ありがとう、ライアンエアー。
今回、ローコストエアのライアンエアー(RYAN AIR)で、マドリッドからマルセイユに飛んだ。いや~すごかった!VUELINGやCLICK AIR, EASYJETなど、今までいろんな格安飛行機に乗ったけど、ライアンエアーが今のところ、ワーストナンバーワン! まず、飛行機は往復TAX込みで、今回の場合は101ユーロ(日にちやフライトによって違う)。行きの飛行機代はなんと99センチモで、それにTAXと、荷物代10ユーロ×往復+空港チェックイン費(なんだそれ?!)10ユーロが加算される。 メールが送られてきて、3ページに渡り荷物のことについてはさんざん書いてあるのに、なんでかマドリッドのターミナルはどこなのかは一言も書いてない(ブエリングかクリックもそうだった)。手荷物は10KGまでで1個のみ、大きさなども細かく指定。飛行機に乗せられる荷物は15KGまでと書いてある。15KG!!!これを考えたのは絶対に男性よね!女性は服やくつ、化粧品にドライヤーがあるので(その上ショッピングも好きだし♪)、どう考えても15KGなんか無理だがな。他の格安飛行機は20KGまでOK。で、オーバーすると超過料金を取られる。でもそれも人と場所、運による。ちょっとぐらいならOKな時もあるし、そうでもない時もある。 チェックインの時、すでに11KGあった。スールケースの重さが4,4KGあるから、中身は約6,5KG。私にしてはミニマムにがんばった。「ちなみにもしオーバーした時は、1KGにつきいくらなの?」「キンセ エウロ。」と係の女性は言った。「ケ?」「キンセ。」 一瞬なんだっけ、キンセって?と思う・・キンセ、キンセってさあ・・・15ユーロじゃん!あのブエリングでさえ1KGにつき8ユーロだった(と思う)。それも20KGまでは無料。それがなんと15ユーロ!そんなことどっかに書いてあったっけな? まあいい。あと4KGまでは増えても大丈夫、と気を取り直す。 搭乗口に40分前に来いと言うので、行ってみると長蛇の列ができていた。それもそのはず、この飛行機、座席自由なのだ。で、例によってスペイン人は列が作れないので、ややぐだぐだぎみ。 前に並んでるスペイン人が、「こっちのほうがすいてるから、ここに並びましょ。」と言うので彼女についていったら、それはプライオリティカードを持った、優先搭乗のラインだった!そういや、何ユーロかで優先的に乗れるみたいなことを書いてあったけど、あれがこれだったのか・・。こんなことならあのカード買っとくんだった、と思いつつ、隣の普通の人のラインになんとなく前からここにいた的な感じ&スペイン語はわからない外国人のふりで、ぐだぐだと列にまぎれこむ。そこはあまり細かく言わないスペイン人好き☆振り返ると後ろには20メートルくらいの列ができていた。 このちょっとしたズル(ごめんなさい)のおかげで、私は15分くらいしか待たなくてよかった。でもね、なんと搭乗口で一人ずつの荷物チェックがあったのだ!本気でバッグを1個にしろと言っている。女性の小さいバッグも手荷物2個とみなされ、1個にしないなら金払えと言っている。そのため大きなバッグを開けて小さなバッグを入れてる人や、お金払わされてる人、空港の中で買ったものが入ってるビニール袋すらダメで、搭乗口はてんやわんや。とにかく1個にしろの一点張りで、そんなにどうしても1個にしないといけないのなら、チェックインの時に言ってくれればいいのに、と思う。 その上、バッグの大きさをはかっているじゃないの!よく空港にある、持ち込み手荷物はこれに入る大きさですよ、という鉄製の入れ物、あれに手荷物がおさまっているかどうか、全員入れさせられるのだ!!!!マジで?!キリスト教徒の踏み絵とか、抜き打ち検査とかいろんな言葉が頭に浮かぶ。隠れキリシタン? フランス人のムッシュなんか、係の人に、「やめてください、無理ですセニョール。」と止められたにもかかわらず、「絶対に入る!」と、無理やりバンバンたたいてバッグを鉄柵に入れていた!ダメかと思ったけど、結局入った。「ほらね!」とムッシュは勝ち誇ったような顔で去っていった。さすがフランス人。 このバッグを一個にして大きさをはかる作業を搭乗口でやっているので、全然飛行機が出発できない(さすがに乗せないってことはなかった)。早く乗れた人も、結局全員が乗り込むまで出発できない。フライトアテンダントの人も、「あと何人なの?」としきりに聞いている。まったくこっちが聞きたいよ。 結局全員が乗り込むまで1時間かかった。1時間半のフライトに1時間の搭乗待ちって・・。この飛行機に乗るには、精神統一が必要!!!その間、機内では、「RYAN AIRに乗ると、いろんなところに安く行けるよ~♪」と男性の英語のアナウンステープがずっと流れている。余計にイラつく。こんなことなら、最初から30ユーロくらい多くとってもらって、20KG MAXにしてもらい、座席指定もありで、持ち込み荷物も2個までにしてもらうほうがいい。人間、最初から取られる分には仕方ないかと思っても、あとから追加料金として取られるのは、なんか損したような気がして払いたくない。しかも私の場合、マドリッドに行くまでの電車代にこの飛行機代に近い値段を払ってるし。機内に乗ってからも、バッグの置き方についてしつこく言われた。燃料費に関係あるのかしら。 マルセイユに着いた時は、精神的にひどく疲れていた。私はもう少しで「ライアンエアーバッグ」(鉄柵ぴったりのバッグ)なるものを開発しそうだった。 プロヴァンスにいる間、ずっと帰りの重量のことが気になっていた。フランスには、かわいいものや特においしい食べ物がたくさんある。それなのに、あと4KGって無理でしょうよ・・。 初めのうちは、何グラム買ったか、計算していた。でもそれもリル・シュル・ラ・ソルグのマーケットに行くまで。布やらBIOのラベンダーやら、BIOの化粧品店を発見し、買い込んだ段階で「チャージするならしろよ、ライアンエアー(嵐に立ち向かう図)!」という気分になっていた。 でもライアンエアのおかげで、「本当に欲しいものだけを買う」ことができた。買物の前に重量をはかり、「これは本当に家に持って帰りたいか?」「1KG15ユーロの価値があるかどうか?」自問する。これでずいぶん買物を自制できた(笑)。 そしてライアンエアのおかげで、いろんな工夫を思いついた。私はBIOが大好きなので、どうしてもBIOのコンフィチュール(ジャム)を持って帰りたかった。それで、何回も買おうとしたものの、中身が320グラム+ガラスのビンの重さがあって、どうしても買う勇気がでない。で、毎日のようにコンフィチュールを見ているうちに、「これは作れるじゃん!」とはたと思いついた。そういや前にも作ったことあったんだった。なんでジャムは「買うものだ」と思ってしまったんだろう?「これはこれでよし、なきゃないでありの続きは「なきゃないで作る」というのを忘れていた! 帰りの日、エクス・アン・プロヴァンスのマーケットで、BIOのレモンとオレンジを買った。BIOのフルーツや野菜はスペインではまず買えないし、スペインのジャムは甘くて口に合わない。結局、コンフィチュール2個と同じ重さになってしまったのは予想外だったが、もういいや!とバッグに入れた。手荷物のほうにきっちりと重い布などを詰め込んだ。これでバッグは大丈夫、あの鉄柵に入る。 マルセイユの空港でチェックインした時17KGあった。でも係の人がいい人で、「次からは気をつけてくださいね。」と言ってくれて、チャージはされなかった。念のため、郵便で送ることも考えたけれど、6KGまでで、30ユーロも取られるのでやめた。ヨーロッパにいるとせこくなる。 そして覚悟していた手荷物検査はなく、今度はバッグのことは一切言われなかった。いったいなんなんだ、ライアンエアー。 でもライアンエアーのおかげで、コンフィチュール作りという新しい趣味?ができた。BIOのレモンピールも作った。人間、なんでも満たされていると、新しいアイディアは出てこないものだ。ちょっと不便&売ってないくらいが実は創造的な人生を送るにはちょうどいいのかもしれない。買えなきゃ買えないであきらめるしね(笑)。 ありがとう、ライアンエアー。