POWERS OF TEN ~マクロとミクロの時間旅行~
こんにちは、坂本です。さて今日は、前回お約束したとおり、あなたを“四次元の旅”にお連れしましょう!あなたは、イームズを知っていますか?建築や椅子なんかが好きな人は、一度は名前を聞いたことがあると思います。イームズは、夫婦で活躍した20世紀を代表するデザイナーです。彼らは、建築や椅子以外にもいくつかの映像作品を発表しています。その代表作である「POWERS OF TEN」。この作品が実にオモシロイのです。結構有名な映像なので、知っている人もそこそこいると思います。この映像は、ある晴れた日の午後、公園でピクニックに来たカップルの何気ないひとコマからスタートします。テレビでこんな映像が流れだしたら、きっと2秒でチャンネルを変えてしまうような。そんな、退屈な映像からこの作品ははじまるのです。しかし、このカップルが公園で寝そべっているところを1m上空からカメラが映し出す場面。そこからは、一瞬たりとも目が離せなくなります。あ、別に、そのカップルがイチャイチャしはじめるとかその手の話じゃありませんのでご安心を(笑)では一体、そのカメラは、その後、どんな映像を見せてくれるのか?カメラはその後、10秒ごとに10倍ずつの距離でカップルから遠ざかっていく、つまりズームアウトしていくのです。カップルの姿はどんどん小さくなっていき、すぐに見えなくなってしまいます。上空の雲が見え、街全体が映し出され、アメリカ全土、そして、私たちの地球を映し出します。しかし、カメラはそこで止まりません。カメラは、地球の衛星「月」を映し、地球が点となり、見えなくなると太陽が見え、やがて太陽系全体が映し出される。それでもカメラは止まらない。ぐんぐん、ぐんぐん遠ざかる・・・そして、遂には巨大な太陽系全体、さらに超巨大な銀河団でさえ、点に変わってしまうのです。そして、それらすべてが巨大な宇宙に中に飲み込まれていく時、ようやくカメラはストップします。カップルからの距離、10の24乗メートル。1,000,000,000,000,000,000,000,000 m。1億光年と呼ばれる世界を映し出します。それで終わり?いやいや、まだ終わりではありません。今度は、カメラは来た道を引き返していきます。一気にカメラは地球に近づいていき、やがてカップルの上空、スタート地点まで戻ってくる。ちょっとした宇宙旅行を体感できます。しかし。本当にオモシロイのはじつはここからだったのです。超マクロの世界、宇宙を旅し、地球に戻ってきたカメラ。そのカメラがこんどは、超ミクロの世界に旅立ちます。10秒ごとに10倍ずつズームインしていくのです。芝生に寝そべっている男性の手の部分をカメラはどんどん拡大していきます。皮膚の角質から、細胞、細胞核、DNA構造へ。DNA構造から、分子構造、原子構造へ。宇宙に広がる銀河の世界(マクロ世界)はあなたも何となく想像することができたはずです。しかし、この超ミクロの世界は、あなたの想像を超えた世界が待っているのです。そして、その瞬間がやってきます。カメラがDNA構造のさらに奥、炭素原子の核の中に突入したとき、デジャブが起こるのです。何と、ミクロの世界の中に宇宙が広がっている。暗闇の中に、星々がきらめく「あの世界」が超ミクロの世界にも存在しているのです。これを目の当たりにしたとき、私は何とも言えない感動を覚えました。このデジャブ。そしてマクロとミクロの時間旅行。あなたも一度は体感してみたくありませんか?百聞は一見に如かず。それではあなたにも、この奇跡の世界を体感してもらいましょう。あなたの目で、その奇跡を確かめてみてください。■「POWERS OF TEN」・字幕版:https://www.youtube.com/watch?v=dXat7KJfauw・日本語吹き替え版:https://www.youtube.com/watch?v=9zHQV1dXGNM(携帯でメールを受信している場合は、このメールをパソコン等のアドレスに転送して見てください。)この映像を観たあと、私が高校生のころに一度考えた2つの無垢な問いが、頭に浮かんできました。・宇宙の外側には一体何があるんだろう?・原子核をさらにさらに拡大していくと一体どんな世界が広がっているのだろう?いつか、科学者たち、技術者たちがその映像を私たちに見せてくれるかもしれません。この「POWERS OF TEN」が、あなたやお子さんの知的探求のきっかけになれば幸いです。今日も、最後まで読んでくれたあなたに感謝します。ありがとうございました。坂本 七郎より