたましい火災報知器の音で目が覚めた。マンションに住んでいるが、廊下に出ても誰ひとり出てきていなかった。とりあえず、子供たちを連れて1階に降りた。結局、昨日2階の保険会社が引越しして出て行ったが、そのあと夜中に工事をしていた業者が誤って火災報知器のブザーを押したらしい。なんでもなくて良かった。夫が単身赴任していると、こういう時だけ心細い。火事というと、中国に住んでいた時もマンションで火事があった。その日は子供たちの通うインターナショナルスクールのスプリングフェスティバルというのがあり、ドイツ人のお母さんからダーツゲームのお手伝いを頼まれ、私のなんちゃって英語では断りきれず、結局お手伝いして脳まで疲れ、帰ってから、ぐったり昼寝をしていた。マンションを取り囲むように、消防自動車が10台も集まっていたが、全然気付かなかった。子供たちは、シュワちゃんの出ている何だったか、すごい映画のDVDを大音量にして見ていて、気付かなかったという。これもあきれる。親も親なら子も子だと。いや,親がこういうふうだから、こんな子になるのか? 私達は、15階に住んでいたが、32階に住んでいた娘と同じクラスのセーラとお母さんが、非常階段を降りてきて教えてくれた。「30階で火災だから一緒に逃げましょう。」と。廊下に出たら、きな臭いにおいがした。半分寝ぼけていた私は、エレベーターのスイッチを押した。「何をしてるの。」とセーラのお母さんに言われ、階段で一階まで降りた。このマンションには、いろいろな国の外国人が沢山住んでいた。土曜日だったので、皆夫婦で一階まで降りて来ていた。ウチの夫は土曜日でも仕事する仕事人間でいなかった。普段奥さん同士仲良くしていても旦那さんと会うのが初めてらしく、あちこちで、「NICE TO MEET YOU」と火事のさなか挨拶が始まり、なんか可笑しかった。でも、30階を見上げると、まどからモクモクと煙が出ていた。結局ボヤで収まりホッとした。32階から、火事を知らせに来てくれたセーラは、白人のお父さんとマレーシア人のお母さんを持つ、手足のながーいほっそりした髪サラサラのなかなかの美少女だ。原宿辺りに連れて行ったら、間違いなくスカウトされるであろう。が、この美少女なかなかのクセ者で、1年半の間、3人もボーイフレンドを替えた。ウチの娘と息子と3人で、車で40分もかけて学校まで毎日通っていたが、その間、娘は耳をダンボのようにしてセーラの話を聞いていた。「セーラ、○○と別れて、今度は△△とくっついた。」とセーラの話を私に教えてくれた。英語が全然出来なかった娘も、セーラのおかげで英語がよく聞き取れるようになった。息子はこのとき、ゲームをしていたか、口を開いて寝ていたらしい。ちゃんと聞いてれば、もう少し英語が上達しただろうに。 セーラは時々、ボーイフレンドと会い、夜遅くなって、母親に叱られるから、娘と出かけたことにして欲しいと、家に電話がかかって来た。娘が夜、わざわざマンションの近くまでセーラを迎えに行き、一緒に帰ってきたようにして、セーラの家まで送って行ったことも度々ある。セーラのお母さんは、うすうす気付いていたらしく、「セーラはオーストラリアに帰ったら私の母校の女子高校に入れる。選択の余地なし。」とよく話していた。私も女子高出身で娘も女子高に入れたかった。娘は「お母さんが受けなさいと言うなら、女子高受ける。でも答案は白紙で出す。」と言いやがった。私は諦めたが、セーラはその後ちゃんと女子高に通っていると言う。時々、「女子校はつまらない。前の学校が良かった。」と娘にメールしてくるらしい。でも、素直に親の言うことを聞いて、いい子じゃん。と私は思う。それに引きかえウチの娘ときたら・・・・。