今週の絵_フェルナン・クノップフ 『天使』
正式には『ヴェラ-レンと共に-天使』。ベルギー象徴派の画家フェルナン・クノップフ(Fernand Khnopff, 1858-1921)の作品。製作は1889年、油彩ではなく紙に鉛筆で描かれている。(絵はTOPページに掲載)ここで凛と胸を張って立っている天使は女性の顔を持つ虎を押さえつけている。この虎は物欲の象徴であって、天使は欲望に打ち勝つ「道徳性」と「精神力」を表している、という構図だ。孤高な姿といえる。この作品はクノップフの親友であり詩人のエミール・ヴェラ-レン(Emile Verhaeren , 1855-1916)に捧げられたもので、天使はヴェラ-レン自身に当てはめられるが、よく見ると天使は女性のようにも見える。このような「神秘的」「近寄りがたい」女性像はクノップフの作品にはしばしば現れ、そこに実妹マルグリットの影を見ることもできる。この作品はこの後パステルなどでも描き直された。そしてクノップフの作品の中でも最も有名な『愛撫』(1896)につながっていくのである。(※絵はTOPページ掲載後はフリーページに移しています。TOPページの「ART」からお入りください)