チケット
09年、札幌で初めて導入された婚活シート。2試合で62組がカップル成立し、以降、他球場でも行われるような人気企画となった。同じく09年、千葉では解説者付きシートが発売。ロッテOBの平井光親氏&武藤一邦氏が、バックネット裏で観客に解説した。05年、仙台の足湯シートも面白い企画だった。当初、外野席に設ける予定だったのが、球場外でのモニター観戦になってしまったのが残念。――近年、独自のアイデアを上乗せすることで、集客を伸ばそうという試みが増えてきている。そんな中で、おそらく歴史上初の珍事が発生した。1つの企画について、こんなにも賛否両論が巻き起こすとは。ゴールデンウィーク中、DeNAが本拠地6連戦で打ち出した集客作戦の目玉――。“全額返金!?アツいぜ!チケット”。1枚4000円。試合の満足度によって、ファンはチケット料金を返金希望できる。負けた場合は全額まで、勝った場合は半額まで。まさに「金返せ!」というヤジ通り!今季も最下位を走るチームならではのアイデア企画だ。前代未聞のチケットは、話題殺到。売れ行きは好調だった。しかし、前代未聞だけに落とし穴があった。期間中、DeNAは3勝1敗1分(中止1)と、ヤクルト&中日相手に大健闘を見せたのだが……。なんと、250枚売れたチケットのうち、213枚までもが返金を希望してきたのだ。返金希望率、実に85.2%!最終9回裏、ラミレスと中村の連続ソロで、奇跡的に追い付き、引き分けに持ち込んだ4日も、50人中48人が返金希望。12対1と圧勝した5日も、50人中28人が返金希望。そのうちの多くが上限2000円を払い戻させたという。最高の結果を見せても「金返せ!」となっては、選手のモチベーションを下げるだけということで、中畑監督は「二度とやらないで」と訴えた。こうして、各方面でこのチケットは物議を醸すように。「勝っても満足しないファンってどうなの?」「勝ったら返金不可にすればよかったのに」「ある意味、狙い通り集客と話題作りはできた」などなどなどなど。個人的には、とても有意義だったと思う。最大の根拠は、返金理由を書くためのアンケート。ファンは自分の思いを球団に直接届けることができ、球団はファンの生の声を知ることができた。因みに、ファンの意志が反映されるチケットというのは、これが初めてではない。但し、漫画の中でだが。もう7年も前のことになる。『ソムリエ』や『LIAR GAME』の作者として知られる甲斐谷忍が、『ONE OUTS』という野球漫画の中で、あるチケットを登場させた。その特徴は……。○ 価格は通常の1.5倍。○ 主人公のチームが負けた場合、全額返金。○ チケットの端に「MVPチケット」という 投票用紙を添付してある。○ 投票用紙は5枚。チームが勝利した場合、 勝利に貢献したと思う選手を観客が記名する。○ 試合終了後に集められたMVPチケットを集計し、 換金して選手にギャラとして支払われる。○ MVPチケットの価格は価格値上げ分が割り当て。 従来2000円だったチケットは、 1.5倍の1000円値上げされるため、 MVPチケットの値段は1枚につき200円となる。○ なお、年俸制は廃止。 ギャラの全てはMVPチケットで支払われる。なんと、観客が選手のギャラを決める!正直、凄いアイデアである。作者としても余程の妙案だったのか、『LIAR GAME』でも再登場させたほど。但し、今回の全額返金チケットよりも更にファンの在り方を問われるかもしれないな。最後に――。今回、DeNAは企画初日に大敗を喫したわけだが、そのアンケートの中身が妙に共感できた。「昨年から同じ打者に打たれ過ぎ」とか、「打線が繋がらない」とか「守備が拙い」とか、「見ていてつまらない」とかとか。今、オリックスファンも同じようなアンケートが書けます。Please crick here !!