剣客商売
私は池波正太郎が好きである。このブログで何回か書いているが、池波正太郎の小説はかなりの数を読んでいる。池波正太郎の三大長編時代物といえば、「鬼平犯科帳」「仕掛人梅安」そして「剣客商売」である。世間一般的に一番人気が高いのは「鬼平犯科帳」だろう。この三作はいずれも映像化されている。しかしTVドラマとしては「鬼平犯科帳」がやはり一番知名度があるのだろうなあ。「仕掛人梅安」はいわゆる「必殺シリーズ」につながってくるので、こちらも人気が高い。そんななか、やはり一般的知名度という面では「剣客商売」はちょっと他の2作に比べれば低い感じがする。以前には藤田まこと主演でTVドラマも放送されていた。そのときは観ていなかったのだが、シリーズ化されるぐらいなのでそこそこ人気はあったのだろう。でもやはり他の2作には知名度は及ばない。藤田まことも亡くなってしまったので、なおさらである。でも、私が一番好きなのは「剣客商売」なのだ。タイトルからもわかるように、他の2作品と比べて「剣士」としての話が多いのがよいのだ。そしてメインの登場人物が「秋山小兵衛」「秋山大治郎」の親子。そしてやがて大治郎の妻となる、当時の為政者でもある田沼意次の娘「佐々木三冬」。小兵衛の若妻となる「おはる」。この4人のつむぎだすストーリーが面白いのだ。なので今でも時折、文庫本を引っ張り出して読んでいるのだ。さて、その剣客商売が久しぶりにTVドラマとなって復活してきた。藤田まこと版の後継である。実はこのTVドラマが本日フジテレビ系で放映されることはまったく知らなかった。仕事から帰宅し、「今日は日テレでポニョだなあ」なんて思いながら新聞のラテ欄を見ていたら、21時からフジ系で「剣客商売」が2時間ドラマで放送されることを発見してしまったのだ。もうすでに放送開始時刻は過ぎていたが、さっそくそちらを見ることにした。で・・・・面白い!!いいなあ、しっかりと作られている。いいドラマだ。内容は文庫版「剣客商売」に収録されている「女武芸者」「御老中毒殺」の2作品をミックスさせたものだ。もちろんTVならではの演出もあるが、わりと原作に忠実である。面白い^^やはりストーリーが面白ければよいドラマになるのだ。やはり小兵衛を演じる主演の「北大路欣也」の演技はいいなあ。文句の付け所がないぐらいだ。まさに大御所である。そして意外に良かったのが三冬を演じる「杏」である。男装の女剣士という役どころがぴったり合っている。こういった設定だと、大抵のドラマではもっと“色っぽい”女優か、人気のアイドルをキャスティングするのだが、かえって「杏」のキャスティングに新鮮さを覚えた。あっ、別に「杏」が色っぽくないとか言ってるわけではないですよ^^杏ファンの方、お間違えの無いように^^大治郎役の「斎藤工」も悪くない。大治郎の“朴念仁”的なところをうまく演じている。役柄的に主役級なので本来ならもっと知名度のある役者を据えるべきなのだろうが、北大路欣也を強く打ち出すというという方針なら、このキャスティングもよいのだろう。北大路欣也と比べると、杏と斎藤工の“殺陣”はイマイチだが、そこは許してあげたい。個人的に一番はまり役だと思ったのが、おはる役の「貫地谷しほり」。これは見事なキャスティングだ。この役は美人過ぎではダメだし、そして愛嬌のあるところが絶対に必要なのだ。まさにドンピシャのキャスティングだと思う。キャスティングは良いのだが、原作ファンとしてはちょっと気になるところがある。これは役者自身に問題があるわけではないのだが。小兵衛はその名のとおり“小男”、大治郎は“大男”という設定なのだが、どう見ても北大路欣也は小男に見えないし、斎藤工も大男に見えない。そこがちょっと不満といえば不満なのだが、原作とドラマは別物と考えればそれもアリである^^一つだけ大きな不満を挙げると、今後の展開では結構重要な役どころとなる「飯田粂太郎」。原作では少年なのだが、このドラマでは全然少年ではない(笑)別に役者が悪いのではないが^^という訳で、このシリーズはしっかりと見たいなあ。そして原作も読み返したくなって来た^^日曜は一気に読破しようかなあ^^ではでは。