入居した後で契約解除や更新拒絶はしにくい
家主は、賃借人が家賃を確実に支払ってくれるか?立ち退く際に法外な要求を出す人ではないかなどが気になるため、入居希望者に対して職業などを尋ねることがよくある。また、家主に信用してもらうために、入居希望者のほうから職業などを明らかにすることもある。家主は、どんな人に建物を貸すかを自由に決めることができるから。とこらが、契約して入居したあとに、賃借人の職業などが事前の話とは違っていたというケースがある。このような場合は、家主は賃借人に対して強い不信感を抱き、契約を解除したいと考えるに違いない。しかし、例えば、「一流企業の社員」と称していた人が風俗営業に勤務していたり「会社員」と称していた人が暴力団員であったとしても、それだけでは契約を解消する根拠としては不十分である。賃借人が家賃の支払いなど契約上の義務を確実に履行しているかぎり、職業などに偽りがあっただけでは、契約の解除や更新の拒絶は認められないくいでしょう。ただし、職業などが当初の話と違っていた結果、現実に支障が生じてくれば、契約の解除や更新拒絶が認められる可能性がある。たとえば、暴力団員の賃借人のところへ明らかに暴力団員とわかる風体の人たちが出入りするために、他の賃借人が怖がったり、転居したりした場合など、また、定職を持たない賃借人の場合は、家賃を滞納し、家主が催促しても支払うことが出来なくなる可能性もある。