甘さ満てる夕(ゆうべ)
肌寒い夕方 白いカップに夕焼け色の紅茶を注いでさらさらと 甘い粒を放つ一つ一つ乾いた光る透明の粒はすべてが君への思いでさまざまな角度から光を浴びながら彩りを変えるプリズム想いを含んで 甘さに満ちた私という夕焼け色の液体を君と言うスプーンがかき混ぜるほんの少し眉根を寄せて痛みに耐える表情で唇を噛みながら首をいっぱいに反らせてカップとスプーンがあたる音をちりちりと立てるしのび鳴る鈴の音のように何度も君の名を呼ぶ私と言う名の飲み物きっとこんなに甘い粒で満たしてかき混ぜても見た目には何もかわらずその液体を味わうことのない者は変化に気がつかないけれど私を掴みあげて一滴も残すまいと奪うように口にする君だけが知る舌の上でころがる甘さ君が愛する味私は君のためだけに在る夕焼け色の甘い飲み物 ネット詩誌 MY DEAR新作紹介掲載作品主催者・島様に感謝