知的財産を小さな会社の経営戦略に活かそう！

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• 技術を活かすのは経営戦略

  技術が重要である製造業において、社長自らが一番の技術者の場合、その技術を業績に結びつけるためには、ひたすら技術を磨けばよいのではなく、正しい経営戦略を立てられるように、戦略の研究を進めなければならない。ここまでのことをまとめるとこうなります。さらにまとめれば、「技術や知的財産を活かすためには、経営戦略の研究が欠かせない」となります。製造業においても、ご自身は技術者でないにもかかわらず、立派に技術を活かしている社長がいます。経営戦略の実力が高いからです。経営戦略は社長が担当しなくてはなりませんが、技術は社長以外の優秀な方に任せることができます。このことを深く理解しなくてはなりません。理解すれば、経営戦略の勉強を一刻も早く進めなくてはならないことが分かるでしょう。でも、経営戦略の勉強を進めないと、このことを深く理解できないという矛盾があるのですが・・・

  2009.02.09

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• 社長でなくてはできない仕事

  「どう作るか」は技術の課題、「何を作るか」は経営の課題、「どう売るのか」も全社的な売り方は経営の課題。技術の課題は社長でなくても担当できます。その技術に長じた社員がいれば、その人が中心になってやればよい。でも、経営の課題は、少なくとも従業員100人以下の会社では、社長しかやれる人はいません。ところが、零細企業では、社長が一番の技術者であることが多く、技術の課題をも中心となって担当します。するとそのような人はもともと技術者ですから、得意な技術の課題には積極的に取り組んでも、経営の課題には消極的で、極端な場合、放置してしまったりします。こうなると業績は落ち込みます。従業員の志気が低下していきます。しかし、社長は技術の課題にかかりっきりですから、技術開発により一発逆転を狙いにいきます。それが従業員から見たら、好き勝手なことをしていて遊んでいる、というように感じます。社長はそんなことはなく、真剣そのものなのですが、両者に溝が出来、あっという間に広がります。そして、どちらかというと、この場合従業員の見方が正しかったりします。だって、社長は社長でなければ出来ない仕事を放置しているんですからね。社長とは何をすべき役職なのか。わかっていない社長が多いことが、赤字率の高さとなって表れているのでしょう。

  2009.02.06

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• 技術は時間がかかり、経営は・・・

  経営の原理原則を押さえずして、どんなに高い技術も生きてこないことになります。昨日はこう書きました。ふつうは技術が高い方だとしても、世界で数社しかできないというような、非常に高い技術を持っていることは稀です。まあ、平均よりは明らかに上だ、という程度ではないでしょうか。そして多くの会社はそこまでいかず、平均的技術の会社だということになります。この平均的技術の会社が何か特徴ある技術を生み出し、それを育てていくにはとても時間がかかります。一朝一夕には技術は高まらない。技術を高めるということは、とても大変なことですね。しかし、技術を高めることは、自分たち自身が高い意欲をもって臨めば可能なことです。自社内で完結できるのですね。一方、経営の能力を高めることはどうでしょう。経営は自社内では完結しません。外に向かって働きかけることが不可欠ですね。外とは何かというと、お客様です。お客様に働きかけて、商品やサービスを買ってもらわないと会社は生きていけませんね。ところが商品やサービスを買うかどうか、決めるのは誰かというとお客様なんです。決定権は100%お客様にある。つまり、自社の都合通りにはいかないということ。いくら意欲的に経営に取り組んでも、お客様から支持される方向に行かなければ、やがて経営は成り立たなくなってしまいます。このことが経営を数十倍難しくしているのですが、逆に言えば、この方向性さえ合わせられれば、ただちに経営は上向きになることも意味しています。技術のみに目がいっている社長には、永遠に気がつかないことです。長い時間をかけて技術を高めるためにも、会社がきちんと利益をあげていくことが必要です。技術と経営、どちらのウエイトが高いかは、もうお分かりですね。

  2009.02.04

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• 技術は経営で使って価値を発揮する

  技術を高めていくことは、とても難しいことです。一朝一夕に高まるものではありません。形だけを真似てみても、技術は身に着くものではありませんね。高い技術はそれ自体が素晴らしい財産です。しかし、財産というものは、持っているだけでは何ものも生み出しません。使わなければ価値が生まれない。どこで使うかというと、経営の場なんです。つまり、技術という財産を生かすも殺すも、経営の良し悪しに依存するということ。であれば、経営の原理原則を押さえずして、どんなに高い技術も生きてこないことになります。このブログのタイトルは、「知的財産を小さな会社の経営戦略に生かそう！」ですが、この経営戦略が正しく定められていることが、知的財産を生かすための要となるのです。

  2009.02.04

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• 経営の軽視あるいは蔑視

  経営の理屈の勉強は、社長にとって最も根本的な仕事なのですが、このことが本当に認識されていません。特に技術系の社長。技術で叩き上げてきた社長、高度な技術をもって独立した社長、こういった社長は技術の探求こそが、最も大事なことであると考えています。経営の勉強は二の次、というよりもむしろ軽視している場合さえ、少なくありません。経営の勉強なんかしていない、とむしろ誇らしげに語る社長もいます。これには驚くばかりです。「技術経営」という言葉がはやるのも、その延長上にあるような気がします。そこいら辺の経営者とは違うんだという、妙な誇りがその裏に見え隠れします。単なる経営ではなく、技術を活かした高級な経営だよと。「技術経営」でも、「○○経営」でも、大事なのは「経営」であり、その理屈は共通しているのです。そして、その理屈の上に、技術や○○を載せているにすぎません。このことが理解できなければ、どんなに高度な技術をもってしても、業績は良くならないでしょう。

  2009.02.03

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• 自力で研究しなければ・・・

  理屈を知っているのと知らないのとでは、業績に大きな差ができてしまうのですね。前回はこう結びました。ところが世のほとんどの社長は、理屈を知らないまま経営しています。大企業の社長ですら、この人は根本的なところの理屈を知らないな、という方がたくさんいます。ましてや中小企業の社長の場合、ほとんどの社長は理屈を知らないまま経営をしているといっても過言ではありません。なぜか？それは、社長になるために資格など要りませんので、理屈の勉強をわざわざしていないから。そして、理屈を正しく教えるところがないから。知的財産は正しい理屈に基づいて経営してはじめてその威力を発揮するものですから、その前提が崩れれば、生きてこないのも当然でしょう。経営の理屈は自力で研究するしかない。そして、これを研究して正しく理解しなければ、場当たり的な経営とならざるを得ないのです。ですから、経営の理屈の研究は、社長にとって最も根本的な仕事なのですね。

  2009.02.01

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• 理屈を知らないから

  それにしてもどうして多くの社長が、無謀なほど大きな市場を狙うのか？それは理屈がわかっていないから。そういうと、「いや理屈じゃあない」という人が必ず出てきます。そういう人も自然科学の理屈は信じて、理屈じゃないとはいいません。この違いは、人間のすることだと、イレギュラーが多いように思えるからでしょう。確かにイレギュラーは起きます。確率は低くとも、弱いものがまぐれで勝つこともしばしばあります。しかし、経営は1回の勝負ではありません。毎日毎日、365日勝負をし続け、それを何年も何年も繰り返していきます。これだけ多くの勝負をすれば、勝率は理論的な確率にどんどん近づきます。サイコロを投げた時、ある目の出る確率は1/6ですが、6回投げれば必ずその目が出るわけではありませんね。ある時はやたらと「2」が多く出たり、またある時は「2」が全然でなかったり、バラツキがあります。しかし、投げる回数をどんどん多くしていけば、やがて「2」の出る割合が1/6に収束していく。これを大数の法則と言いますが、経営の場合も試行回数が多くなりますので、この法則が働くのです。結局最終的には、理屈どおりになる。だから、理屈を知っているのと知らないのとでは、業績に大きな差ができてしまうのですね。

  2009.01.30

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• 社会的問題の分野

  大きい市場に「逃げる」のは、地域的に大きな市場とか、客層的に大きな市場とかばかりではありません。特に知的財産経営を標榜するような中小企業の社長が陥りがちなのが、社会問題になっている分野の安易な選択です。環境や健康といったような、その時々で社会的な問題とされ、その解決が望まれているような分野。これらは、近い将来大きな市場に成長すると様々な場面でいわれている分野でもあります。これまでになかった新しい分野だから、既存の大企業よりも中小企業が活躍できる分野だ、と考えてしまうんですね。そして、安易に参入してしまいます。しかし、さんざん苦労して市場が大きくなってきた頃に、大企業や強い企業が参入してきて、全てをさらっていってしまいます。まあ、その前に苦労を乗り越えられない会社の方が、はるかに多いんですけどね。将来有望な市場というのは、必ずしも自社にとって有望というわけではない。当たり前のことなんですけどね。

  2009.01.29

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• 不況の時ほど逃げる

  大きい市場へ「逃げよう」とする姿勢は、昨今のような不況の時にさらに強くなります。地元で売れない、いまの客層に売れない、この商品は売れてない、だから・・・というわけです。共通するのは、売れないのは社会情勢や経済環境のせいだと考えている点。自分の経営者としての実力が低いから、とは決して考えてないんですね。地元に売っていない客がいる、客層を絞らず漠然と売ろうとして、誰の目にも止まっていない、同じ商品でもきちんと売っている所がある、などという事実を認識していないし、気にもしていないのですね。経営者としての実力が最低レベルです。こういう社長が多い。だから、そこから考え方を少し変えるだけで、頭ひとつ出ることが出来ます。知的財産を生かすも何も、まずここがダメではお話しになりません。

  2009.01.28

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• 大きいほうへ逃げる

  経営戦略の研究をしないで、強者の戦略と弱者の戦略の区別がつかないと、新商品として何を開発するかという点が、ずれてしまうだけでなく、どこで誰に売るかというのも、あやまって強者の戦略をとってしまいがちです。市場の大きいほうへ「逃げよう」とするパターンですね。私は静岡市にいますが、よく聞かれるのは首都圏をターゲットにという言葉です。新幹線でわずか1時間の所に大きな市場がありますので、そこに目が行かない方がおかしい。でも、首都圏をターゲットにしているのは、静岡の企業だけではないんですね。全国の企業が狙っている！飛んで火にいる夏の虫こんな言葉がぴったりですね。全国で販売・・・というのも同じ、中国を巨大な市場とみて・・・というのも同じ、あれにも使える、これにも使える・・・というのも同じ、お年寄りにも、中年の方にも、学生にも・・・というのも同じ。一体、自分の会社に何人いますか？必勝の戦術力を投入するどころか、対応しきれないでしょう。「大きいことはいいことだ！」というＣＭが私の小学校の頃ありましたが、さすがにそういう価値観は変わってきましたよね。でも、経営には根強く残っているから、不思議というか、ひどく遅れていますね。

  2009.01.27

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• それは戦略のミス

  売れないオンリーワンの新商品。この多くは言い換えれば、「やっちまったなあ～」商品なわけです。そして、お客様からの買わない理由は、そこを改良すれば買うというよりは、「根本的に考え方が違うんじゃない？」と指摘しているんですね。つまり、戦略のミスを指摘されてるんです！ところが、戦略も戦術も区別つかないでやってると、このことに気付きようがありません。戦略のミスは戦術では取り返せませんから、戦術面であがけばあがくほど、どんどん事態は悪くなってしまう。いや、薄々戦略のミスに気付いてることも、結構あるんだと思います。戦略と戦術という捉え方ができてなくても。でも、気づいた時には新商品の製造を始めてしまい、引くに引けなくなっている。本当はスパッと止めることが、一番傷が浅くて済むんですが、渦中にいるとそれができないのですね、人間って。結局、入院するまで傷が広がってしまう。戦略に関する深い知識があれば判断できることが、判断基準を持たないがために、必要以上に失敗してしまうということです。

  2009.01.23

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• オンリーワンでも売れない

  新商品、新サービスを開発した。これは他にないオンリーワンの商品・サービスである。自らを研究開発型企業だと名乗る中小企業の社長さんなら、こういう商品・サービスを持っているものです。だから、うまくいっているかというと、そういうわけでもなかったりします。というか、うまくいってないことの方が多い。オンリーワンどころか、特色のある商品・サービスを持てない会社から見ると、そういうものを持ちさえすれば、全てがうまく行くように思えてしまいますが、そうは問屋が卸さないのです。オンリーワンなのに売れない。そういう時はお客様が、「これこれこうだから、使えない」だとか、「ここがこうなっていれば少しは…」だとか、いろいろと指摘してくれているものです。すると、だいたい反応は2つに分かれます。1つは、この客はよくわかっていないとか、この客は遅れているだとか、商品・サービスを理解できないお客が悪いという反応。これでは身も蓋もありませんね。もう1つは、言葉の表面だけを捉えて、新商品の改良で対応しようという反応。これはまともな反応に思えます。実際、これで売れる商品・サービスになるケースも少なからずあるでしょう。新商品開発成功物語なんかには、こんな場面が往々にして出てきますよね。プロジェクトＸなどで盛り上がる場面です。でも、改良でヒット商品になれる場合というのは、そもそも売れる商品をきちんと開発してきた場合。多くの場合は、改良しても売れません。お客様からさらなる「買わない理由」をもらうだけ。いや、ここに大きなヒントはあるんですが・・・

  2009.01.22

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• オンリーワンだけでは…

  オンリーワンを目指せ！よくこういうことが言われます。成功した事例もたくさん紹介されます。なるほどオンリーワンか！よし、うちでも他にないものを作り出そう！こう思った社長さんも多いことでしょう。確かにこのこと自体は間違いありません。でも、成功した事例より、失敗した事例の方がはるかに多いんですね。さらに成功した事例にも、たまたまうまくいったという例が、少なからずあります。つまり、「オンリーワンを目指せ」だけでは、何ら経営の足しにはならないということです。では、何が足りないのでしょうか？そう、そこには強者の戦略と弱者の戦略というとても重要な考え方が欠落しているんです。ひどい場合には、戦略自体が欠落してたりします。この考え方に基づいていないと、全力で間違った方に突っ走ることになりかねません。新製品、新事業を開発し続けてるが、どうもうまくいかないという場合は、たいがい弱者の戦略が欠けているケースです。ここを理解して指導しているコンサルタントが、非常に少ないことが問題なんですが・・・

  2009.01.21

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• 謙虚でなければ

  経営者でも、研究者でも、あるいはその他の様々な立場の人でも、本当の意味で優れた人というのは、押し並べて謙虚ですよね。それは、自分の小ささを知っているから。自分の存在がいかに小さいものか自覚していれば、周りから必要なものが入ってきます。だから、どんどん高めていくことが出来る。逆に「俺が俺が」という人は、周りにある大事なものもシャットアウトしてしまい、そのうち周りにすら集まってこなくなります。知的財産というのは、人が精神的に生産するものですから、そのための原材料や触媒などの必要なものの質に出来上がる知的財産の質も大きく左右されます。粗末な材料からは粗末なものしか出来ませんね。情報という知的財産も、単なるデータでは知的財産たるを得ず、一度データを取り込んで、次に使うための情報として加工されますから、何をインプットできるかが、情報の質を大きく左右するわけですよね。このように考えていくと、優れた知的財産を生み出すためには、そのための手法よりも、人間としての姿勢が大事であることがわかります。

  2009.01.19

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• 陳腐なプライド

  知ってる、分かっているという思い込みが、大事な情報を収集することの大きな妨げになってしまうと昨日書きましたが、もうひとつ大きな妨げになるものがありそうです。それは特に学歴の良い人に見られがちな陳腐なプライドです。学歴のよくない人ならば、自分は何も知らないことを自覚していますから、ちょっとでも分からないことがあると、これはどういうことだろうと思い、考えてみたり、聞いてみたりします。人に聞くことに躊躇はあまりないんですね。その結果、色々なことが聞けますので、情報も集まってきますし、その結果、考えも深まっていきます。ところが学歴が良くて変なプライドがあると、本当は分かっていないのに分かっているふりをしたり（無意識にそうなることも多いですね）、分からないことでも、素直に人に聞くことが出来なかったりします。これでは情報が集まりませんし、考えも深まることはありませんね。世の中、知らないことの方が、知っていることよりもはるかに多いということをきっちりと理解し、頭に叩き込むことが肝心。そして、素直に教えを乞うこと。こうしないと本当の知的分野は高まりません。今日は半分自分に対して書きました・・・

  2009.01.16

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• 情報収集と思い込み

  お客のことはよく分かっている。競争相手のこと、よく知っている。そう思っている人に限って、本当に必要な情報を持っていないものです。お客と言っても、いま買ってくれているお客様のことは、ある程度知っていても（これすら怪しいことが多いですが）、買ってくれていないお客様のことは、ほとんど知らないというか、ほとんど気にしていないことが多い。でも、どちらが多いかといえば、圧倒的に買ってくれていないお客様の方が多いですね。だから、必要な情報をほとんど持っていないことになるのです。集めようとすらしていない。競争相手についてもそう。多数の競争相手が何をしていて、何をしようとしているのか、ほとんど把握していない場合もあります。一生懸命新商品開発をしたら、似たようなものがあちこちから出てきた。そんな経験やそんなことを見聞きしたことがありませんか？ちょっと注意深く情報を集めていれば、避けられたことです。競争相手に無頓着。そんなダメな経営者も驚くほど多いのです。知ってる、分かっているという思い込みが、大事な情報を収集することの大きな妨げになってしまうのですから、怖いものです。

  2009.01.15

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• 必要な四つの情報

  何を作るかを考え、決定するために必要な情報という形の知的財産とは何の情報か？必要な情報は4種類あります。最も重要な情報はお客に関する情報。商品を買うかどうかの決定権は、100%お客が持っていますので、その決定権者であるお客の情報なくしては、始まりませんね。次に大事なのは競争相手の情報。競争相手が何をどうしようとしているのか。敵の情報を集めずに戦う将軍はいませんね。さらに、自社内の情報。自社の持っている経営資源で何ができ、何が出来ないのかをはっきりさせなければなりません。そして取引先の情報。ここに将来を見通すために重要な情報が隠れていることがありますね。また競争相手の情報を得る手段としても、取引先はとても重要になります。経営はこの4つ、すなわちお客、競争相手、自社、取引先の真ん中で考えなければ、決してうまくいきません。それだけにこれらの情報をいかに収集し、いかに分析するかが、とても重要であるのです。

  2009.01.14

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• 第１法則と知的財産

  新商品開発で差別化を図ろうとする時、最も大事なのは、ランチェスター第１法則が働くような商品にターゲットを絞るということです。新商品開発に関する知的財産は、この何を作るかを考え、決定するために必要なものと、何を作るかが決まった後に実際に作るために必要なものと２種類に分けることができます。そしてどちらがより重要かと言うと、これははっきりしていますね。そう、前者の何を作るかに必要な方です。ところが、ふつう知的財産と言うと、後者のことのみを指すことが多いですね。ここに知的財産が、会社の経営、特に小会社の経営にうまくいかされていない大きな原因があるのです。では、何を作るかを考え、決定するために必要な知的財産とは何か？これは情報という形を取った知的財産になります。何の情報か？それは経営を考えるときに、どのスタンスで考えるべきかを考えれば分かりますが、お分かりになるでしょうか？

  2009.01.13

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• 第1法則と商品

  ランチェスター第1法則の下で知的財産を活用し、質的分野で競争相手よりも大きく抜け出せば、成果は大きなものとなります。では、第1法則が働くのはどういう条件でしょうか。これを正しく理解するには、ランチェスター法則そのものの正しい理解をせねばなりませんが、これが結構難しいのです。しかし、ここでは非常に端的に言ってしまいましょう。それは、大企業が手を出せない商品を作り、大企業がまねできない売り方をするということです。商品を考えると、大企業が参入してこないような市場規模の小さな商品、手間がかかって大企業がやってられない商品など、要は大きなところが「そんなのまだるっこくてやってられないよ！」という商品に絞るということ。ところが、技術系の社長は、将来有望な技術や未来を変える技術などに目が行きがちですから、必然的に将来市場規模が大きくなる商品を手掛けてしまうことが多くなります。そういう商品は大企業から小企業まで、こぞって開発を進めていますから、確率戦的な戦いになり第2法則が働いてしまいます。こうなると大企業の強い圧迫を受けるだけです。特に社会性のある分野、たとえば環境、介護などの分野は、原則として第2法則が働く世界ですから、こういった分野を手掛ける場合は、よほど注意してかからなければ成功しません。当該技術についてどういう特許出願がなされているか、一度特許電子図書館で調べてみてください。名の通った数々の企業から、似たような発明が出願されていることが分かると思います。これらとは（お客から見て）明らかに違うことをやらなければ、絶対にうまくいきませんが、それはそれでなかなか大変なこともお分かりいただけると思います。世間的な常識や流行を追うような姿勢では、商品の質を有意に高めることはできないということです。

  2009.01.10

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• 第2法則で質を高めようとしても

  「ただし、重要な条件があります。ランチェスター第１法則が働く条件の下で、という条件です。」昨日の記事はこう結びました。結局ここへ戻ってくるわけです。知的財産の活用に限らず、中小企業が生き延び、よい会社としていくためには、ランチェスター第1法則が働くよう、全ての活動を行っていかなければならないのです。愚直なまでにこれに拠っていかねばならない。だけど、こう思う人もいるかもしれません。ランチェスター第2法則が働く条件下でも、質的な差が量の2乗の差以上に飛びぬけていれば、中小企業でも強い企業に勝てるのではないか。では、質的な差をそれだけつけるには、どうしたらよいでしょうか？それには特許のテキストにも事例として紹介されるようなホームラン級の発明が必要になるでしょう。そのような発明は容易なことではありません。飛びぬけて優秀な人材と優れた研究設備、そして5～10年あるいはそれ以上の時間が必要です。これを支え続けるだけの経営資源が必要ですね。仮にそれだけの経営資源が整えられたとしたらどうでしょうか？研究の成果は、研究に投入した量の2乗と質との掛け算になります。高い質の投入はできたとしても、投入できる量の面では、大企業に太刀打ちできません。そして、ランチェスター第2法則が働くような、市場規模が大きくなることが予測される分野では、ほとんどの大企業が研究を進めているのです。つまり、ランチェスター第2法則が働く条件下で、質的な差が量の2乗の差以上に飛びぬけることは、現実にはほぼ不可能だということですね。これはとても大事なことです。

  2009.01.09

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• 質的分野の向上こそ

  ランチェスター第１法則において、量と質は掛け算になっていますから、量を１割増やすことと質を１割増やすこととでは、同じ効果が得られます。量を増やすことは、継続的にコストが増えることを意味します。中小企業にとって量を増やすことは、容易なことではありませんね。そこには限界があります。では、質を増やすことはどうでしょうか。これも容易なことではありませんが、質の向上にコストがかかるものの、一旦質が高まれば、そのことの維持にはさほどコストはかかりません。ですから中小企業は、この質的分野の向上を図っていくべきですし、質的分野の向上こそが、業績向上・安定のための唯一の鍵といってもいいでしょう。ただし、重要な条件があります。ランチェスター第１法則が働く条件の下で、という条件です。

  2009.01.08

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• ランチェスター法則と質的な差

  質と量の投入でどのような成果が得られるか、これはランチェスターの法則に示されています。ランチェスター法則自体は勉強してもらうとして、第1法則と第2法則からなるこの法則から、第2法則を根拠とした強者の戦略と第1法則を根拠とした弱者の戦略という2つのやり方の存在が明らかにされています。ふつう、このことを理解する時に、本来の戦闘の法則として考えると、相対する2つの軍の武器性能などの質的要素がほぼ同じならば、攻撃力は第1法則の場合は兵力数に比例し、第2法則の場合は兵力数の2乗に比例する。だから・・・・・というように考えます。では、質的要素が同等でなければどうでしょう。この場合でも、第2法則が働く場合は、兵力数に2乗がついてますので、兵力数が同等か少ないときには、よほど質的に大きな差が付かない限り、攻撃力で上回ることができません。弱者は第1法則が働くよう戦うのが、やはり必須になりますが、ここで質的要素に明らかな差があればどうでしょう。一騎打ちの局面で武器性能や兵士の腕に差があれば、それらが上回った方がまず勝ちます。これでは相当有利になりますよね。ここに知的財産をどう形成し、どう生かすかの根拠があるのです。

  2009.01.07

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• 評価額は一定ではない

  その知的財産が生み出すであろうキャッシュフローでその価値を評価する。なるほど、と思ってしまいますが、この方法では価値が、（多少の幅を持っているでしょうが）1つに定まりません。たとえば、ある自動車に関する特許があったとしましょう。ただし自動車に関する技術を根底から変えるようなものすごい特許発明ではないものとします。この特許をトヨタ自動車が持っている場合と、スズキ自動車が持っている場合とでは、おそらく将来生み出すであろうキャッシュフローは違ってくるでしょう。売上高の大きいトヨタ自動車の場合の方が、スズキ自動車の場合よりも、生み出すキャッシュフローが多くなることが予想されますね。当然、この特許の価値評価も変わってきます。今のは企業の規模の違いによる価値評価の変化でしたが、企業の規模がそれほど変わらない場合でも、その企業の実力、特に中小企業においては社長の経営実力によって、その知的財産を生かせるかどうかが、かなりの幅をもって変わってくると考えられますので、将来生み出すであろうキャッシュフローも、大幅に違いが出てくることになります。極端な場合、ゼロもあり得ますし、億単位にもなるでしょう。知的財産に限らず、財産をそれが生み出すと予測されるキャッシュフローの現在価値によって評価する方法には、このような性格があるのです。

  2008.12.30

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• 価値評価の幻想

  さて、特許の価値評価の方法について解説した本を読むと、評価方法は大きく分けて3つあると書かれています。１つ目はその特許を取得するに至るまでにかかった費用の合計によって価値とするものです。２つ目はその特許が将来生み出すであろうキャッシュフローにより価値を評価するものです。３つ目は相場によって価値を評価するもの。最初の方法は、特許そのものの価値とかかったコストとは無関係ですので、ほとんど採用されていません。これはもっともな話ですね。では、２番目と３番目とでは、どちらが適当な方法かというと、３番目がより適当な方法ではあるが、特許については相場が形成されていないので、止むを得ず２番目を使うことが多い、と説明されています。特許の場合には、土地や建物のように万人が納得する価値評価が今のところ難しい、という立場なのですね。ここで、前回書いたことを思い出してください。モノの価値の捉え方で、モノそのものの価値の上に、そのモノが生み出す価値を付加価値として捉え、その付加価値を評価するという考え方がありました。経営において使用する有形・無形のモノは、それが新たに価値を生み出すからこそ必要なのであり、その新たに生み出された価値こそ、経営上の価値といえるのではないでしょうか。だとすれば、特許の価値評価法も、この考え方による第２の方法こそ、最もふさわしい評価方法のはずです。第３の方法の方が、よりよい方法と思われているのは、１物１価という幻想に捉われているからでしょう。お役所的価値といってもいいかもしれません。

  2008.12.29

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• モノの価値

  昨日の土地の話のように、モノの価値は、そのモノ自体の価値と、そのモノが生み出すものの価値との2つの価値があります。そのモノの価値は、ふつうそれが取引されている価格で表されます。土地の場合には、同様な土地がいくらで取引されているかという相場が価格の決定に大きな役割を果たしています。ですから、そのモノの価値といいながら、土地を構成しているもの、つまり土そのものの価値ではないのですね。銀座の土も稚内の土も、土の種類はちがっても、土自体の価値はそう大きく違いませんからね。ふつうはこの両者の価格差をもって、銀座の土地に大きな付加価値があると考えます。しかし、同じ銀座に同じような土地を持っていても、その土地利用して大きな収益をあげることもできれば、空き地にしていれば税金を取られるだけということもあり得るわけですね。最近不動産の価値を算出するのに、その不動産が将来生み出すキャッシュフローを算出し、それを現在の価値に変換する方法が、しばしば取られるようになりました。これは従来の相場による価値算出と全く異なり、本当に生み出すであろう付加価値を直接測定しようという方法であるわけです。この場合、相場による土地の価格が価値で、生み出すキャッシュフローの価値が付加価値という関係と捉えることもできるわけです。そして、この考え方は、全ての財産について使えるのですね。

  2008.12.26

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• 土地の価値は・・・・・

  有形の財産の代表的なものに土地があります。土地の値段というのは相場が明瞭ですので、実際の取引価格には幅があるものの、そう極端に高かったり安かったりすることは、よほどの事情がない限りありません。だから、土地の財産価値は、誰が所有しても同じだと思われているのではないでしょうか？確かに自分の家を建てるための土地であれば、その価値は誰が所有してもほぼ同じでしょう。しかし、その土地で事業を興そうとしたらどうでしょう？その人の事業を進める実力によって、その土地から上がる収益が大きく変わってくるでしょう。ということは、その土地の価値が、所有する人によって大きく変化するといって、よいのではないでしょうか。そして、その価値は相場で決まる地価ではなく、土地が生み出す付加価値なのです。知的財産と全く同じではありませんか？

  2008.12.25

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• 知的財産の価値は

  知的財産とは財産ですから、何らかの価値がなければならないですね。何にとっての価値かといえば、当然ですが経営にとっての価値です。お客に関する情報が知的財産であるためには、その情報が経営にとって、価値があることが条件となります。誰でも知っているような情報は、価値がゼロに近いですから、知的財産とは呼べないわけです。では、価値ある情報をどう集めるのか。これまで書いてきたように、ここに問題があるわけですね。価値ある情報をキャッチできるためには、俗にいうようにアンテナを張っていなければなりません。そして、何が価値ある情報であるかを見分ける能力がなければなりません。さらに、集めた情報を分析する能力と実際にそれをもとに決定を下す決断力、それと実行し継続する断行能力がなければ、価値ある情報を経営に活かすことができません。そして、こういう側面は、お客に関する情報に限らず、すべての知的財産について回ります。それは、知的財産自体の性格でもあり、お客に関する情報が最も根源的であるために、これに支配されるからでもあります。このように知的財産の収集・形成とその活用に関しては、他の有形財産以上に、財産を持つものの戦略実力に左右されます。形がなくて価値の測定が難しいことから、その知的財産の価値が、左右されるといってもいいでしょう。

  2008.12.24

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• なかなか止められない

  売り始めてから初めて気付くのです。前の日記でこう書きました。作るべきでない商品を開発してしまったときのことです。でも、気付いたからといって、すぐには止められないことの方が、もっと深刻な問題を引き起こします。時間と費用と労力をかけて開発した商品です。技術者としての、そして経営者としての思い入れがあります。気がついてしまっても、気がつかなかったことにしたくなります。いや、無意識にそういうことにしてしまうんですね。今は売れなくても、やがて商品が理解されて売れるようになる。こう希望的観測で継続してしまうのですが、実際に売れる商品の場合でも、導入期には売るのに苦労をしますので、この区別がわからないのも事実です。結局ずるずると引きずっていき、余計に損失を大きくしてしまいます。最悪の場合、倒産に至ることも。運がなかった・・・・こう思いたいのは山々ですが、作るべきでなかった商品を作るに至った自分の戦略実力のなさが原因なのです。作るべき商品を開発した場合に初めて、運、不運が問題になるのですから。

  2008.12.22

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• 作ってはいけない・・・・・

  お客や競争相手に関する情報が重要なのは、「何を作るか」を考えるためであるとともに、「何を作ってはいけないか」を明らかにするためでもあります。この「すべきでないこと」は、「すべきこと」以上にはっきりさせてないことが多く、このことが経営の効率を落としていることが、しばしば見られます。下請でずっとやってきた中小企業が、脱下請を図ることが大事だとばかりに、自社製品の開発に取り組むことがままあります。下請でやってきたために、お客や競争相手に関する有効な情報の蓄積がないために、これを収集・分析する必要性にも気がつかず、技術面の分析を中心にこんなものができそうだとばかりに製品の開発を進めてしまうと、作るべきでないものを作ってしまいがちです。お客が必要性を顕在的にも潜在的にも感じていない商品。すでに多くの競争相手が手掛けている商品。その価格ならば、その機能は要らないという商品。最も重要な問題点が解決されておらず、副次的な問題点だけを解決した商品。ナニコレ？という商品。あなたもしばしば見かけることと思います。なのに開発した側は、売り始めてから初めて気付くのです。これでは経営改善ではなく、経営悪化になってしまいますね。

  2008.12.20

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• 大事なことを手抜きしている下請企業

  お客様に関する情報はほぼゼロ。競争相手に関する情報も乏しい。これでは「何を作るか」を的確に考えられません。しかし、製造業の中小企業の多くは、これに該当する会社です。なぜ、最も大事な知的財産無しにやっていられるのか？それは下請でやっているからですね。発注元に言われるがままに作っていれば良い。こんな楽なことはありません。しかし、発注元の都合に完全に左右されます。最近のように不況の風が吹くと、真っ先に影響を受けてしまいます。だからといって、経済情勢が悪化してからでは、手の打ちようがありません。いや、どんな企業でも、不況になってからできることは限られていますが、最も大事な知的財産を蓄積することを怠ってきた会社には、ほとんどなすすべがないのです。では、経済情勢が良い時に打つ手はあるかというと、「何を作るか」を考えるための情報がないわけですから、良い手を打つことはできません。そもそも、忙しくて考えている暇もない、考えなくてもやっていけるから考えない、というのが現実でしょう。最も大事なところを放棄していて、業績が根本的に良くなり、安定することはあり得ないことを認識すべきです。

  2008.12.19

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• 競争相手のことを知らないまま・・・・・

  そして営業上の有用な情報には、お客に関する情報のほかに大事なものがもう1つあります。それは、競争相手の情報です。競争相手のことをどれだけ知っていますか？どんな業種でも、法的に独占的な場合を除いて、競争相手は必ずいます。しかし、意外と競争相手については、知らないで平然としているものです。競争相手が何をしようとしているか知らない。だから、競争相手がすでに手掛けているものとほぼ同じようなことを差別化と称して行うことが起こります。だいたい同じ業界にいると、思考回路が似てきますから、同じようなことを考えがちです。相手のことを気にしないで進めれば、だいたいはバッティングします。戦争で、戦う相手の情報をほとんど得ないまま戦うことは考えられません。そんなことをしたら、文字通り自殺行為になりますね。生き死にがかかっているから、必死になって相手のことを探ります。そういうことを考えると、いかに経営が甘いかがよくわかりますね。競争相手がどこかということ自体、よくわかってないケースまであるのですから。

  2008.12.18

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• 大事だが認識されにくい

  ところがここに大きな問題があります。お客に関する情報の多くは、最も重要な知的財産であっても、知的財産権とはなり得ないのです。知的財産というものは形がありません。ですから、捉えどころがありませんし、気がつかないこともしばしばです。知的財産権となっても、形がないことには変わりありませんが、認識しやすくなります。特許権などの産業財産権であれば、特許証や特許公報などの形が得られます。著作権の場合は著作物という形を取ります。これらの形を通して、知的財産の存在を間接的に認識することができるのです。ところが「単なる」情報では、それが財産であると認識できるためには、情報の受け手の実力が高くなければなりません。生産技術や技能に比べて、その価値がわかりにくいからこそ、お客に関する情報は疎んじられ、その結果、売れない商品の開発が、山のように行われているのが現状です。

  2008.12.17

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• 最も大事な知的財産を得るには

  情報の受け手の感度が、得られる情報の価値を大きく左右するのですが、この受け手の感度は、いかにその問題を考え抜いているかによります。もっといえば、社長の戦略実力が低ければ、有用な情報は得られないということですね。たとえばここに岩がむき出しになった崖があったとしましょう。あなたはこの崖から何を見るでしょうか。ただ崖だと思う人もいるでしょう。いや、崖に気付かない人もいるかもしれませんね。見事な岩だなあと思う人もいるでしょうし、危ない崖だと思う人もいるでしょう。もし、地質学の実力のある人が見ると、何岩だということから始まって、そこの土地の成り立ちまで推測できるかもしれません。もし、防災学の実力のある人が見ると、崖のどの部分が危険で、どのような工事をどのくらいやればいいか、おおよその見当をつけることができるでしょう。場合によっては背後の斜面の危険性が指摘され、未然に災害を防ぐことができるかもしれません。人はその実力以上のものを見ることはできませんので、1つの崖を見ても受け取る情報は様々です。経営に関連する情報も全く同じで、自分の戦略実力以上のものを見ることはできません。以上のことから、商品開発における最も大事な知的財産、つまりお客に関する価値ある情報を得るためには、まず戦略実力を高める必要があると結論付けられます。

  2008.12.16

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• 人について知ること

  昨日の記事で列挙した商品開発に関連する知的財産で、最も重要な知的財産はどれでしょうか？もちろんどれも重要には違いありません。なので、その人の立場によって、特許が最も大事だとか、いや権利化されないノウハウの方が大事だとか、そうでなく売るためにはブランド化が欠かせないので、商標などが最も大事だとか、様々な意見が出てくることでしょう。そこでもう一度思い起こして欲しいのは、「何を作るか」を決めることが、最も重要な決定であるということです。そして、この「何を作るか」は、対象とするお客様の立場で考えなくてはなりません。そう、最も根本的なところで、お客様に関して色々と知っている必要があるのです。つまり、昨日の記事の中の(3)の知的財産のうち、「対象となるお客様に関する情報」こそが、最も重要な知的財産なのです。これがなければ始まりません。実は孔子も、世の中で最も価値の高い知識は、人について知ることだと言っているとのこと。鋭くて奥深いですね。ところが、人について知ることが、最も疎んじられているのが、中小企業、特に製造業の経営ではないでしょうか。

  2008.12.12

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• 商品開発に関わる知的財産

  ある特定の客層のお客様が、「こんな商品があればいいんだが・・・」と思っているものを実現すれば、その商品は支持される可能性が高くなります。今はない商品を作ることになりますが、これが必ずしも技術的に新しいものとは限りません。むしろ、従来の技術の組合せで実現できるものであることの方が多いでしょう。この時に役立つ知的財産とは何でしょうか？ここで改めて知的財産の定義をはっきりさせておきます。このブログでは知的財産の定義は、知的財産基本法に規定されているものを採用します。----------------------------------------------------「知的財産」とは、発明、考案、植物の新品種、意匠、著作物その他の人間の創造的活動により生み出されるもの（発見又は解明がされた自然の法則又は現象であって、産業上の利用可能性があるものを含む。）、商標、商号その他事業活動に用いられる商品又は役務を表示するもの及び営業秘密その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報をいう。-----------------------------------------------------長いのでまとめると、次の3つが知的財産に含まれます。(1)人間の創造的活動により生み出されるもの（発明や著作物など）(2)商品やサービスを表示するもの(商標や商号など）(3)事業活動に有用な技術上・営業上の情報先の特定の客層にフィットした商品開発で関係したり生まれたりする主な知的財産をそれぞれのカテゴリーで考えてみましょう。(1)のカテゴリーでは発明や考案、デザインなどが、商品開発の中で生み出されてきます。その中で特許や実用新案、意匠などに登録され、権利化されるものもでてくることがありますね。一般に商品開発に関わる知的財産といえば、これらを思い浮かべることが多いことと思います。(2)のカテゴリーでは、新商品の商標がこれに当ります。また、新商品をこれまでと異なる体制で売り出すときには、そのサービス名や商号などが生まれることもありますね。昨今よく言われる「ブランド化」に関連して、注目される知的財産です。そして(3)のカテゴリーですが、技術上の情報としてはノウハウなどがあり、営業上の情報としては、対象となるお客様に関する情報があります。ノウハウなどの技術上の情報は、製造業や建設業などのもの作り産業では、とても大事にされているでしょうが、案外見過ごされているのが、お客様に関する情報などの営業上の情報です。さて、これらの商品開発に関連する知的財産で、最も重要な知的財産はどれでしょうか？明日まで考えてみてください。（コメントしていただけると嬉しいです）

  2008.12.11

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• 差別化は客層との関係において

  「もの」だけを取り出してみて、これで差別化を図ろうとしても、とても難しいことです。青色発光ダイオードのような、ホームラン級の発明に成功しない限り、「もの」そのもので意味ある差別化をするのは、困難だといっていいでしょう。差別化しろと言われても・・・というように思うのは、こういう困難さがあるからですね。でも、この「もの」は商品なのですから、それ単独で世の中に存在するのではなく、お客様との関係の中に存在するわけです。であれば、「お客様」と「もの」との関係において、他社と差別化を図ることは可能なはずです。お客様、言いかえれば客層というのは、多種多様ですので、その客層にフィットしたものを作ることで、差別化することが少しは簡単になるはずです。幸いにして小さな会社は、売上規模が小さくてもやっていけますので、非常に細分化した特定の客層に特化しても、経営が成り立ちます。何をどう作るかという問題は、ここに帰結することになります。さて、その時に知的財産あるいは知的財産権は、どういう役割を果たすのでしょうか？

  2008.12.10

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• どう作るかも結局・・・

  何を作るか、そして誰に売るのか、これらを正しく決めることが出来て、初めて「どう作るか」が問われてきます。誰でも作れるものを、誰でも作れる方法で作っていては、お客様から製品に価値を認めてもらえません。つまり、価格だけで判断されることになります。価格競争では大きなところに勝ち目はありません。価格で判断されるのではなく、価値で判断される製品を生み出すことは、小さな会社の経営上とても大事なことになります。この新製品をどういうものにするかを考える時には、目標とする客層のお客様の立場に立って、何が必要で、何が必要でないかを把握して、考えていかなくてはなりません。というのは、作り手が価値と感じるものと、買い手が価値と感じるものとは、全く異なっているのが普通だからです。ひとりよがりの開発をすると、価値でないところに力点が置かれ、結局、お客様にとって価値のないものになっている、ということが往々にしてあります。このとき、「お客はわかっていない」という愚痴がでるのですが、わかっていないのは自分の方なんですね。「どう作るか」もお客様との関係の中で考えなくてはならない。当たり前のことのようですが、この当たり前がとても難しいということです。

  2008.12.09

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• 戦略と分析と思考がないから

  社長がやりたいことで、何かを思いついて、それを「どう作るか」だけを考え、実行に移す。中小企業の特に製造業において、自社の新商品開発を積極的に行い、創造型企業であると思っている社長の多くはこのタイプでしょう。もちろんニーズを全く考えてないわけではありません。ただ、「こういうものがあれば便利だろう」程度の浅い考えなんですね。さらにそれはどういう客層に売れるかをきちんと押さえていないことが多いですね。だから、確かに便利かもしれないが誰も要らない、という製品になりがちです。また、技術分野が同じなので、自社のやるべき開発だと思い込みがちですが、客層がこれまでと異なることが多いので、結局売り方が分からなかったりします。はっきりと客層が違う場合だけでなく、一定のカテゴリーには含まれているものの、その中で客層が少し異なり、その結果売り方が全く変わってくる場合など、今までと同じように売れると錯覚しがちです。結果として、経営力が分散してしまいます。これは、多くの中小企業で起こっていることです。そしてこういう企業でも積極的な経営だと、色々と取り上げられたり、表彰されたりしています。そして、ますます有頂天になるのですが、新商品の売れ行きが思ったように伸びず、苦戦していることが多いようです。これは企業もそれを取り上げるほうも、戦略を正しく知らないまま、技術という戦術だけに注目している結果なんですね。その前に「何を作るか」「誰に売るか」という分析と思考が欠落しているか浅いかです。考えが浅い。ふだん考える訓練を積んでいないとこうなります。そして、考えるための基礎研究がないことも一因ですね。

  2008.12.08

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• 正しく決めるには・・・・・

  「何を作るか」そして「誰に売るか」。これを会社の規模や業種に合わせて、正しく決める必要があります。「やりたいからそれにする」では、うまくいかないことが多いのですね。そして、これらを正しく決めるには、「弱者の戦略」の考え方に基づいてなければなりません。世の中の会社の99.5%、つまり1000社中995社までもが、「強者の戦略」が取れる条件を満たしてないからです。つまり、「弱者の戦略」と「強者の戦略」の違いが分かり、「弱者の戦略」の中身について、きちんと理解していなければ、「何を作るか」そして「誰に売るか」といった、最も大事なことを的確に決められないのです。その結果、手掛けるべきでないものを作ったり、いろいろと手を出してみては止めてみたり、などといったことをしてしまい、結局、会社はガタガタになってしまうことになります。規模が小さければ小さいほど、社長が「弱者の戦略」をきちんと理解しなければ、ジリ貧になってしまうのですね。しかし、一般には、小さな会社には「戦略」なんて高級なものは、とても、とても・・・・・という反応なんですね。ここに大きな問題があります。

  2008.12.04

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• 「何を」と「誰に」

  「何を作るか」を小さな会社が考える時には、「誰に売るのか」を一体で考えなくてはなりません。対象となる客層あるいは業界を広く出来るほどの経営力がないから、特定の客層・業界に絞り込んだ物を作らなくてはならないからです。そうしないと経営力が分散し、どれも作るレベルと売るレベルが上がらず、競争に負けてしまいます。それなのに作ってしまってから、「誰に売れるのか」を考え、探しはじめる例が多いのが実態です。販売チャネルを探すのも同じこと。それは作る前に調べ、接触し、その内容をさらにどう作るかに反映すべきことです。「何を作るか」と「誰に売るか」をまずきちんと考えて、決定することが重要なのです。

  2008.12.03

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• 多くの社長は何を作るかを考えてない

  「どう作るか」ということは、目に見えますので誰でも考えやすい。おまけに「どう作るか」ということは、新入社員で入ってきてからずっとそのレベルを高めることをやってきますので、とても考えやすいですね。うっかりするとレベル高く作ることが、経営の全てだと思っている社長もいます。社長になるまでそれしか考えてこなかったからです。でも、「何を作るか」は、ほとんど考えている人はいません。従業員の場合、作るものはあらかじめ与えられています。いちいち「何を作るか」は考える必要がない。そのまま独立した人も、あらかじめ作るものがあって独立しますから、「何を作るか」を改めて考えません。考えなくても、その「もの」が成長期にある時は問題ありません。しかし、その「もの」が成熟期になり、衰退期を迎えたとき、「何を作るか」を考えてこなかったならば、その「もの」とともに会社も衰退してしまいます。経済情勢に急激な変化が起きた時も同じ。いわれるがまま部品を作ってきた会社は、発注者が生産を急激に縮小せざるを得なくなった時、仕事が急激になくなってしまいます。これは「何を作るか」をよく考えてこなかったことのツケなんです。そう、今起こっていることが将にこれですね。

  2008.12.02

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• 知的財産権と戦略

  アイデアで作られた商品は、売れるかどうかわからない、というよりも売れない方が圧倒的に多いバクチ商品です。しかし、アイデアから生まれた発明や工夫は、特許や実用新案になり得ます。特許を取れたところで、多くの社長はその商品が素晴らしいと誤解してしまいます。これが様々な面で、業績をさらに悪くするもととなってしまいます。発明や工夫、特許権などの知的財産権、そして技術といったものは、すべて戦術に属するものだからです。「何を作るのか」こそが最も大事な戦略。ここを考えなかったり、間違えていては、戦術をいかに尽くしてもうまくいかないのです。特許を生かした実例で登場してくる企業は、正しい戦略がある企業か、たまたまうまくいった企業かのどちらかです。そして、うまくいかなかった事例は、圧倒的に多いにもかかわらず、表に出てくることはありません。

  2008.12.01

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• バクチに将来を委ねる

  アイデアをそのまま形にしていくのが戦術社長。様々な分析をした上で何をどう作るか、あるいは作らないかを考えるのが戦略社長。ピーター・ドラッカーは「イノベーションと企業家精神」の中で、イノベーションの機会を7つ挙げた後で、番外として「アイデアによるイノベーション」を挙げています。そして、「ほかのあらゆる種類のイノベーションを全部合わせたよりも多い」けれども、「成功する確率は最も小さく、失敗する確率は最も多い」と述べています。そして、「続けていればやがて成功するという考えは、ラスベガスのスロットマシーンで儲けるには、レバーを引きつづければよいというのに似ている」としています。蓋し、名言です。アイデアで次の主力商品ができるかどうか、これには根拠がないのですね。できるともいえないし、できないわけでもない。つまり、バクチということです。あなたは自分の会社の将来をバクチに委ねますか？戦術社長は知らないうちにそうしているんです。

  2008.11.28

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• 商品の戦略と戦術

  「何を作るか」の決定＝商品戦略「どう作るか」の工夫＝商品戦術この違いはとても大事になります。戦術は戦略に従う。戦略のミスは戦術では取り返せない。このように言われるとおり、「何を作るか」という戦略が狂っていれば、いかに技術を高めようとも、いかに工程の工夫によりコストを下げても、根本的に間違った方向に進んでいるのですから、うまくいきません。特許や意匠などの知的財産権は、そのほとんどが「どう作るか」に関したものです。それ以上に「何を作るか」を判断するための「知的財産」が大きな価値を持っていることに気付く必要があります。戦略社長はこのことに気付いてますが、戦術社長は気付いていません。

  2008.11.27

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• 「どう」よりも「何を」が

  作ることで本当に難しいのは、「どう作るか」ではなく、「何を作るか」なのです。なぜなら「何を作るか」は、お客様との関係、さらには競争相手との関係を考えなければ的確に決められないものだからです。そして「どう作るか」は、社員が色々と考えることができますが、「何を作るか」は、中小企業においては社長が考え、決めるべきことなんですね。ここを思いつきやアイデアだけで決めていては、本当によいものが作れるはずがありません。売れるわけがないのですね。

  2008.11.26

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• 努力をしただけでは・・・

  もの作りは確かに難しいですね。簡単に技術が得られるものではないですし、新しいものも一朝一夕にはできない。しかし、作ること自体は、自身の努力によって高めることができます。自分が頑張れば成果はついてきます。これに対して売る方はどうでしょうか。こちらにはお客様がいます。そして、こちらはお客様を意のままに操ることはできないのです。買うかどうかの決定権は100%お客様が持っていて、こちらには1%もないからですね。ここがとても重要なところです。売ることは、自身が努力しさえすれば、成果が出るとは限らないということ。このことが売ることをうんと難しくしています。売ることは作ることより何十倍も難しい。このことをきちんと理解していないと、実は作る方も正しい方針を立てられないのですが・・・

  2008.11.25

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• 商品力と営業力、どっちから？

  経営力は商品力と営業力との掛け算ですから、その両方が高まれば経営力もぐんと高まり、業績がめざましくよくなります。しかし、2つのものを同時に高めようとするのは、とても難しくうまくいきません。あなたが天才でない限り、欲張ってはいけないのですね。では、商品力と営業力のどちらから高めていけばよいでしょうか。多くの場合は、営業力から高めていくべきです。製造業などもの作りの業種では、商品力を高めようと思っても、すぐに高まるものではありません。レベルの高い商品、レベルの高い技術、これを獲得するのには、少なくとも5～6年といった期間が必要です。販売業では商品を入れ替えれば、すぐに商品力を高めることは可能ですが、それも口でいうほど簡単なことではありませんね。場合によっては新たな仕入れルートの開拓が必要ですし、すぐに扱えるとは限りません。このように商品力はすぐに高まらないですし、商品力を高めるには資金が必要な上に、リスクも伴います。これに比べて営業力は、今すぐにでも高めていくことが可能です。今いる人員でできますし、特に資金が必要でなく、リスクもありません。ですから、まずは営業力を高めることに着手し、利益性を高めて資金を貯め、その資金でもって商品力の向上を図っていくというのが望ましい道筋となるのです。つまり、今現在売れていなくて、業績が低迷して苦しいことから逃れようと、新商品開発に走っても、業績回復は難しいということです。つまり、特許などの知的財産権を生かせるのは、業績が一定のレベル以上にある会社ということです。特許で儲けた的な話が巷に流布されていますが、そのイメージとは裏腹に特許で一発逆転はまずないのですね。ただし、売れなくなった原因が、業界全体が衰退期に入ったことによるならば、商品の衰退と共に会社も衰退してしまいますから、業種の転換を考えなくてはなりません。この時は商品力も同時に考えなくてはならないのは、いうまでもありませんので念のため。

  2008.11.20

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• 作り3分に売り7分とは

  作り3分に売り7分。もの作りそのものよりも、売る方に2倍のウエイトがあるということです。こういうと、じゃあ商品はどうでもよくて、売り方次第なのかと反発する方がいますが、それも極端すぎます。作りには3分のウエイトがあるんです。ここがボロであれば、いくら7分の売りに力を入れてもダメです。なぜならば、作りと売りは掛け算だからです。作りの方がゼロに近ければ、結果が大きくなりようがありません。この「結果」とは経営力を表します。お客様、あるいは市場と言ってもいいですが、ここに注ぐ経営力です。これが競争相手よりも弱ければ、商品はなかなか売れません。この経営力は商品力と営業力との掛け算であり、かつ営業力には商品力の2倍のウエイトがついているということです。式にすると、経営力＝（商品力×0.3）×（営業力×0.7）ということですね。経営力を高めて競争相手よりも商品が売れ、粗利益の補給力を高めるためには、まずこの式をきちんと理解することが大事ですね。

  2008.11.19

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• ものがよければ・・・は逃げ

  昨日の最後のところに、「特に技術系の社長さんに、こういったことの勉強を軽視する人すらいます。技術＞経営という意識ですね。」と書きました。こういう社長さんは往々にして、営業も軽視しています。ものがよければ自ずから売れる。売れないのは営業が怠けているからだ。こんな考えですね。確かにものがよければ自ずから売れます。ただし、その場合の「よければ」というのは、とび抜けてよくなければなりません。どのくらいとび抜ける必要があるかというと、世界でここだけ、あるいは少なくとも2～3箇所でしか作れないというレベルである必要があります。ちょっと改良したなんてレベルでは、全然ないのです。ここの誤解が甚だしい。技術系の社長さんは往々にして人付き合いが苦手だったりしますから、営業も苦手の方が多い。その逃げ道が「ものがよければ売れる」なんですね。しかし、営業をきちんと見つめていかないと、折角よいものを作っても売れません。なぜなら、「作り3分に売り7分」だからです。

  2008.11.18

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• 2つの使えない発明

  経営で差別化を図るのは何も商品だけではない。何でどのように差別化するかを考えるには、情報を基に考える必要がある。しかし、どのような情報をどう集めるかが明確でないと、そもそも情報の集めようがない。結局、目で見えるものにのみ頼っていると、すべてが回らなくなるのですね。その結果何が起こるかというと、「アイデア→商品化」の直結であり、アイデア商品の誕生です。もちろん当の本人は良い商品が出来た、画期的な商品が出来たと考えています。でも、アイデア商品の域を出ていないので売れません。お客はわかっていないだの、世に出すのが早すぎただの、そういう売れない理由ばかりが発明されます。アイデア商品開発のための発明（これは往々にして特許化されてますが）と売れない理由の発明は、どちらも価値がほとんどありませんね。こうなる根本原因は、当の本人、つまり社長自身にあるのです。

  2008.11.14

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