熟年離婚の増加に思う
先般発表になった厚生労働省の人口動態統計2002年版によれば、離婚件数は28万9838組で、前年より3,927組も増加し、離婚率(人口1000人に対し)は2.30、前年の2.27を上回り、明治32年以降最高となったという。結婚が42秒に1組なのに対して、離婚は1分49秒に1組という計算になる。なかでも深刻なのは、結婚10年未満の離婚が対前年比で減っているのに比べ、10年~35年以上の世代でいずれも増加しているということである。かりに25歳で結婚したとして、結婚期間が20年なら45歳、35年では60歳ということになる。35年以上は私も当てはまる。よくいわれている夫の定年を待って、離婚を切り出す妻が多いということもまんざらウソではなさそうだ。ここまで我慢してきたが、もうそれも限度ということでの結論らしい。でも、ここまできたなら今さら離婚なんかしなくても、と逆のことを思うのは男も身勝手な考えか?しかし、安定した妻の座を年齢を重ねてから捨てるというのは、やはりよくよくの事情があってのことなのであろうから、男の立場でよく反省してみる必要がありそうだ。ここで、いかに離婚が時代とともに増えてきているかという如実な統計があった。≪離婚件数の推移≫ 結婚期間 20~25年 25~30年 30~35年 35年以上1975(昭和50年) 4,050 1,894 566 3001985(昭和60年) 12,706 4,827 1,793 1,1091995(平成 7年) 17,847 8,684 3,506 1,8402002(平成14年) 20,417 13,531 6,969 4,619――――――――――――――――――――――――――――――――27年間の増加率 約5倍 約7倍 約12倍 約15倍結婚期間が長くなるに従い離婚の増加率が高いことがよくわかる。「大事なときに夫がさっぱり助けてくれなかった」「病気で大変な時でも、夫は私に対し無関心だった」「これまでの夫婦生活のなかで、心ない言葉に傷ついた」というような夫に対する失望、不信感などの積み重で、もはや夫は当てに出来ないという関係になってしまったことがうかがえる。ところが、男性の側はどうかといえば、元気で若いときは、妻のことをさっぱりかえりみずただ働き続けたり、好き勝手に遊んだりしていたことが多かった。でも中年以降、年齢を重ねるにつれ、だんだん妻を頼りにするようになる。そして定年でこれから夫婦でゆっくり暮らしていこうと思った矢先、妻の心は前述のような理由ですでに離れていたとしたら、これは大きなショックである。このような現象を男は突然気がつき、妻はじっくりとその思いを育てきた結果だとしたら、なんとも悲惨な結末としか言い様がない。もっと妻を大切にしなくてはいけない!若かった頃励んだ精力の粋を、たとえ年齢を重ねたとはいえ、体力気力の許す限り、精一杯妻に注いであげる努力が必要なのではなかろうか。ふーっとため息が出るようでは、先が危ないですよ!