オタク?
先日テレビの天気予報を見ていたら、バイカル湖付近に1052ヘクトパスカルの高気圧があり、強い冬型の気圧配置になっていると云っていた。私が「1052ヘクトパスカルの高気圧か、お父さんが天気図を書いていた時には1082バールの高気圧というのがあって、お父さんが記憶している範囲では、あれが最高だろうね。」と云ったら、娘が驚いて「お父さん、天気図書いていたの?」。小学校時代、誠文堂新光社の「子供の科学」で育った私は、いろんな事に興味を持った。天気図を書いてみよう的な記事があって、NHK第二の気象通報を聞いて必要なデータを集め、既製の天気図用紙に等圧線を書き込めば出来るという内容だった。気象通報では、石垣島の天気から始まる。「石垣島では南南東の風、風力3、天気晴れ、気圧1012バール、気温24度、那覇では・・・・・」と始まって、日本列島を北上し、カムチャッカ半島からアリューシャン列島、ハバロフスク、長春、など大陸を南下し、最後はアモイの天気を読み上げる。そして北緯29度、東経135度ではと四国沖の定点観測船の気象情報が必ず入る。今は定点観測船は廃止されたが、よほどの台風でなければ、定点観測船はその位置を離れることなく情報を送り続けていた。その後主な船舶からの情報が報告される。各地の気象情報が読み上げられると、漁業気象というのがあって、高気圧や低気圧の位置と気圧や、寒冷前線などの通る経度緯度が報じられる。そして最後に日本付近を通る代表的な等圧線の通る位置を報告して終わる。このデータを基に、天気図を書くんだ。と、得意になって説明したら、娘が感心したのは天気図を書いていたことではないらしかった。「お父さんって、本当にオタクだったんだね、星を見たり、虫や草の写真を撮ったり、鳥を見たり・・・。」そうか、これをオタクと言うのか。少なくとも私は、自分のことを凝り性だとか、好奇心が強いとか思っていたが、いまのギャルから見ると立派なオタクなのだ。でも少なくとも私の子供時代には、この分野なら絶対あいつにかなわないと言う専門的な知識を持っている仲間が沢山いた。そしてそういう友達の話を聞くのはとても楽しいものだった。近年子供の科学離れが言われるが、凝り性で、ある分野にはとても詳しい人間を、オタクと分類して揶揄するような風潮と表裏一体かなと思ってしまった。