ホトトギス
中西悟堂の「定本野鳥記」に、大正時代に三浦半島に来た山階芳麿博士が、ウグイスとホトトギスの多さに、「こんなにウグイスとホトトギスの密度の濃いところは他にはない。」と驚いていた、と言うエピソードが載っていたと思う。30年ぐらい前の話しだが、「三浦半島自然保護の会」の会報に、葉山で一夏中ホトトギスの声が聞かれたことが報告されていた。わざわざ記事にする程珍しい事だったのだろう。その頃は渡りの途中の声を聞くことは出来たが、繁殖の可能性はほとんど無かった。いつ頃からいなくなってしまったのかは分からないが、私が大学の野鳥の会に入って、三浦半島のあちこちをまわっていた1970年初頭には、声を聞くことさえ難しい野鳥だった。でも一昨年、私の家の回りで夏中ほととぎすの声が聞こえた。そして昨年も今年もやって来ている。先ほどは自宅の窓から鳴きながら飛んでいる姿が確認できた。5月に行った葉山でも、最近時々行く観音崎公園でもずっと鳴き声が聞こえていた。浦賀水道を挟んだ房総半島の金谷港のそばのゴルフ場ではこの時期終日ホトトギスが鳴いているが、このゴルフ場からは三浦半島の久里浜から観音崎公園一帯がすぐ目と鼻の先にみえる。以前こんなに近い房総半島に沢山のホトトギスがいて、何故三浦半島にいないのか疑問に思っていたが、こちらでも良く声を聞くことが出来るようになったのは嬉しい。でも以前と比べて環境が良くなったという訳でもないのに増えているのは何故だろう。生息できるところが少なくなって、仕方なく来ているのだったら申し訳ない気がする。