葛飾北斎の墓
私は東京都の寺町である「谷中」で生まれ育った。とにかく「寺・墓」の多い地域である。江戸時代から続く寺町なので、江戸の有名人が結構近くに眠っていたりする。谷中霊園・寛永寺には超有名どころでは徳川の歴代将軍が眠っているし、マイナーなところではオッペケペー節の「川上音二郎」なんかも葬られている。自分が幼少だったころはそんなことに関心があるはずも無く、墓地を遊び場として縦横無尽に暴れていた。多分墓石の二つや三つは破壊していたかもしれない。だれが埋葬されているなんてまったく興味がなかった。しかし高校生になり、日本史を少し詳しく勉強し始めたころ、意外にも江戸や明治の名士が近くに眠っていることに気づき、結構感動したものだ。「江戸三舟」の一人でもあり、そのなかでももっともマイナーな「高橋泥舟」の墓があったりするのも微笑ましい。さて、私は今は実家を離れ、浅草の隅田川対面に住み暮らしている。そんな訳で浅草も自分のテリトリーの内。浅草から少し西に行くと「元浅草」という地域になる。ここもわりと寺が多い。そしてそこそこ有名人が眠っていたりする。そしてそんな中、ある寺にあの富嶽三十六景で有名な「葛飾北斎」の墓もある。意外と寺はこじんまりとしている。そしてこれが北斎の墓だ。なんかちょっと拍子抜けの感じだ。でもまあ、北斎の墓が浅草周辺にあることは嬉しい。