中古住宅を売ったが屋根裏に多数のコウモリがいて損害賠償を負った売主
購入した築8年の中古一戸建て住宅の屋根裏に多数のコウモリが棲息して駆除が必要になったことは、売り主の瑕疵担保責任に該当するとして損害賠償を負わされた。【紛争の内容】買い主は仲介業者の仲介で売り主(個人)から築約8年経過の一戸建てを買った。買い主は入居後間もなく建物の屋根裏に多数のコウモリが棲息することを発見調べたら、夥しい量の糞が堆積していた。買い主はこれを「隠れた瑕疵」として主張、コウモリの駆除費用など、売り主に瑕疵担保責任による損害賠償とこれを仲介した業者に対して業務上の注意義務を怠ったとしてそれぞれに請求。売り主は契約当時多数のコウモリが棲息していた事実はない、また、コウモリがいたとしても建物自体に性能や性質が欠如するものではないとして瑕疵を否定仲介業者は本建物に多数のコウモリが棲息していることは知らなかったとして相当の注意をしても知り得なかったとして、業務上の注意義務違反はないと主張【問題点】屋根裏にコウモリが棲息するこは、建物の瑕疵といえるか?【結末】コウモリは売買契約の締結日より、約4年前から建物内にコウモリが棲息した。人が生活する建物に一定の生物が棲息することは通常避けることはできないが単に雨露をしのげればいいというものではなくて、急速や団欒など人間らしい生活を送るための基本となる場としての側面があり、その意味で建物の備えるべき性質として考慮すべきである。コウモリは、害獣とは言えないとしても一般的には不気味なイメージで見られていること、これにより糞尿も夥しい量であり、一般人の感覚に照らしても本建物は買い主の支払った売買価格に見合う清潔さや快適さを備えたものとは言えないので瑕疵に該当する。従って、売り主は買い主に対して、駆除に要する費用約112万円を損害賠償として支払う義務がある。仲介業者については、本売買に至るまでの仲介担当者の行動を検討するに担当者らはコウモリの存在を疑うべき事情もなかったなどから仲介の契約上の注意義務を怠ったとが認められない。【これから学ぶこと】買い主が売り主に瑕疵担保責任を追及するには*売買対象物件に瑕疵があること*その瑕疵が隠れたものであること(通常の注意では発見出来ないこと)が必要また、買い主が売買契約を解除するには、その瑕疵の存在によって*買い主が契約をした目的が達成できないことが必要である。瑕疵担保責任は無過失責任なので、コウモリの存在について、売り主に何らかの過失があることは必要ではないし、売り主がコウモリの存在を認識している必要もない。シロアリなどの発生もよく問題になる。虫や動物の被害も、瑕疵担保責任の対象になるので注意しよう。また、この事案では仲介業者の責任は否定されたが、仲介業者がコウモリの存在を知っていたり、あるいは容易にその存在を知りうるという場合は仲介業者の調査説明義務違反を理由に買い主から仲介業者に対する損害賠償請求が問題になることもありうる。売り主の面接(売り主の告知書提出の協力)や現場調査、特にマンションにおいては管理組合や管理会社に対する調査確認をくることが必要である。参考(民法第570条)売り主の瑕疵担保責任