奏(かなで)
君は君の場所で私は私の場所でピアノを奏でるように遠く離れた君と私が画面の向こうとこちらで想いを伝えあう今日あったことや食べたものの話見たもののこととか考えたこと笑いあったり 少し困ったり時に怒ったり会えない切なさ遠い距離をタイプされたたくさんの文字を集めて少しでも距離を埋めるように離れていてもいつだって心はそばにいて抱き締めあっていると言うのに体は遠くはなれてふたつのままだいつか同じひとつのピアノの前にふたりで向かって笑ったり 難しい顔をしたりしながら同じ時間のなかで一つの曲をつなげてゆく生きてゆく時間の連弾ときには歓びではねるようにときには激しく鍵(キィ)を叩いていろんな音色を響かせながらゆっくりと確かめあうようにいつか同じひとつの曲を奏でてゆくそんな時が過ごせればいいと今は距離を隔てたディスプレイの前それぞれの場所でそれぞれの曲を奏でる遠く離れたそれぞれの空の下で ネット詩誌 MY DEAR新作紹介掲載作品主催者・島様に感謝そして今日、この世に生を受けた君に