映画レビュー:「夢」 by 黒澤監督とスピルバーグ監督
黒澤監督とスピルバーグ監督が作った映画「夢」を観た。黒澤監督が見た夢をオムニバス形式(10話)の映画にしただけあって、ちょっと幻想的な不思議な映画だった。最初の2話は、桃の節句の桃の精が出てきたりする日本の雅な映画。今、日本の伝統文化を映画にするのなら、親日派のアメリカ人が作ったほうが、視点が新鮮だし、日本文化への思い入れも強くて、面白いんじゃないかな・・・後半になって、原発事故の話が出てくる。富士山が爆発して麓の原発が爆発し、放射能で汚染される話だった。人間に角が生えて鬼になり、植物が巨大化する。(←この辺はゴジラ誕生の発想と同じ)その時の台詞が、「私達、原発は安全だと教わってきた。 でも自然災害でダメになるなんて、 そんな話、聞いてない、聞いてないよぉ・・・」これ、そのまま福島の原発に当てはまる・・・空中を漂うセシウムも出てくる。劇中ではセシウムに色づけして、セシウムが空中を漂っているのがわかるようにしているんだが、「そんなことをしたって死ぬ。知って死ぬか知らずに死ぬかの違いだ」と言っているのが、妙にリアルに聞こえた・・・黒澤監督とスピルバーグ監督の先見の明に感服。でもこれだけの大監督だったから、原発関係者の圧力をはねつけることができたんだろうな・・・短い話が10話、テンポよく語られるので、見ていて飽きないかも。機会があったら、ご覧になってみてください。台詞は日本語で、英語の字幕付きです。英語を勉強している方は、どんな英文に訳されているかを見ても楽しいかもしれません。(私は仕事柄、日本語の映画でも、 必ず英語の吹き替えも聞くか、英語の字幕を出して、 どんな英語に訳されているのかをチェックします。)ちなみに蛇足ですが、ある元東電社員によると、1991年に浸水でまさかの時の冷却用電源が作動しなくなったのに、津波の浸水対策を行わなかったそうです。1本3000万円かかる燃料棒が数千本要るなど、原材料が高額なので、東電では何もかも効率優先で、ベント弁さえも付けるのを嫌がったけれど、米国の原子力規制委員会の勧告で嫌々付けたとのこと。(←あまりに情けなくないですか・・・)原発地域、日本、そして世界全体が危機にさらされるおそれがあるのに、目先の利益で安全をおろそかにするなんて・・・下記にその詳細が掲載されています。高知新聞(10月29日記事)高知新聞記事:元東電社員の証言(簡易縮小版)高知新聞記事:自然に生きる元東電社員の今と意見