代用食の時代
太平洋戦争末期と戦後１～２年間は深刻な食糧難に見舞われた。戦争中は「欲しがりません、勝つまでは」のスローガンのもと、なんでも我慢させられた。お米は軍部優先、そのため庶民にはお米は僅かしか回ってこなかった。 現在のどこかの国のようだ。 主食にあたるものはすべて配給制だった。いつの時代でも、どこの国でもそうだと思うが、アンダーグラウンドの市場があってお金さえ出せば何でも手に入ったのだが。お米は「闇米（やみごめ）」と言った。しかし我が家のような貧乏人には手が届かなかったのであろう、また母は武士の娘、曲がったことは嫌いだった。 闇で買ったという話はついぞ聞いたことはなかった。代用食とはその名の通り、お米に代わる食料だ。 これも配給制。・大麦－お米に混ぜて炊く・かぼちゃ－お米に混ぜて炊く またはご飯代わりに食べる・さつまいも－お米に混ぜて炊く またはご飯代わりに食べる・じゃがいも－そのまま茹でて食べる・大豆－炒って食べたり（よく胃をこわした）、生をハンマーで叩いてつぶし、お米に混ぜて炊く以上はまだよい方。・大豆油の絞りかす－これはお米に混ぜて分量を増やす。 ぼそぼそでなんとも美味くない・さつまいもの粉－水で溶き、丸めて蒸しお団子にする。 これはかなりいけた・とうもろこしの粉（ほうまい粉ともいう）－水で溶き、塩味をつけて薄く延ばしフライパンで焼く。 使った油が配給のやし油だったせいか、ひつこい味で美味くなかった・どんぐりの粉－こればかりは渋くてまずくて食べられた代物ではなかった。 あの食糧難の時代にあっても！・パパイヤの皮の乾燥したもの－かんぴょうの代用として一度だけ配給になった。 そのまま食べると甘くておいしかった。 おやつ代わりに食べてしまった。なにしろ砂糖などは全く入手できない時代だった。現在のような飽食の時代にあってはとても考えられないことである。この状態は戦後１～２年間は続いたと思う。戦後嬉しかったのは米軍からの放出品で、「乾燥鶏卵（黄身の粉末か）」「乾燥りんご（フレーク状）」が配給になった。 おいしかった。それから「レイション」といって米軍の兵士が食べる野戦携帯食の配給も２,３回あった。 大抵コンビーフの缶詰とチーズ、チョコレート、チューインガムなどが入っていた。 何が入っているのか毎回開けるのが楽しみだった。
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