建物の地震対策、と下敷きになった場合について
住宅の地震対策と言うと、まずは「破壊されない・倒壊しない」ことが最重要となります。そのために、近年は木造でも重要な場所には金物を多用し、最近は壁に硬いゴムをダンパーの形で組み込んで、揺れエネルギーを熱に変換して逃がす仕組みなども出ています。今後ますます「倒れない」技術は進歩していくでしょう。しかし、形あるものには全て限界、そして劣化がある訳で、「絶対に倒れない」なんてことはありません。さて、各社各様の「地震対策」、「倒れた場合の安全」は考慮されているんでしょうか?阪神大震災の日、私が住んでいた灘区の古い古い木造アパートはあっさり倒壊。暫く瓦礫の下に埋まって「火が出たぞー」なんて周囲の叫び声をとろとろ血を流しながら悶々と聞いていた訳ですが、木造の古い家って、軽いし、連結も甘いので、ある程度人数が揃えば、割と容易に人力で「掘れる」んです。私も「掘って」貰って、その後は周囲で埋まった人を掘りました。ところが重量のある「ごつい」構造は、人力ではどうしようもありません。知人が3階に住んでいたマンションは2階部分が完全に潰れ、誰も、出ることができませんでした。地震の直後は周囲の人間の人力以外に救助手段はありません。声が聞こえても、何も出来ない状況があります。もちろん倒壊し難いことが第一ですが、それを優先させた上でなお、「もしも」の際には人力で部材をバラせる、またはより空間を大きく作る形で壊れる、という設計を工夫することも現実的な考えとして、大切ではないか、と思いつつ、また10日後に1月17日がやって来ます。