古時計は静かに時を刻んでいた
衝撃的な酒に出会ってしまいました。古時計・純米大古酒(貴醸酒)300ml◆蔵元:加茂川酒造 山形県西置賜郡白鷹町鮎貝◆原料米:さわのはな ◆精米歩合:65%◆日本酒度:-35 ◆酸度:3.8 ◆アミノ酸度:5.7 ◆アルコール分:17.1%◆参考価格:300ml/1,050円 500ml/1,750円今まで私のブログに加茂川酒造の商品は、一切登場した事がありません。もちろん錦本店では一度も取り扱った事はありません。それにお隣の県なのに、加茂川酒造の存在そのものをつい最近まで知らなかったくらいなんです。それがちょっとした事情で、と言うか人のご縁でこの酒を口に出来る機会に恵まれました。ところで貴醸酒にして大古酒ったって、あんた。これは5年や10年熟成なんて生易しいもんじゃなくて、1972年・1973年・1974年に醸造された貴醸酒のブレンドなんです。いいですかー、少なくとも36年ほど熟成させた純米の貴醸酒なんですよー。こりゃ、すげー話しだと思いませんか。その当時の私は子供ですから当然知る由もありませんが、三増酒が幅を利かせていた時代なはずので、貴醸酒どころか純米酒ですら世間一般的には認知されていなかっただろうと思われます。その時代に純米酒の貴醸酒を造っていたんだからそれだけでもビックリですが、きっと高価なものだったろうし当然売れる訳も無かったでしょう。売れなかったのは蔵元にとっては不幸な話しですが、36年後の呑み手である私達にしてみればこれは僥倖です。ちなみに発売当時から数年後に、国税局の指導でスペックは貴醸酒なのに大古酒の表示になったんだそうです。見て下さい。画像の通り、色は醤油のようにすんげー濃いです。カラメルや紹興酒を想わせる香り。爽やかな甘みと活き活きとした酸が見事に融合して、球体を舌の上で転がしているような艶やかさ。ビターな後味が全体を引き締め、感動的な味わいです。36年と言う長い年月が醸し出した深い味わいは、現代の科学や醸造技術を持ってしても再現する事は不可能でしょう。甘口タイプですが厚みと凝縮感のある味わいは、食後酒はもちろん和洋中を問わず幅広く料理に合わせられる許容範囲の広さがあります。ワイン好きの方ならシェリー感覚で料理に合わせたり、ナイトキャップ(寝酒)として楽しめるでしょう。甘口のシェリーやポートワインをヴァニラアイスやメロンにかける食べ方がありますが、同じようにこの貴醸酒でも楽しむ事が出来ます。36年熟成だと「まだ呑めるの?」と不安になるかも知れませんが、「まだ呑めます。」のレベルを遥かに超えたポテンシャルを持っていて、「まだまだ熟成させられます。」とはっきり言える躍動感があります。この酒と同じ生まれ年である鳥心の小野寺君にペロッと一口だけ呑んでもらいましたが、「うっ、美味いっす。これが300mlで5,000円までだったら絶対に買います。」と大絶賛。恍惚とした目をして、大きなノッポの古時計のようになってました(笑)。そして参考価格を聞いて更にビックリ仰天。と言う訳で小野寺君はケース買い決定でーす。来週入荷予定ですが、販売する私の立場から見ても確かに5,000円の価値は有ると思うので、このお値段は胸を張って破格と断言させていただまきす。それはカクカクシカジカの理由が有っての事なんですが、書くと長くなるので詳しい事情は店頭にてお話ししましょう。蔵の中で静かに時を刻んでいた古時計。感謝と尊敬の念を持って、非力ながらも何とか表舞台に立たせてあげたいと思っています。そしてこれからは呑み手の思い出の中で、時を刻んでもらいましょう。人気ブログランキングへ。こちらもポチっと宜しくお願いします。2011年7月30日OPEN!サンセールのお店「酒のかわしま」NET-SHOP日本酒・ワインのお買い物はコチラ