水滸伝の世界2~魯智深
最近はまっている、北方謙三氏の「水滸伝」。時は、中国・北宋末期。腐った官僚役人が動かす宋の国を打倒を目指し、『替天行道』の旗の下、梁山泊に集まった108人の勇者たち。その勇者の中から、人生の指針となる人物をご紹介してます。今回は、同志を集めるべく放浪の旅を続ける僧、魯智深。私が今、最も「こうありたい」と思う人物。彼は、梁山泊でともに戦う同志を誘うべく、様々な賢者・猛者・技術者等々の元を訪れ、そして『替天行道』の旗の下へと誘います。ただ、その物言いは決して無理に誘うものではありません。ひたすら、相手に説く、想いを尋ねる。今の世のあり方、相手自身のあり場所、将来の国の姿。この世はどうあるべきか。何が正しく、何が間違っているのか。この世の中で、自分自身は何をすべきなのか。どうやって、自分自身を活かすべきなのか・・・。彼の想いに触れた人物の多くが、自分自身を見つめなおします。そして自らの『替天行道』を探して、自分自身で歩みだすのです。彼自身、人間として強い。坊主でありながら、相手を圧倒する武術。修行と旅で得た、深くて広い知識・視野。そして揺るがぬ胆力・精神力。牢獄から脱出した際、手枷から逃れるため手首を切り落とします。そして敗血症が元で、結果的に腕そのものの切り落とすことになります。全く逡巡することなく、痛みで叫ぶことなく切り落とす。それどころか、「自分の腕だから」と言って食べてしまう、その骨太さ。腕を失ってからは還俗し、「魯達」と名前を変えます。そして再び、人材を求め諸国めぐりへと出るのです。私自身、自分には何もありません。すごい専門的な知識があるわけでもない、プロになれるような技術もない。でも・・・、人と人を繋ぐこと。人の想いを紡ぐこと。そして、その人の想いに応えること。そのために知識を、行動力を持ちたい。全力で走りたい。自分自身の生き方の理想が、魯智深と言う人物にあります。