本谷有希子著「異類婚姻譚」を読みました。
第154回平成27年下半期芥川賞受賞作品の「異類婚姻譚」を文藝春秋3月特別号で読みました。文藝春秋で読むと1冊で2作品読めて芥川賞の選評も読めるのでお得だと思います。この話は結婚していくうちに旦那の顔が自分に似てきて顔が変化していくように見えて、家事を旦那がするようになるとますます自分に似てきて、最後に無理して人の形でなくてもいいから好きな形にな りなさいというと山芍薬になってしまうという不思議な話です。夫婦が一緒にいるとお互いに似てくるといいますが、旦那さんが自分に似てくるのを薄気味悪く思い、毎日一緒にいても本当は何になりたいと思っているのかはわからないもので、山芍薬になりたかったとは驚き、自分ひとりになって自分の体をとりもどすと自分だけの身体があった事に感心するというよくわからない話です。それと同時に自分の猫友達や弟とその交際相手との関係も合わせて書かれていて、夫婦だからといって皆が似てくるわけでもない事も言っています。猫友達の猫が祖相して困り山に捨てに行く話も出てきて、猫がそんなに祖相するものなのかなと疑問に思ったりしました。結局猫は山に捨てられてしまい、山芍薬になった旦那さんも山に帰されてしまいました。最後には主人公の女性は自分を取り戻すことが出来て、花になって捨てられた旦那も山でいきいきと誇らしげに花を咲かせていてお互いに良かったように思います。あまり夫婦同士が似ても良くないのかなと思いました。何だかよくわからない話ですが、面白い発想だと思いました。自分が旦那に似て、旦那が自分に似て一体自分は何なのかどうなってしまうのかわからないというのは極端な話ですが、多少は一緒に住んでいると感じることがあるのかもしれません。私の場合、結婚して20年以上経っても見た目も性格も好きな物も全く違うように思います。選評で登場人物が日本人なのにカタガナの名前なのが違和感があるとの指摘がありましたが、確かにその点も普通の小説とは違うと思いました。ちょっと変わった話ですが、興味がある方は読んでみてください。又吉さんや羽田さんほど今度の2人は騒がれなかったのですが、又違った良さがあると思います。