卒業(1967) Big Short (2015)
なんの共通点も無い2つの映画を見ました。私がピアノを習い始めたのは10歳ぐらいかな?練習曲など以外で一番はじめに習った一曲はサイモンとガーファンクルの Sound of Silenceでした。音楽人生の第一歩とも言える曲ですが、この曲が主題歌となった「卒業」は一度も見た事がありませんでした。さまざまな映画特集番組なんかで本当によく出て来る、ダスティン・ホフマンが叫ぶラストシーンしか知りませんでしたね。一応映画好きを自称するなら見ておかねばと思って実は数日前に見たのですが、最初の30分で寝ちゃったんです(笑)。1967年つったらヒッピーな時代だとばかり思ってたのですが、この映画の登場人物たちは中流階級で全体的に落ち着いたトーンでした(だから眠かったんだね)。この時代、特に中流階級で中年既婚女性が若い男を誘惑するっていうのはショッキングだったのかなあ。今ではエネルギーのあり余った一部の熟女達は自分達をクーガーと呼び、若い男と遊ぶことを自分の魅力の一部としてるような風潮がありますが…。前半はそんな感じで、後半は彼女の娘エレインに惚れこんだ男がストーカーする話になります(大丈夫かこんな感想書いて 笑)エレインも男と母の関係を知っていながら、自分にぞっこんの男にまんざらでもない様子。あーずるい女(笑)。でも自分の母と寝た事ある男と一緒になるなんて無理無理無理無理無理無理無理!ちなみに浮気女ミセス・ロビンソンがずーっと倍賞美津子に見えていました、私は。でもこの母娘のキャスティング、絶妙!本当に似てるもん。...と思って今ググったんですけど、ミセス・ロビンソン役のアン・バンクロフトは当時36歳だったん!?老けてる~~~!!!!娘エレイン役のキャサリン・ロスは大学生の役なのに27歳だったんですね。親子なのに実際は9歳しか違わない。なんかとても深い意味のある映画なんだろうけど、私にはわからんかったなあ。ダスティン・ホフマンの無表情が怖かった...次に見たのはBig Short (2015)。短い説明文では、天才たちがシステムの落とし穴を利用して一獲千金を得る、ギャンブル的な映画かな?と思って見たのですが、最初の10分で経済のドキュメンタリー風の映画だとわかり、はっきり言って私経済ぜんぜん解らないのでほぼチンプンカンブン、見るの止めようかなと思ったのですが、そんな私を見透かしたように突然「ではこの言葉の意味を知らないという(アホの)あなたへ。セレーナ・ゴメスが説明します」と軽い感じのセレブが出てきてわかりやすく解説してくれました。テーマは2007年におこった住宅バブル崩壊。その2年も前、まだ世間的に不動産市場は最も安定しているというのが定説だった時期に、サブプライム・ローンのひずみとバブルの崩壊を見込んだ数人の投資家が、その必ずやってくる「崩壊」に投資をするという話。お恥ずかしい話、その時の経済崩壊はもちろん知っていましたが、それが何を意味するのか全然わかってなかった私。貧困層にいると火山が爆発しても殆どなんにも感じないの(笑)。1929年の大恐慌はなんとなく「みんな貧乏になったんね」っていう印象だけど、2007年の崩壊の時はニュースで大騒ぎしててもギグはあったし、みんな来てくれてたし。物価が上がったりしたのかなあ。覚えてないなあ。ただそのまた数年前に不動産ビジネスしてたブライアンの姉ちゃんが今ならだれでもローンがおりるから、家買っときなさいって言ってた。もちろん面倒くさがりな私達は行動に移しませんでしたが。経済知識ほぼゼロの私でも今主流の俳優陣のリアルな演技で入りこめました。リアルすぎて主人公クラスの人がクリスチャン・ベールだったりブラピがいたりしたのにしばらく気づかなかった(笑)。もう一人「見た事あんなー」と気になってた俳優が2回も見たアメリカン・ホラー・ストーリーの兄ちゃんだった事も。全然違うキャラだった。見る側は経済崩壊は過去の事実なので、もちろん投資家たちの予測が当たって大儲けする事を知っているわけです。でもその運命の日の前にもいろいろあって、そこがこの物語のネックでもあります。もちろん最初は皆投資に反対。バブルははじけるどころかどんどん膨らみ、出資者たちが資金を返せと騒ぐ。銀行の汚いやりくちや甘い言葉に騙されて家を買い、後ににっちもさっちもいかなくなった現実の人々。若い二人の投資家が資金を得て喜んでいると、彼等の師匠のような男がたしなめます。「君たちはアメリカの崩壊に賭けているんだ。(中略)雇用率が1%下がると40,000が死ぬんだ。忘れるな」また銀行や政府の大胆な陰謀をまざまざと見せつけられた中年の投資家は初めて自分の無力さに気づき、うちのめされます。(荒井注みたいなんだけど、いいねこの俳優)。投資家達はすごく苦労したので最後はやったー、$$$, ざまーみろ、ってなるのかと思ったけど、やっぱり仲間(国)を売って手に入れた成功は蜜の味とはいかないようです。最後は「この膨大な経済崩壊のしりぬぐいは税金で償われ、銀行のCEO達には莫大なボーナスが支給され(この話覚えてる!)、結局崩壊は移民と貧困層のせいにされた」と締めくくられます。そろそろ「あたしにゃ関係ない」というメンタリティを捨てなければ。